Dear Saiyans 11話・迫りくる黒い影

その頃、ラディッツはフリーザの宇宙船に潜入していた。
悟空はギニューを撃破した後、ベジータ達によってフリーザの宇宙船に運ばれたところを見た為、ラディッツは心配になって様子を見に来たのだ。
ラディッツは地球でのトレーニングのおかげか、ベジータ達ほどではないものの、僅かに気配を察知できるようになっていた。
彼は僅かに感じた気配を頼りに、悟空を探していた。

着いたところは、メディカルマシンの部屋だった。
そして、メディカルマシンの中で治療を受けている悟空を見つけた。
「…カカロット」
ラディッツはメディカルマシンの窓にそっと手をかざして、弟の本当の名を呼んだ。
「…あの時は、本当にすまなかった…。強くなったな…」
ラディッツの目から、一滴の涙がこぼれ落ちた。
悟空は目を瞑ったまま、黙っていた。
その後ラディッツは、メディカルマシンの部屋をあとにした。
そして、去り際にこう言い残した。
「どうか、死なないでくれ…。弟よ…」


その頃、クリスはラディッツを探し回っていた。
悟空やクリリン達の活躍のおかげで、フリーザ軍兵はほとんど倒されていた。
「ラディー、どこ行っちゃったんだろう…」
クリスはだんだん心配になってきた。
その時。
「…久しぶりだな、クリス坊っちゃん」
聞き覚えのある声がした。
恐る恐る後ろを振り返ると、その声の主にクリスはハッとした。
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