Dear Saiyans プロローグ

眩い閃光と共に消えていった惑星ベジータ。ギネをはじめ、多くのサイヤ人がショックを受け、泣き出した。
クリスも、もっと早く察知していれば、フリーザを説得していれば、こんな事にはならなかった、と。
しかし、誰一人クリスを責めるものはいなかった。
それどころか、サイヤ人達から感謝された。
「ありがとう、クリス様。おかげで俺たちは助かったぜ」
「みんなで地球で暮らしましょう」
しかし、クリスは首を横に振って言った。
「実はフリーザ兄さんのところに、ベジータ王子様とナッパさん、ラディッツさんがいるんです。だから助けにいってきます」
みんなはびっくりして反対した。
彼らはフリーザに忠誠を誓ったうえ、誰よりも多くの星を制圧してきたエリート戦士として恐れられている。
とても説得できる相手ではない。
「今のラディッツは、あたしでさえ怖くてどうにもならないよ。だからほっとけばいいの」
とはいえ、ギネにとってはかわいい長男だ。彼女は涙を隠しきれず泣いてしまった。
それを見て、クリスはギネに言った。
「ぼくはバーダック師匠と出会って本当に良かった。師匠はぼくにこんな事を教えてくれた。弱い人や愛する人、そして故郷を守る為に戦うと…。でも、ぼくはフリーザ兄さんの暴走を止めることができず、星を…惑星ベジータに残ってしまった人たちを助けられなかった。だからすごく悔しい…」
クリスはこらえきれず泣き出してしまった。しかし、涙を拭いて続けた。
「悔しいけど、今フリーザ兄さんのところにベジータ王子様達がいる。彼らにもう星の制圧をやめさせて、もとの優しい戦士に戻したい」
クリスはそう言って、宇宙船を飛び出した。
「待って、クリス君」
ギネはクリスを引き止めると、ペンダントを渡した。そのペンダントは、宝石が飾られた美しいペンダントだった。
「これは…」
「あたしが作ったお守りだよ」
「ありがとうございます、ギネさん。いってきます!」
クリスはペンダントを無くさないように大事にバックにしまうと、フリーザの宇宙船へと飛び去った。

続く
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