Dear Saiyans 10話・新たなる戦いへ

その時、ものすごい爆発音が響いた。
見ると、そこにはフリーザの宇宙船が浮かんでいた。そして中から一斉にフリーザ軍兵が飛び出して来た。
「チィッ!こうなったらやるしかねぇ!」
ラディッツが飛び出そうとした。
「ダメだ!今飛び出せば、フリーザに間違いなく見つかるぞ!今のオレ達では、とてもじゃねぇが勝ち目はないぞ!」
ナッパはラディッツをなだめた。
そして彼らは、ナメック星人達を地下や洞窟に隠れさせた。

しかし、フリーザ軍の攻撃は想像以上に激しかった。
クリス達がナメック星人達を助けている間にも、他のナメック星人達は攻撃を受け、次々と倒れていった。
クリスは、泣くのを我慢してみんなを助けた。

「ちくしょう、フリーザめ…。むちゃくちゃやりやがるぜ…」
ターレスは怒った。
「昔の自分を思い出すぜ…。オレ達は一体なぜこんな酷い事を…」
ラディッツはガックリと肩を落として言った。
「こうなったのも、みんなオレ達のせいだ…」
ナッパは頭を抱えて言った。
クリスは、兄の非情なやり方に改めて失望した。
そして、ナメック星人達に土下座をした。
「皆さん、ごめんなさい!本当にごめんなさい!」
クリスはとうとう泣き出した。
心配した一人の若いナメック星人が、クリスを慰めた。
「君はフリーザの弟でありながら、大勢の人々を助けてくれたんだ。それに、君が連れているそのサイヤ人達を助け、改心させることができたって話も聞いた。だから、謝ることはないよ…」
その若いナメック星人は、フリーザ軍兵士と戦って大ケガをしていたが、なぜか今はケガが治っていた。
「ん?あんた、さっき大ケガをしたはずじゃ…」
ターレスが言った時だった。
「みんなのケガなら、ぼくの能力であっという間に治したよ」
そこにいたのは、ナメック星人とは違った人物だった。
「あ、あなたは?」
クリスは涙声で言った。
「ぼくはジングル。いろいろあって宇宙を旅してた魔人なんだ」
聞けば彼もまた、クリスと同じように故郷を追われ、宇宙で修行の旅をしていた所、偶然ナメック星が襲われているのに気付き、助けに来たのだ。
「君もぼくと似てるんだね…。君の気持ちは痛いほど分かるよ…」
ジングルはクリスの手を握って声をかけてくれた。
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