クリス達が出掛けて数分後、ラディッツは目を覚ました。そして黙って外を眺めた。
窓の外には、広い庭と美しい森が広がっていた。
そして空には満天の星、ドラゴンボールの力で復活した月が輝いていた。
満月だったが、この家の窓は大猿に変身する為のブルーツ波が遮られる特殊な素材でできている為、大猿になる心配はない。
「大猿にならずに、こんなに満月を見られるとは…。なんだか不思議な気分だぜ…」
ラディッツは満月を眺めながら、ポツリと呟いた。

ラディッツはその後も、うたた寝しては目を覚まし、またうたた寝しては目を覚ますのを繰り返していた。
体のだるさと高熱で、なかなか寝つけないのだ。
クリス達が行っている病院は、この家から少し離れた町にあるため、帰って来るまでまだまだ時間がかかるようだった。
ラディッツはのどが渇いたのか、冷蔵庫からクリスが用意してくれたドリンクを取り出し、のどを潤していた。
そして、ドリンクを飲み干したラディッツは、再びベッドに寝た。
ドリンクのおかげか、少し楽になった気がした。

しかし、何故かなかなか眠れなかった。
先ほどまでは少しだけ寝られたのに、何を思ったのか何故か不安になっていた。
自分に死が迫っている訳でもないのに、何故か怖いと感じていた。
「……」
ラディッツは無言のまま震えていた。
まるで近くにフリーザの霊がいるように感じて怖いと思った。
ーこの森にお化けなんているはずがない。フリーザなんかカカロットが倒したんだ。
ラディッツはそう自分に言い聞かせて、なるべく自分を落ち着かせて寝ようとした。
「…ナッパ、ターレス、クリス…。早く帰って来てくれよ…」