とある日の前夜

入浴を終えて賢人が部屋に戻ると、落ち着かない様子のソラが出迎えた。

「おっ、賢人おかえりー!」
「ただいま、まだ起きてたんだな。つか、なんかソワソワしてね?」

まだそんなに遅い時間ではないが、賢人の言う通り、ソラにしては夜更かしだ。寝間着を着てはいるが、ベッドの中ではなく上に座っている。

「そうなんだよー。明日のこと考えてたら、寝つけなくってさ」
「あー……なるほどな」
「いろんなヤツといっぱいダンキラできるって思うと、すっげーワクワクするんだ!いつもなら、楽しみだーって気持ちでそのまま寝れるんだけど……」
「しょうがねーな。じゃあ、眠くなるまでオレと話でもするか?」
「いいのか?ありがとな、賢人!」

同部屋であることから共に過ごす時間は長いが、二人の話題が尽きることはない。いつも通りに、しかし声量はいつもより抑えて盛り上がる。

「この感じ、久しぶりだなー。オレも昔、眠れない時は兄貴と喋っててさ。……ソラ?」

程なくして会話が途切れ、不審に思うがすぐに理由を察した賢人。早かったなー、と呆れ半分、安心半分で呟き、彼も床に就くのだった。
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