クリスは傷付き、口から血を流しながらもピッコロと戦った。
ピッコロもまた、どんどん強くなっていくクリスに焦るようになった。
「なかなかやるな。孫悟空やラディッツとの戦いを思い出すぜ！」
ピッコロはニヤリと笑って言った。
「あなたの攻撃で、ラディーとカカロットさんがどれだけ痛くて怖い思いをした事か…」
クリスはぜぇぜぇと呼吸を乱しながら言った。
「貴様、その機械から全てを見ていたんだな。では…」
ピッコロが手を前に出すと、クリスは勢い良く飛ばされた。
その瞬間、手や足、尻尾と腹が、ピッコロのエネルギー波で拘束され、動けなくなってしまった。
「しまった！動けない！」
クリスはあわてて振りほどこうともがいた。
その時、スカウターが強い反応を捉えた。そしてクリスは真っ青になった。
ピッコロがエネルギーを貯めていた。
その構えは、ラディッツを倒した時のあの技だった。クリスは怖くて涙が出た。
それを見てピッコロはニヤリと笑った。
「貴様のその顔、あの時のラディッツと同じ顔だ…。気を貯めるオレに、怯えた目で訴えていたな…」
『待てぇーーー！！やめろぉーーーーー！！！』
「…！」
クリスの脳裏に、ラディッツの叫び声が蘇った。

その頃、ノーマンがこの岩場で大工に使う石を集めていた。
「うむ、これだけあれば…」
その時、爆発音がした。
ノーマンは大急ぎで向かった。
見ると、そこには技を構えるピッコロと、捕まって身動きが取れないクリスがいた。
「あれは、クリス君？！それに、あいつはピッコロじゃないか！」
実を言うとピッコロは、かつて地球を征服しようとしたピッコロ大魔王の息子で、父親に代わって悟空達を倒して、地球征服を企んでいたのだ。
その為、ピッコロは人々から恐れられているのである。
「大変だ!このままではクリス君が危ない！」
しかし、相手はあの強大なピッコロ大魔王の血を引く戦士だ。ノーマンにはどうすることもできない。
「くそ…、オレが悟空さん達みたいな強い戦士だったら…」