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Dear Saiyans 23話・クリスの力

ーそれは、クウラ、フリーザ、クリスの叔父・ニッセが生きていた頃にさかのぼる。
ニッセは、当時乱暴者だったサイヤ人の争いを鎮める為に、単身でサイヤ人達の前に立っていた。
最初こそは、言うことを聞いてくれなかったのだが、それでもニッセは、サイヤ人には仲間や家族を想う優しさを持っていることを信じ、サイヤ人達を説得させ、争いを鎮めた。

やがてニッセの想いが通じ、サイヤ人達は穏やかな心を取り戻し、罪滅ぼしとして、自分たちが荒らしてしまった星の復興を始めた。
だが、あんなに乱暴者だったサイヤ人が、なぜ穏やかな心を取り戻したのか…。
そして、星を荒らされた人々の心と体の傷が癒え、サイヤ人と和解できた者まで現れたのか…。

それは、ニッセには生まれつき『癒しの力』を持っていたからである。
癒しの力とは、今や地球の神となったデンデの持つ回復能力とは違い、ケガを治すだけでなく、心を穏やかに、そして安らかな気持ちにさせる力である。
荒ぶる者の心を鎮め、穏やかな性格にした上で、ケガや病気の苦しみを取り除くことができるのだ。
これにより、サイヤ人達は一時的ではあるが、穏やかで心優しい種族となった。
だが、その後現れたコルド軍によって、ニッセのサイヤ人を穏やかで優しい人々にするという夢は、ニッセの命と共に絶たれてしまった。

そしてクリスには、今は亡きニッセの癒しの力を受け継いでいたことがわかったのだ。
「…ぼくが、ニッセ叔父さんの…?」
クリスは戸惑っていた。
「そうだよ。だからラディッツ達の命も助かったし、バーダックや祈祷師も助かったんだよ」
ギネはクリスの頭を撫でて言った。
クリスは少し照れた。
そしてまだ自覚はなかった。
ラディッツはクリスに言った。
「オレも正直、ドラゴンボールで生き返ったら、地球の再侵略を考えていたんだ…。だが、クリスのおかげで、力こそが全てではない、戦闘力がどんなに低くても、人を思いやる心が大切だと気づいたんだ」
「…ラディー」
すると、バーダックが目を覚ました。
「んん…!あぁ~、オレいつの間に眠っていたのか…」
バーダックは目をこすりながら言った。
「師匠!」
クリスは泣きながらバーダックに抱きついた。
「おい、泣くなよ。言ったろ、オレは死なないって」
バーダックはクリスを撫でながら言った。
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