ところが、現れたのはぽっちゃりとしたかわいい顔をした、無邪気な魔人ブウだった。
「…え？あれが、魔人ブウなの？」
「…なんだか、かわいいわね」
クリスとトナカが言った。
「あれがジングルの兄貴か。本当にそっくりだな」
ベルが言った。
みんなはてっきり怖くて強そうな姿だと思ったのか、一斉に力が抜けていった。
しかしそんな中、界王神とジングルだけは違っていた。二人は冷や汗を流しながら構えていた。
「みんな油断しちゃダメだよ！あいつは恐ろしい力を持っているんだ！」
ジングルが言った、その時だった。
突然、魔人ブウが界王神の目の前まで突っ込んできた。
「な！？速いぞ、こいつ！」
ナッパが言葉を発する間もなく、魔人ブウは気合いで界王神とジングルを吹き飛ばしてしまった。
「うそだろ？！界王神様が吹っ飛ばされた！？」
スーノは怖じ気づいて言った。
「さすが魔人ブウ！よぉし！このままこの地球を乗っ取ってやるぞ！」
魔導師バビディは大喜びで言った。

魔人ブウの圧倒的な力に恐怖を感じたラディッツ達は、もはやどうすることもできなかった。
「くそ…。オレがバビディの魔術にかからなければ…」
ラディッツは悔しくて地団駄を踏んだ。
すると。
「確かに魔術にわざとかかったのは悪かったが、いつまでもウジウジしてる暇などないぞ！」
なんとそこにいたのはベジータだった。
彼も魔術にかかったままではあるものの、悟空と戦いたいが為にわざと魔術にかかり、バビディに抗っていたのだ。
ベジータは幼いトランクスを抱きながら、ラディッツ達に言った。
「…魔人ブウのことはオレに任せろ。それに、オレの勘だが今の地球は危険だ。だから、お前達の世話になった人々や動物達を連れて、他の星へ逃げろ」
「ベジータ…」
ラディッツは傷ついたクリスを抱きながらベジータを見つめていた。
すると、ピッコロがやって来た。
そして、険しい顔でベジータに言った。
「…覚悟を決めたようだな」
みんなは一斉に冷や汗を流した。