01.目覚めるとそこは
名前変換
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「おっ、待ってたぜー!」
部屋を出ると、もう一人男の人がいた。
軽めの格好をしていて、普通の人という感じがする。じゃあ、このお兄さんの方が家の主だろうか。とりあえず会釈をしてみると、ニコッと笑顔を返される。
どうしていいか分からず辺りを見回すと、王子様の姿を見つけた。さっきの言葉通りお茶を淹れていたらしく、カップが乗ったお盆を持っている。
「そこにお座りください。それと、こちらをどうぞ、でございます」
「ありがとうございます……」
とりあえず言われるままに座り、お茶を受け取る。
お盆の上には、あと3つカップが残っている。……1つ多い?なんて思った時だった。
「よーっす、来たぜ〜」
あまりにもちょうどいいタイミングで、4人目らしき人が入ってきた。服装は、お兄さんよりもさらに軽い。サングラスをしてる人って、リアルで初めて見たかも……。
「ちゃんと無事だな?よかったよかった。まずは、名前を聞かせてくれるか?」
「私、ですか?美伽です」
「俺はMZD、こいつらはつよし。何がどうなってんのか知りたいって顔してるし、詳しい自己紹介は一旦置いとくか」
この人が仕切るんだ、とか今の自己紹介なんか変だったような、とかいろいろ気になったけど、それよりも私の身に何が起きたか知れるのはありがたい。という訳で、大人しくサングラスの人の話を聞くことにした。王子様もいつの間にか配膳を終えて、お兄さんの隣に座っている。
「お前は、別の世界からこのポップンワールドにやってきたんだ」
最初に一番大事そうなことを言ってくれるのもありがたい。
私はというと、さっきからいろんなことが起こり過ぎているからだろうか。驚きとか信じられないとかよりも、理解しようとすることで精一杯だ。
別の世界、とこの人は確かに言った。つまりは、異世界とかそういういうやつ、なのか。
「なんでこんなことになってんのかは、まあ……ちょっとした面倒ごとが起きたっぽいな。で、結論から言うと、すぐ元の世界に帰すことはできない。お前のいた世界はここから遠すぎて俺の力も及ばないんだ」
「MZDも手を焼いてるって、よっぽどなんだなー」
お兄さんが呑気に口を挟む。王子様も特に動じていない。ちゃんと話についていけてないのは私だけらしい。
「もちろん、帰りたいなら手は尽くす。時間はかかると思うけど、お前の故郷を探して、繋いでやる。お前は、少しでも早く帰りたいか?」
「私は……」
帰りたくない。その気持ちは変わってないけど、言葉にするのはためらってしまう。
異世界に来てしまって、帰ることができない。嘘や冗談じゃないのなら、私にとってはむしろ好都合だ。だからこそ、急に怖くなった。
信じていいのか分からないし、本当に善意で優しくしてくれているなら、甘えてはいけない気がして、でも帰りたくはなくて……
「……ま、いいや。どうせ、しばらくはここで暮らすんだ。楽しんでもらわなきゃ俺の名が廃るってもんだ」
サングラスの奥は見えないけど、ふっと視線を外したのが分かった。答えられなかった私を責めている訳じゃなさそうで、ひとまずほっとしてしまう。そして、視線がすぐに戻されたのを感じる。
「改めて、ポップンワールドへようこそ、美伽。この世界の神として歓迎するぜ」
部屋を出ると、もう一人男の人がいた。
軽めの格好をしていて、普通の人という感じがする。じゃあ、このお兄さんの方が家の主だろうか。とりあえず会釈をしてみると、ニコッと笑顔を返される。
どうしていいか分からず辺りを見回すと、王子様の姿を見つけた。さっきの言葉通りお茶を淹れていたらしく、カップが乗ったお盆を持っている。
「そこにお座りください。それと、こちらをどうぞ、でございます」
「ありがとうございます……」
とりあえず言われるままに座り、お茶を受け取る。
お盆の上には、あと3つカップが残っている。……1つ多い?なんて思った時だった。
「よーっす、来たぜ〜」
あまりにもちょうどいいタイミングで、4人目らしき人が入ってきた。服装は、お兄さんよりもさらに軽い。サングラスをしてる人って、リアルで初めて見たかも……。
「ちゃんと無事だな?よかったよかった。まずは、名前を聞かせてくれるか?」
「私、ですか?美伽です」
「俺はMZD、こいつらはつよし。何がどうなってんのか知りたいって顔してるし、詳しい自己紹介は一旦置いとくか」
この人が仕切るんだ、とか今の自己紹介なんか変だったような、とかいろいろ気になったけど、それよりも私の身に何が起きたか知れるのはありがたい。という訳で、大人しくサングラスの人の話を聞くことにした。王子様もいつの間にか配膳を終えて、お兄さんの隣に座っている。
「お前は、別の世界からこのポップンワールドにやってきたんだ」
最初に一番大事そうなことを言ってくれるのもありがたい。
私はというと、さっきからいろんなことが起こり過ぎているからだろうか。驚きとか信じられないとかよりも、理解しようとすることで精一杯だ。
別の世界、とこの人は確かに言った。つまりは、異世界とかそういういうやつ、なのか。
「なんでこんなことになってんのかは、まあ……ちょっとした面倒ごとが起きたっぽいな。で、結論から言うと、すぐ元の世界に帰すことはできない。お前のいた世界はここから遠すぎて俺の力も及ばないんだ」
「MZDも手を焼いてるって、よっぽどなんだなー」
お兄さんが呑気に口を挟む。王子様も特に動じていない。ちゃんと話についていけてないのは私だけらしい。
「もちろん、帰りたいなら手は尽くす。時間はかかると思うけど、お前の故郷を探して、繋いでやる。お前は、少しでも早く帰りたいか?」
「私は……」
帰りたくない。その気持ちは変わってないけど、言葉にするのはためらってしまう。
異世界に来てしまって、帰ることができない。嘘や冗談じゃないのなら、私にとってはむしろ好都合だ。だからこそ、急に怖くなった。
信じていいのか分からないし、本当に善意で優しくしてくれているなら、甘えてはいけない気がして、でも帰りたくはなくて……
「……ま、いいや。どうせ、しばらくはここで暮らすんだ。楽しんでもらわなきゃ俺の名が廃るってもんだ」
サングラスの奥は見えないけど、ふっと視線を外したのが分かった。答えられなかった私を責めている訳じゃなさそうで、ひとまずほっとしてしまう。そして、視線がすぐに戻されたのを感じる。
「改めて、ポップンワールドへようこそ、美伽。この世界の神として歓迎するぜ」