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Dear Saiyans 16話・孤独の旅路

その時、クリスは足を滑らせて下に落ちた。真っ暗で見えなかったが、そこには高い段差があったのだ。
「い、痛い…」
クリスは膝を擦りむいてしまった。しかし、傷を手当てする道具など持ってはいなかった。クリスは、足を引きずりながら歩き出した。



その時、不気味な鳴き声と大量の影が見えた。コウモリの群れだった。
そして、ヒキガエルの低い鳴き声も響き始めた。
さらに、強い風が吹き始め、枯れ木が怖いお化けに見えた。
クリスは心の底から恐ろしくなり、思わず大声で叫んだ。
「助けてー!!誰かー!!」



あれからどのくらい叫んだだろうか、クリスのかわいい声がかれてしまい、とうとう動けなくなってしまった。
空腹であるにも関わらず、何も食べずにひたすら長い距離を歩いた影響と、慣れない最終形態で、体がすっかり弱ってしまったのだ。
クリスは、怖さと寒さに震えながら泣いていた。そして、このままでは死んでしまうと思っていた。



その時、遠くに二つの明かりが近づいてきた。
だがクリスには、それが巨大なお化けの目に見えてしまい、あわてて逃げ出した。
「お化けだ!!逃げないと食べられちゃう!!」
動けなかった体が嘘のように、クリスはものすごい勢いで走り出した。
すると二つの光が、クリスを追いかけてきた。
クリスは悲鳴をあげながら、大慌てで逃げた。
枝を払いのけ、つまずきながらも必死に走ったが、二つの光は容赦なくクリスを追った。
「この森を抜ければ、もう追って来なくなるかもしれない…!早く森を抜けなきゃ!」
クリスは息を切らしながら必死に走った。
ところが、目の前には大きな断層が立ち塞がっていた。しかも土が崩れて登れない。
さらに今のクリスは、空腹と過度な疲労で、飛ぶことができなかった。
やがて、二つの光が目の前に迫ってきた。
クリスは大きな悲鳴をあげた。
「きゃあああああああ!!!!!」
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