しばらく歩いていると、雑木林を抜けた。
そして目の前に踏切があった。
しかし、クリスは踏切を見るのは初めてだった。
フリーザの星には鉄道はあったのだが、踏切自体はなかったのだ。
「なんだろう？何かの信号機なのかな？面白い形だね」
クリスは踏切を不思議そうにじっと眺めていた。
しばらくすると、遠くから列車が走る音が聞こえてきた。クリスは、安全のために踏切から離れた。
「事故になったら大変だ。ちょっと離れたほうがいいかも…」
クリスがそう呟いた瞬間、踏切が「カンカンカン！」と大きな音を出し、ランプを赤く輝かせた。
「わぁっ？！な、何！？」
クリスはびっくりして転んでしまった。
踏切は警報音を鳴らし、二つのランプを交互に光らせながら、遮断機を下げた。
そしてその中を、大きな列車が風のように駆け抜けた。
クリスは、突然の出来事に呆然としていた。
やがて、踏切が鳴り終わり、遮断機をゆっくりと上げた。
「…びっくりした…。地球の鉄道にこんなすごい物があったんだ…」
クリスは、列車がまた来ないか左右を確認し、踏切を渡った。





さらにしばらく歩いていると、立派な建物があった。すぐ側には鉄道があり、建物の近くに先ほどの列車が止まっていた。
建物の正体は駅だった。　
駅には、休憩所やお店があり、多くの人で賑わっていた。
「ちょっとここで休もうかな…」
クリスは駅の休憩所に入り、ベンチに腰かけた。
ただ少しだけ不安だった。
人々はクリスの姿を見て、警戒するのではないかと。しかし、人々はクリスを警戒することはなかった。
休憩所から少し離れたところに、レストランがあった。
そこで家族が楽しげに会話をしながら食事をしていた。
クリスはその姿を一瞬だけ見た途端、お腹が鳴り出した。
しかし、クリスの財布は底を突いていた。
「…どこかの山で、食べ物を探そう…」
クリスはそう言って、駅をあとにした。