Dear Saiyans 16話・孤独の旅路

彼らは、本来はこの世界の人ではなかった。彼らは、未来の世界からやって来た戦士だったのだ。
しかし、二人のいたその時代に、人造人間と呼ばれる怖い戦士がいて、ベジータをはじめ、多くの戦士達が倒されてしまった。
さらに、ピッコロが倒されてしまったことにより、ドラゴンボールも消えてしまい、誰一人生き返らせることができなくなってしまったのだ。
未来の悟飯は、ベジータの子・トランクスを守るために、人造人間の攻撃によって、左腕を犠牲にしてしまったのだった。
未来の悟飯はトランクスを一人前の戦士に育てたのだが、人造人間と一人で戦い、命を落としてしまっていた。


ところが、どういうわけか未来の悟飯は生き返り、そして自分たちのいた世界が消えてしまっていた。生き残っていたのは、自分と幼いトランクスだけだったという。そして、帰る場所を失った二人は、何らかの力を借りて、この世界に住むことになったのだった。
この不思議な話に、クリスは驚きを隠せなかった。
「…そんな事が、あったんですね…」
クリスは悲しくて、何よりも二人がかわいそうに思えて、涙が溢れてしまった。
未来の悟飯は、クリスの涙を拭くと、またため息をついた。
「オレもいまだに不思議な気持ちなんだ。どうして生き返ったのか、どうしてここに来たのか…。そして、あの後どうなったのか…」
未来の悟飯の目は、寂しく悲しみに満ちていた。
「ぼくも、母さん達がどうなったのか…。この世界にも人造人間が来てるんじゃないかって…」
トランクスも同じだった。
しかし、二人が住んでいた世界はもうない。だから二人は、今の世界を生き、暮らしていくしかなかったのだ。
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