Dear Saiyans 27話・忍び寄る新たな影

時は、地球に人類が誕生して間もない頃にさかのぼる。
とある星で悪の魔導師ビビディが、宇宙を征服するために、恐ろしい魔力を秘めた魔人を作った。
それが、魔人ブウと魔人ジングルだった。
魔人ブウはとても恐ろしく凶暴な心を持っており、さらに戦闘力の高い戦士を捕らえ、体内に吸収することによって強くなる。
しかもただ戦闘力が上がるだけでなく、吸収した戦士の力を使うことができるのだ。
ところが一方で、ジングルは魔人ブウとは違い、生まれつき心優しい性格の持ち主だった。
彼は争いを嫌い、傷ついた人々を助ける優しい魔人だったのだ。
それを見たビビディは怒り、魔人ブウにジングルを抹殺させようとしたが、ジングルは間一髪のところで逃げ出し、界王神界に迷いこんだのだ。
そこで出会った界王神たちのもとで修業に励み、人々を守る力を身につけていった。
ところが、界王神界に突然魔人ブウが現れ、界王神たちは大ピンチを陥ってしまった。
ジングルは界王神たちを守ろうと必死に戦ったのだが、兄である魔人ブウの強大な魔力に圧倒され、界王神たちは全滅してしまったのだ。
辛うじて生き残ったのは、後に地球で悟空やラディッツ達と出会い、魔人ブウと戦う若い界王神だけだった。
界王神たちを守れなかったことを悔やんだジングルは、もっと強くなるために宇宙を旅したのだという。

ジングルの壮絶な過去に、みんなはため息をついた。
「ジングルにそんなことがあったなんて…」
ベルは悲しそうに言った。
「うん。今まで黙ってて、ごめんね…」
ジングルは涙をこらえて言った。
しかし、誰一人としてジングルを責めたりしなかった。
「気にするな。おかげで少しバビディや魔人ブウのことがわかった気がするぜ」
バーダックはジングルの肩をポンッと叩いて言った。
「それに要はあのバビディ共をぶっ飛ばして、魔人ブウが出てくる前にやっつければいいんだろ?簡単なことじゃねぇか」
ナッパはニコニコ笑って言った。
「よぉし!そうと決まれば、早速バビディを捕まえてやるか!」
バーダックは腕をブルン!と振るって言った。
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