Dear Saiyans 15話・逃れぬ血筋

幸いにも、雛のやけどは軽くすぐに治った。
そして、火事があった森から遠く離れた山に、雛たちを連れて行った。
「ここなら火事は届かないし、怖い天敵に狙われずに済みそうだね」
クリスは高くて温かい木の穴の中に、雛の巣をそっと入れた。
すると、遠くからかわいらしい鳴き声が聞こえた。
振り返ると、2羽の鳥が飛んできた。
それは親鳥だった。
「この子たちのパパとママだ!早く木から降りなきゃ!」
クリスは、親鳥が自分のことを雛をいじめているんじゃないかと攻撃してくると思ったが、親鳥たちはクリスを攻撃しなかった。
それどころか、親鳥はクリスが雛たちを助けてくれたことを分かってくれた。
親鳥は、「チチチッ」とかわいい声でクリスに向かって鳴いた。
ーうちの子たちを助けてくれて、ありがとう。そう言っているようだった。
よく見ると、母親鳥の目がうるうると潤んでいた。
突然の山火事で、自分達の力で我が子を助けることができず、あきらめていたところに、クリスが手をさしのべてくれた。
親鳥は、我が子が1羽も欠けることなく無事だったことに安心したのだ。
「よかった…。ぼくそろそろ行くね。じゃあ、またね」
クリスも本当に安心し、鳥の一家に別れを告げて、その場をあとにした。
この先、5羽の雛たちが大きく元気に成長するように祈りながら…。
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