Dear Saiyans 14話・仲直り

「……チッ、ナッパのやつ、ベラベラしゃべりやがって…」
ラディッツは不機嫌そうに言った。
「ナッパはあぁ見えても仲間想いな野郎だ。オレと違ってな」
ベジータはそう言いながら、氷枕を敷き、ラディッツの体の汗をタオルで拭いた。
「しかしオレも、ブルマという女に出会ってから、何故かナッパみたいな情が出てきてしまったんだ」
「……ベジータ…」
ラディッツは少し安心したのか、また体がだるくなってきた。
ベジータはラディッツに、こんなことを言い出した。
「…認めたくはないが、お前の弟はすごいやつだな。あのフリーザを倒したのだからな。本当に良い弟を持ったな、兄上さんよ」
ベジータは内心嬉しかった。
そしてまた、カカロットを超えてやりたいという闘志も芽生えていた。
「…あぁ、オレも兄として誇らしいぜ…」
ラディッツは眠そうに言った。
ベジータはラディッツの手を、そっと握って言った。
「ラディッツ、地球という居心地の良い星を見つけてくれて、ありがとうな…」
ベジータは、生まれて初めてありがとうと言った。
ラディッツはこくりと頷くと、すぅと寝息をたてて眠った。
ベジータは、ラディッツが眠ったことを確認すると、ラディッツの長い髪を撫でて、優しく毛布をかけてあげると、椅子に腰かけてウトウトと眠った。

満天の星空の中で、小さな美しい3つの流れ星が流れていた。
ベジータ、ナッパ、そしてラディッツ。
一度は綻び断ち切られた絆が、再び結ばれたような流れ星だった。
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