Dear Saiyans 7話・愛する友のために

ピッコロに勝負を申し込まれたクリスは、人や動物のいない岩場で戦うことにした。
クリスにとって、これが初めての本当の戦闘だ。
すごく怖いが、ラディッツを守る為には戦うしかない。
クリスはブルマから預かったラディッツのスカウターをつけて、臨戦体勢に入った。
「こっちは孫悟空のガキの面倒ばかり見てたんでな、ちょうど少し本格的な戦いをしたかったんだ。ラディッツの仲間のサイヤ人をぶちのめす修行をする為のな」
ピッコロは不敵な笑みを浮かべて言った。
スカウターに表示された数値が上がっていった。
「戦闘力が大きく上がった…。ラディーの言ってた通り、力を自在に操れるんだ。気を付けないと…」
クリスは構えた。
そして、胸の中でバーダックを思い出した。
『師匠、ぼくに力をください!どうかラディーを、守って下さい!』

「来い!クリス!!」
ピッコロが叫んだ。
「ピッコロさん、覚悟!!」
クリスは勢い良く、ピッコロに突っ込んだ。
クリスは、とても初めてとは思えないほどの身のこなしが軽かった。
しかし、何度も悟空と戦ったピッコロのほうが、一枚上手だった。
クリスは殴られ、蹴られ、叩き落とされ、あっという間にボロボロになった。
「その程度とは期待外れだな…」
ピッコロは余裕そうに言った。
「いいえ…、まだ、まだ負けません!ラディーを、ぼくの大切な友達を、守るんだ!!」
クリスのあのかわいい目はつり上がり、闘志むき出しの表情へと変わった。
そしてピッコロの攻撃をかわすと、おもいっきり蹴り飛ばした。
ピッコロは大きく吹き飛ばされたが、すぐに体勢を立て直した。
「そうこなくては、面白くないぜ!」
二人の戦いは、どんどん激しくなった。
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