その頃、ラディッツとクリスは精神と時の部屋でトレーニングをしていた。
ラディッツはクリスに、セルと戦うためには最終形態になるしかないと説得していた。
「クリス、セルとまともに戦うためには、最終形態にならなくてはいけないんだ。嫌なのは分かるが…」
ラディッツはクリスに言った。
「…うん、そんなことは分かってるよ。でも、どうやって変身できるかわからないんだ…」
クリスは落ち込んでいた。
あの時、クウラの攻撃を危うく食らいそうになった時に、無意識に変身したものだったのだ。
だから、どうすれば最終形態になれるか分からなかったのだ。
「ぼくはフリーザやクウラと違って、戦闘力が高くないし、戦いが苦手なんだ…。だから、ぼくがいても足手まといになるだけだよ…」
クリスは自信がなかった。
「変身するには戦闘力が高ければ良いってもんじゃねぇぞ。それにお前は、これまでにオレ達や地球の人間、それに動物たちだって助けたんだ。だからお前なら、きっと大丈夫だ」
ラディッツはクリスを励ました。

クリスが休憩室で休んでいる頃、ラディッツはトレーニングを続けていた。
ラディッツは大きな雄叫びを上げると、辺り一帯に強風が吹き荒れた。
「す、すごい…！ラディーがここまで…」
クリスはびっくりして言葉が出なかった。
そしてラディッツは、フリーザや人造人間などの幻影と戦い始めた。
精神と時の部屋には、幻影を使って修業をすることが可能であるのだ。
ラディッツは幻影と戦うことで、弱点を克服していた。

やがて、ラディッツはトレーニングを終えると、クリスを呼んだ。
クリスは自信がないままだったが、ラディッツに迷惑をかける訳にはいかなかった。
「クリス、遠慮することはないぞ。みんなを守るには、その力が必要なんだ。さぁ、気合いをいれろ！」
ラディッツは少し圧をかけた。
クリスはラディッツに背中を押され、気を溜め始めた。
そして、クリスの体から目映い光が放たれ、最終形態に変身できた。
「やればできるじゃねぇか！」
ラディッツは喜んだ。
「あ、ありがとう、ラディー…！」
クリスは少し自信を取り戻したが、フリーザと同じ姿になったことが、どうしても嫌だった。
「もうフリーザやクウラと同じだという考えは捨てろ！自信を持て！」
「…うん！ありがとう、ラディー！ぼく、頑張るよ！」
ラディッツの励ましに、すっかり自信を取り戻したクリスは、修業を始めた。