ところが、家に着くとバーダックとカカロットの姿はなかった。代わりにギネがいた。
クリスはギネに、今すぐ惑星ベジータから逃げるように言うと、他のサイヤ人達が集まってきた。
クリスが大慌てでバーダックの家へ走って行ったのを見て、何かあったのかと集まってきたのだ。
クリスは心を落ち着かせてみんなに言った。
「みんな聞いて、フリーザ兄さんが本当に惑星ベジータを破壊するつもりなんだ。だから早く逃げよう」
突然の知らせに困惑する一同。確かにバーダックが未来予知能力で、危機を察知することができるのだが、その時は誰も信じてはいなかった。
だが、多くの仲間が不審死を遂げたこと、突然帰還命令が出たことを不審に思ったサイヤ人達は、やっと事の大きさに気付いた。
しかもフリーザの弟が言うからには間違いない。
「でも、どうやってここから逃げるんですか？このまま大人数で行くと、見つかってしまいますよ」
「安心して、ぼくが偵察用の宇宙船を用意したからそれに乗って。それなら全員乗れるし、あいつらにバレないはずだから」
クリスは急いでみんなを宇宙船に乗せた。
そして、発進ボタンを押そうとした時、バーダックの事を思い出した。
「あっ！バーダック師匠は？！バーダック師匠はどこにいるの！？」
するとギネは悲しい顔で言った。
「バーダックは、あたし達を守る為にたった一人で戦いに行ったの」
クリスは真っ青になってバーダックを探しに行こうと宇宙船を飛び出した。
だが、その瞬間空が急に明るくなった。
フリーザが攻撃を仕掛けてきたのだ。
「もうダメだ！早く逃げよう！！」
サイヤ人達はクリスを呼んだ。
そして、クリスは泣くのを我慢して発進ボタンを押した。
避難先は地球だ。
クリスは宇宙船を発進させ、フリーザに見つからないように軌道を変え、危機一髪のところで惑星ベジータを脱出した。
そして窓から、愛する師匠バーダックの姿が…。
「師匠…師匠ーーーー！！」
クリスは泣き叫んだ。