Dear Saiyans 18話・恐怖の人造人間

その夜、ラディッツは悟空の部屋で寝ることにした。
いくらタフなサイヤ人であるラディッツとはいえ、チチに叩かれた頬の痛みは続いていた。
ラディッツは、自分が犯した罪の大きさに改めて気付き、悔やんでいた。
自分の軽はずみな行動で、罪のない多くの人々を手にかけ、星を壊し、しまいには実の弟と甥にまで手を出してしまった。
ラディッツは、そんな自分が許せず、ひたすら自分を責めた。
「…オレが、地球に来なければ…、カカロットは幸せなままだったんだ…。オレが地球に来なければ…」
ラディッツは取り憑かれたかのように、ブツブツと繰り返し独り言を呟いた。
悟空は、ラディッツの独り言で目を覚ました。
真っ暗な中、ラディッツは体育座りをしながらブツブツと呟いていた。
悟空はため息をついて言った。
「ラディッツ…、何も自分を責めることはねぇさ…。おめぇと出会えたから、オラは強ぇ奴と戦うことができたんだ。わくわくするような強ぇ奴らと戦うことができて、すごく嬉しいんだ…」
「カカロット…?」
ラディッツは驚いた。
悟空はだるそうに体を起こすと、優しく微笑みながら言った。
「未来から来た悟飯とトランクスの言ってた通り、おめぇが来てくれなかったら、この地球もフリーザに乗っ取られていたのかもしれねぇんだ。地球に来てくれて、オラと戦ってくれて、ありがとうな…」
ラディッツはますます泣き出してしまった。
悟空も涙を一粒流して、ラディッツを抱きしめ慰めた。
「ご、ごめんな…。カカロットぉ…」
ラディッツは声を荒らげながら泣いた。
その様子を、チチとクリスはそっと見守っていた。
「…ラディー…」
クリスも悲しくなってすすり泣きをした。
「…お兄様、オラも悪かっただ…。おめぇの事情も全く知らねぇで、つい感情的になって、ごめんなさい…」
チチも涙を流して言った。



続く
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