Dear Saiyans 21話・孫悟空よ、永遠なれ…。

その日の夜。
クリスは落ち込んでいた。自分が何もできなかったせいで、悟空が死んでしまったと。
未来の悟飯が部屋に入ってきた。
「オレ達も悲しいさ…。だけど、いつまでもうじうじしていたら、父さんに申し訳ないよ…」
「…だって、ぼくのせいで…」
クリスは泣いていた。
「ううん、クリスのせいじゃないよ。クリスだって頑張ってただろ。叔父上やみんなを守ろうと、一生懸命だったじゃないか。父さんもクリリンさん達も誉めていたよ」
クリスを慰める未来の悟飯の目から、涙がぽろぽろと流れていた。


そして、ラディッツ達とクリス達はバーダックに呼ばれ、会議室に集まった。
「カカロットを失ったのは、とても残念でならない…。そして、自然と動物を愛した人造人間16号も、セルゲームの犠牲となった…。この悲しみは、誠に耐え難い…」
バーダックは涙を拭きながら、みんなに言った。
「だが、いつまでも悲しみに潰されてはならない。カカロットと16号は、みんなのために命がけで戦ったのだ。だからみんなも、多くの人々のため、そして今いる悟飯やベジータ達が困った時は、力を貸してやるんだ!」
バーダックの鋭い目から、涙を流しながらみんなに言った。
みんなは返事をした。
「良い返事だ。では、解散!」
バーダックの号令に、みんなはそれぞれ部屋に戻った。

「ちくしょう…。セルの野郎、許さんぞ!」
ラディッツは部屋に籠って震えていた。
彼は泣きながら、悟空との日々を思い返した。
地球にやって来た頃は、悟空を悪に引きずり込もうとし、それを拒んだ悟空を倒そうとした。そしてピッコロの魔貫光殺砲により、共倒れとなった。
その後、クリスによって助けられ、弱き者や愛する者のために戦うことの大切さに気付き、そして、弟と仲直りできた。
だが、その幸せは突如として崩れ去った。
ラディッツはセルを恨み、そして自分の無力さを恨んだ。
そして、何を思ったのか外に飛び出した。
「ラディー!?どこ行くの!?」
たまたますれ違ったクリスは、あわててラディッツを追いかけた。
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