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Dear Saiyans 27話・忍び寄る新たな影

「おい!冗談だろ!?ベジータ!」
ナッパは慌てた。
ベジータは首を横に振って言った。
「…いや、本気だ。これしか魔人ブウを倒す方法はないんだ」
そしてベジータはピッコロに、こんな質問をした。
「…オレが死んだら、カカロットに会えるのか?」
「……」
ピッコロはしばらく黙った後、ゆっくりと口を開いた。
そして飛び出した答えは、耳を塞ぎたくなる事実だった。
「……それは不可能だ。悟空達のいるあの世にはいけないからな…」
「ど、どういうことだ!?説明してくれ!」
ラディッツは慌てながら言った。
ピッコロはふうっと深いため息をつくと、みんなに話して聞かせた。



ー罪のない者達を手にかけた悪人が命を終えると、肉体は失われて魂だけとなる。
そして、その魂はあの世とは違う世界に送られ、そこで魂は浄化される。
そうなると、生前の記憶は全て失われ、新しい生命体として生まれ変わる。

「…ということだ…」
ピッコロはベジータに言った。
しかし、ベジータは全て受け入れていた。
「オレは心おきなくカカロットと戦うこともできた。そして、ナッパやラディッツと仲直りするもできたんだ。もう迷いはない…」
彼は満足した顔をして言った。
しかし、ラディッツはベジータを引き止めた。
「ダメだ、ベジータ!みんなで戦えば、倒せるはずだ!」
「…無駄だ。オレ達が束になって戦っても、奴には通用しない」
ベジータは首を横に振って言った。
そして、ラディッツの肩に手を置いてささやいた。
「…ラディッツ。お前のことを今まで『弱虫ラディッツ』と呼んですまなかった。お前は立派なリーダーだ。だから、ナッパ達を、クリス達を頼むぞ…」
「ベ、ベジータ…!」
ベジータは泣きじゃくるラディッツを抱きしめながら、今度はナッパに言った。
「…あの時はお前を殺しかけて、本当にすまなかった。ラディッツのことを頼むぞ…」
「…ベジータ…!」
ナッパは目を潤ませて言った。
「…ベジータさん!」
クリスはラディッツの腕の中で叫んだ。
「…こんなオレ達を愛してくれてありがとうな。ラディッツ達のことを頼むぞ…」
ベジータはクリスの頭を撫でて言った。
その時、魔人ブウが迫ってきた。
「みんな、早く逃げろ!」
ベジータはみんなを逃がした。
ラディッツも涙を流しながら、風の中を突っ切った。
ベジータは魔人ブウを睨みながら言った。
「貴様の倒し方がようやくわかった。二度と修復できないように、粉々に吹っ飛ばすことだ!」
ベジータは今までにないほどの気を溜め始めた。
超サイヤ人のパワーと、バビディの魔術を背負った今のベジータは、強力な爆弾のような状態になっていた。
ベジータは小さな涙を一滴流すと、こう呟いた。
『さらばだ。ブルマ、トランクス、ラディッツ、ナッパ、クリス…。そして、カカロットよ…』
ベジータは大きな爆風を起こし、魔人ブウを吹き飛ばした。


そしてベジータは、静かに息を引き取った。





続く
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