Dear Saiyans 23話・クリスの力

しかし、そうこうしているうちに、島はたちまち培養液に覆われようとしていた。
「あ!ブロリーさんが、まだあの中にいるんだ!」
クリスが言った。
「ねぇ、あの毒液をなんとかできないのかい!」
18号が博士に言った。
「無理だ。多くの遺伝子細胞を取り込み過ぎて、手に負えなくなった…」
博士はため息をついて言った。

猛毒化した培養液は、遺伝子の異なる細胞を吸収すればするほど、増殖する力が強くなる。
逃げ遅れた研究員に加え、強力なバイオ戦士を飲み込んだことで、より強力な力を得てしまった。
これにより、培養液は地球全体を覆い尽くすほどのパワーを得てしまったのだ。
「まさか、こんなことになるなんてな…」
「サタンへの仕返しなんかしなければよかったんや…」
男爵と仲間の男は、自分の犯した過ちを反省した。

すると、悟天があることに気づいた。
海水に触れた培養液が、石のように固まり始めたのだ。
「みんな!培養液に海水をかけて!」
悟天が言った。
「わかった!よし、やるか!」
ラディッツが言った。
バーダック達が上空に飛び上がると、島が壊れないように、そして高波が強すぎないように力を加減しながら、一斉にかめはめ波を放った。

ーかめはめ波!!

その瞬間、海水が高い波を立て、雨となって島に降りかかった。
海水に触れた培養液は、たちまち石になって動かなくなった。
客船からは、人々の歓声が上がった。
そして、島からある人物が飛んできた。
なんとブロリーが、バイオブロリーを抱きかかえてやって来たのだ。
しかもバイオブロリーは、身体中を覆っていた培養液が取れて、変身前のブロリーとなっていた。
「ブロリーさん!生きてたんだね!」
悟天とトランクスは大喜びだった。
「ははは、このオレが培養液ごときでやられると思っていたのか」
ブロリーは悟天とトランクスを撫でながら言った。
バイオブロリーは、バーダック達や男爵を見て警戒していた。
「怖がらなくていいぞ。彼らは悪い奴ではない」
ブロリーはバイオブロリーに言った。
「…!カカロット!」
バイオブロリーは悟天とバーダックを見て威嚇した。
「もうよすんだ!それにカカロットもベジータも敵ではないぞ!」
ブロリーはバイオブロリーをピシャリと叱った。
「ブロリーさん、お父さんみたい」
悟天が笑うと、みんなは一斉に笑いだした。

その後、石になった培養液を片付け、ドラゴンボールで培養液にやられた人々を生き返らせ、島を復興させた。
こうして、島に平和が戻り、バーダック達や悟天、トランクス、そしてクリリン達にブロリー達と、バカンスを過ごした。



続く
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