01.目覚めるとそこは
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「……神?」
まだ気持ちが落ち着いた訳じゃないけど、今度は反射的に待ったをかけていた。
「おう、こー見えても神なんだわ、俺。ポップンの神、MZDだ」
エムゼットディー。それが名前だというのか。どうやらさっきの自己紹介は聞き間違いではないらしい。
王子様に出迎えられたと思ったらそこは異世界で、そう謳うのはあまりにもラフな神様。やっぱり騙されてるか、おかしな夢なのか。……それはそれでいいか。帰るよりはよっぽどいい。「騙されたと思って」という言葉があるけど、あれはこういう時のためのものなのかもしれない。
「まずは住む場所だけどー……実はもう考えてあるんだ」
「マジ?さすが神!」
「だろ〜?ここの隣、空いてたろ?よっ……と」
MZDさんが軽く指を振ったかと思うと、突然扉が現れた。魔法のようなものを、いや神様の力なら神通力?とにかくファンタジーな展開を目の当たりにして、一連の話をちゃんと信じるべきかもという気持ちが湧いてくる。
「この扉の向こうが今日からお前の部屋だ。せっかく中扉も作ったし、ついでにここも自分の家だと思っていいぜ〜」
「え!?お、女の子が、すぐ隣に住むってことか……!?」
「そうなると思ったから、部屋を分けてやったんだ。お前らが拾ったのも何かの縁だろ、ちゃんと面倒見てやれよ?んじゃまた明日な〜」
その言葉を最後に、MZDさんはこれまた魔法のように消えてしまった。相変わらず置いてけぼりだけど、聞き流してはいけなさそうなことをまず一つ確かめる。
「あの、拾った、とは……?」
「このマンションの外で貴女が倒れているのを僕達が見つけたのでございます。それを神様に連絡したところ、保護するよう指示されたのでございます」
それで、自分の部屋に運んでくれて、私が目を覚まして今に至る……ってことか。つまり……
「つまり、助けてくれたってことですよね。ありがとうございます」
「どういたしまして。神様の言った通り、こうして出会ったのもきっと何かの縁でございましょう。これからよろしくお願いしますね」
王子様が微笑む。すると、そこにお兄さんも笑顔で並んだ。
「よろしくな!俺はつよし、DJつよし!気軽に『ヨシくん』って呼んでいいぜ」
「そして僕が、OJつよしでございます。気軽に『王子』とお呼びくださいませ」
二人とも、同じ名前?DJに、OJ?しかもこんなにおとぎ話の王子様みたいなのに、日本人の名前……?
と、また混乱しそうになっていると、今度は苦笑いが二つ並ぶ。
「ま、いきなりいろんな話されちゃ困っちまうよな。俺達の話はまた今度するか〜」
「そうですね。今は、僕達がつよしだということだけ覚えて欲しいのでございます」
「……分かりました。改めまして、美伽です。よろしくお願いします」
「おう!さて、これからどうする、王子?」
「今日はもう遅いですし、美伽さんにはゆっくり休んでいただきたいと思いますが……いかがでございましょうか?」
「えっと……はい、異論はないです」
「そんじゃ決まりだな。おやすみ、美伽!」
「おやすみなさいませ。何かあったら遠慮なく呼んでください、でございます」
流れるように王子様がさっきの扉に手をかけていて、気づくとお見送りの態勢になっていた。これがさりげないエスコートってやつなのかな。
……と、待たせるのは良くない。足早に潜ろうとして……一度止まって、言い損ねそうになった「おやすみなさい」を口にした。
お次に私を出迎えたのは、さっきの部屋と同じ作りの、真新しい部屋。となると、こっちの扉を開けると……やっぱり寝室だ。とりあえずベッドで横になろう。
正直に言うと、新しい生活に期待している。でも、このまま甘えることへの後ろめたさ、本当に信じていいのかという疑り、そうやって疑念を向けてしまっている罪悪感、そんな気持ちが楽しみに思う自分を押さえつけている。
私は、どうすればいいんだろう。
……考え事をしても、何もいいことなさそう。うまく眠れる気がしないけど、今はただ目を閉じて朝を待ってみることにした。
後書き
まだ気持ちが落ち着いた訳じゃないけど、今度は反射的に待ったをかけていた。
「おう、こー見えても神なんだわ、俺。ポップンの神、MZDだ」
エムゼットディー。それが名前だというのか。どうやらさっきの自己紹介は聞き間違いではないらしい。
王子様に出迎えられたと思ったらそこは異世界で、そう謳うのはあまりにもラフな神様。やっぱり騙されてるか、おかしな夢なのか。……それはそれでいいか。帰るよりはよっぽどいい。「騙されたと思って」という言葉があるけど、あれはこういう時のためのものなのかもしれない。
「まずは住む場所だけどー……実はもう考えてあるんだ」
「マジ?さすが神!」
「だろ〜?ここの隣、空いてたろ?よっ……と」
MZDさんが軽く指を振ったかと思うと、突然扉が現れた。魔法のようなものを、いや神様の力なら神通力?とにかくファンタジーな展開を目の当たりにして、一連の話をちゃんと信じるべきかもという気持ちが湧いてくる。
「この扉の向こうが今日からお前の部屋だ。せっかく中扉も作ったし、ついでにここも自分の家だと思っていいぜ〜」
「え!?お、女の子が、すぐ隣に住むってことか……!?」
「そうなると思ったから、部屋を分けてやったんだ。お前らが拾ったのも何かの縁だろ、ちゃんと面倒見てやれよ?んじゃまた明日な〜」
その言葉を最後に、MZDさんはこれまた魔法のように消えてしまった。相変わらず置いてけぼりだけど、聞き流してはいけなさそうなことをまず一つ確かめる。
「あの、拾った、とは……?」
「このマンションの外で貴女が倒れているのを僕達が見つけたのでございます。それを神様に連絡したところ、保護するよう指示されたのでございます」
それで、自分の部屋に運んでくれて、私が目を覚まして今に至る……ってことか。つまり……
「つまり、助けてくれたってことですよね。ありがとうございます」
「どういたしまして。神様の言った通り、こうして出会ったのもきっと何かの縁でございましょう。これからよろしくお願いしますね」
王子様が微笑む。すると、そこにお兄さんも笑顔で並んだ。
「よろしくな!俺はつよし、DJつよし!気軽に『ヨシくん』って呼んでいいぜ」
「そして僕が、OJつよしでございます。気軽に『王子』とお呼びくださいませ」
二人とも、同じ名前?DJに、OJ?しかもこんなにおとぎ話の王子様みたいなのに、日本人の名前……?
と、また混乱しそうになっていると、今度は苦笑いが二つ並ぶ。
「ま、いきなりいろんな話されちゃ困っちまうよな。俺達の話はまた今度するか〜」
「そうですね。今は、僕達がつよしだということだけ覚えて欲しいのでございます」
「……分かりました。改めまして、美伽です。よろしくお願いします」
「おう!さて、これからどうする、王子?」
「今日はもう遅いですし、美伽さんにはゆっくり休んでいただきたいと思いますが……いかがでございましょうか?」
「えっと……はい、異論はないです」
「そんじゃ決まりだな。おやすみ、美伽!」
「おやすみなさいませ。何かあったら遠慮なく呼んでください、でございます」
流れるように王子様がさっきの扉に手をかけていて、気づくとお見送りの態勢になっていた。これがさりげないエスコートってやつなのかな。
……と、待たせるのは良くない。足早に潜ろうとして……一度止まって、言い損ねそうになった「おやすみなさい」を口にした。
お次に私を出迎えたのは、さっきの部屋と同じ作りの、真新しい部屋。となると、こっちの扉を開けると……やっぱり寝室だ。とりあえずベッドで横になろう。
正直に言うと、新しい生活に期待している。でも、このまま甘えることへの後ろめたさ、本当に信じていいのかという疑り、そうやって疑念を向けてしまっている罪悪感、そんな気持ちが楽しみに思う自分を押さえつけている。
私は、どうすればいいんだろう。
……考え事をしても、何もいいことなさそう。うまく眠れる気がしないけど、今はただ目を閉じて朝を待ってみることにした。
後書き
夢主の心情は序盤にしっかり描いておかなければ、と思ってここまで書いたのでそうならざるを得なかったのですが、見事に夢主の一人語りばかりでしたね。次回からはキャラとの絡みが増えていく予定です。
因みに、初稿では完全に同居でした。が、設定などを見直す際に引っ掛かりを感じてしまい、でも同居を諦めたくなくて、こういった形での折衷としました。大人になった弊害、という奴ですね。教師×生徒を受け付けなくなる、みたいな。
あっ大人マウントではないです、寧ろ精神的には成長してない部分の方が大きい、いや心は若いマウントになっちゃってないかこれ(謙遜が下手)
ところで、この連載の章タイトルとあらすじは感覚でつけています。タイトルを丁寧に考えようとすると考え過ぎて沼ってしまいがちなので、ここではこだわらないことにしました。良い感じに内容を表せてたらそれで良いかな、と。
そんな感じなので、章タイトルやあらすじがしれっと変わる事もあるかも知れません。お読みになる方も、そういうものとしてあまり気にしないで頂けると幸いです(ふわっとしてる〜)。
因みに、初稿では完全に同居でした。が、設定などを見直す際に引っ掛かりを感じてしまい、でも同居を諦めたくなくて、こういった形での折衷としました。大人になった弊害、という奴ですね。教師×生徒を受け付けなくなる、みたいな。
あっ大人マウントではないです、寧ろ精神的には成長してない部分の方が大きい、いや心は若いマウントになっちゃってないかこれ(謙遜が下手)
ところで、この連載の章タイトルとあらすじは感覚でつけています。タイトルを丁寧に考えようとすると考え過ぎて沼ってしまいがちなので、ここではこだわらないことにしました。良い感じに内容を表せてたらそれで良いかな、と。
そんな感じなので、章タイトルやあらすじがしれっと変わる事もあるかも知れません。お読みになる方も、そういうものとしてあまり気にしないで頂けると幸いです(ふわっとしてる〜)。
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