とある日の前夜

多くの寮生が眠りに向かい、ゴールドハイムに静寂が広がっていく中、静かだが眠る気配のない者もいた。

「素材の数は、っと……うん、いいペース。あと5周で足りるかな」

蓮太郎の手と目、そして頭は高速で動き続けている。自らが定めたノルマを完遂するため、表情は真剣そのものだ。

「すう……すう……」
「あ、武器もドロップした。性能は……微妙か。終わったら即刻売却しよ」
「むう……ローザンヌ、こっちへおいで……」
「紫藤 晶、夢でもローザンヌと戯れてるし……。曜日クエストの編成も見直しとくか」
「むにゃ……すう……」
「……よし。次のギルド戦行けないってメッセも送ったし、ミッションコンプリート。これで、明日はダンキラに集中できる……」

本番はこれからだが、ひとまず達成感に浸る蓮太郎。次の戦いに備えて、彼は束の間の休息をとることにした。

「おはよう蓮太郎!今日という日にふさわしい、いい天気だよ!さあ行こう!」

なお、晶の起床により、蓮太郎の休息は文字通り束の間に終わったという。
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