Dear Saiyans 22話・伝説の超サイヤ人

セルゲームの悲劇から数日後、ラディッツ達はのんびりと過ごしていた。
しかしラディッツは、弟カカロットこと、悟空を失った悲しみと後悔が消えることはなかった。
幼い頃に生き別れ、地球で再会して早々悪の道に引きずり込もうとし、命をかけた激しい戦いを繰り広げ、そして共倒れとなった。
その後、クリスや心優しい地球人に支えられ、穏やかな心を取り戻したことで、悟空と仲直りすることができ、共に楽しい日々を過ごすことができた。
しかし、そんな弟をセルゲームで失った。
ラディッツは、あの時悟空の反対を押しきって、一緒にセルと戦っていればよかったと、心から悔やんでいた。


「…ラディッツ」
バーダックが部屋に入ってきた。
「……」
ラディッツは何も言わずに振り返った。
バーダックは、毎日暗い顔をしているラディッツが心配だった。彼はあきれたようにため息をついて言った。
「うじうじしやがって…。てめえのそんな姿を見て、カカロットが喜ぶと思ってんのか?オレ達には、まだまだやらなくてはならないことがたくさんあるんだぞ」
バーダックの説教を、ラディッツは黙って聞いていた。
「カカロットはフリーザを倒し、幼い悟飯だってセルを倒したんだ。だから、お前もあいつらを見習って、心身共に強くなれ!」
バーダックの言葉が、ラディッツの心を動かした。
弟と甥が、恐ろしい強敵を倒した。しかしそれは、自分のためではなく、地球のために、愛する者のために戦っていた。その優しい心と勇気が、大きな力となった。
それは悟空や悟飯だけでなく、まだ幼いクリスも、フリーザと違って力を自在に操れなくても、守るべきもののために必死に戦った。
「…カカロットと、悟飯を…」
「そうだ。だから今度は悟飯達やベジータ達が困ったら助けてやれ。お前も超サイヤ人になれただろ」
バーダックはラディッツの肩をポンッと叩いて言った。
ラディッツは次第に元気を取り戻した。
「ありがとよ、親父。おかげで目が覚めたぜ。カカロットと16号に代わって、オレも頑張らなくてはな」
バーダックがその意気だと言った瞬間、ギネの呼ぶ声が聞こえた。昼食の時間だ。
「おっと、早く行かねぇと覚めちまうぞ」
バーダックとラディッツはさっさと部屋をあとにした。
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