「チッ、このオレがこんなガキに負けるとは…。オレもまだ修行が足りなかったか…」
ピッコロは悔しくて舌打ちをした。
「はぁ…、はぁ……。ぼくも修行しないと…、皆を守れないと、よく分かった…」
クリスの体は、すっかりボロボロになっていた。
「仕方ない。約束通りラディッツは見逃してやる。だが、奴がまた地球を襲おうとした時は、もう次はないぞ」
ピッコロは言い残すと、大空へと飛び去った。
その瞬間クリスは意識を失い、そのまま倒れてしまった。

「クリス君！大丈夫かい？」
気がつくと、そこはノーマン一家の家だった。
「あれ…？ノーマン…さん？ハッ！ラディーのところに戻らなきゃ…、イタタ！」
クリスがベッドから起き上がろうとすると、体のあちこちが痛くて立てなかった。
「ラディッツさんが心配な気持ちは分かるけど、無理しちゃダメよ」
イブはクリスの傷を手当てしながら言った。
「そうだよ、今の君は酷いケガをしてるし、外は真っ暗で危ないから、今日はオレ達の家で休みなさい」
ノーマンはクリスに家に泊まるように促した。
「ありがとうございます…。それに、巻き込んでしまって、ごめんなさい…」
クリスはノーマン一家に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
そして、何よりもラディッツの事が心配でたまらなかった。
「…ラディー、ごめんね…。今日は、帰れないや…」
窓の外の星空を眺めているうちに、堪えきれず涙が出てしまった。
そこへ、クリスを心配したポールとミーモが部屋にやってきた。
「あ、クリスお兄ちゃんが泣いてる！」
「お兄ちゃん、どうしたの？泣かないで」
「あ、ありがとう…。ごめんね…」
ポールとミーモは、悲しむクリスを慰めた。
「ねぇクリスお兄ちゃん、ラディッツさんって、どんな人なの？」
ミーモが言った。
クリスは涙を拭いて答えた。
「ラディーは、サイヤ人っていう強い宇宙の戦士なんだ。昔は悪い奴に騙されて悪い仕事をしてたけど、本当は強くて優しい人なんだ」
「へぇ、ラディッツさんも宇宙人なんだ。ぼくも会ってみたいなぁ」
「あたしも！」
クリスと兄妹達は楽しく話した。