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Dear Saiyans 27話・忍び寄る新たな影

クリスがたどり着いたのは、草木の生えた野原だった。
ラディッツは恐ろしい唸り声をあげながら、ジリジリとクリスに迫っていた。
「…ラディー!ラディーはそんな悪い人じゃないでしょ!目を覚まして!」
クリスは怖いのを我慢してラディッツに呼びかけた。
すると、ラディッツが恐ろしい声で言った。
「…オレは…、サイヤ人のリーダーだ…。オレは一流の戦士だ…。なのに…」
「…?」
「オレは、サイヤ人で一番戦闘力が低い…。カカロットやベジータはおろか、ナッパやターレス、親父に悟飯、トランクス…。誰にも勝てない…。超サイヤ人になっても、オレだけ弱いんだ!!」
その瞬間、ラディッツがクリスに飛びかかった。
クリスはびっくりして、ラディッツから逃げた。
「待って、ラディー!ラディーは弱くないよ!」
しかし、あっという間に追い付かれ、クリスはラディッツに殴り飛ばされてしまった。
「ラ、ラディー!やめてぇ!!」
クリスは必死に抵抗したが、完全に力負けしてしまった。
「ラディー…。ラディーは、強くて、優しくて…、かわいい人だよ…。だから、お願い…やめ…」
「うるせぇ!!!」
ラディッツはクリスを投げ飛ばしてしまった。
「フリーザの弟として生まれた貴様が、オレの弱さの何がわかるんだ!!あぁ!?」
よく見ると、ラディッツの目がわずかに潤んでいた。

ーラディッツはベジータ達三人の中では戦闘力が低く、ベジータやナッパから『弱虫ラディッツ』と呼ばれ、さらにはフリーザ軍兵からもいじめられていた。
そして、地球で平和な時間を過ごしていたものの、弟である悟空をはじめ、ベジータや仲間であるはずのサイヤ人と比べても、戦闘力は自分が一番低かった。
今やサイヤ人達のリーダーとなったからには必死にトレーニングをして、誰よりも強くなろうと頑張っていたのだが、なかなかみんなに追い付くことができなかった。
ラディッツはそれが悔しくて、誰よりも強くなりたいが為に、バビディの魔術にかかってしまったのだ。
「バビディ様…。いや、バビディの力を手に入れた今、オレは誰よりも強くなった…。だからこの力で、このオレがサイヤ人の王者となるのだぁ!!」
ラディッツが恐ろしい笑みを浮かべて言った、その時だった。
「ラディーのバカ!!!」
クリスはラディッツを平手打ちした。
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