夏の恋の歌(前編)

「アルト、今日の歌の練習はこの辺にしとこう。休んでていいよ」
「ハイ、ゴ主人様」

最近ハ、歌ノ練習ガ カナリ ハードデス。
ゴ主人様ガ言ウニハ、ソロソロ ヒサシブリニ新シイ歌ガ歌エル トノコトデ、毎日ガンバッテ練習シテイマス。
フト テーブルヲ見ルト、一枚ノ紙ガ置イテアリマシタ。

「スミダガワ……?」
「そう、今度アルトに歌ってもらう曲は隅田川の花火をテーマにした曲なんだ」

紙ニハ ゴ主人様ノ字デ 大キク"隅田川"トイウ字ト、ソノ下ニ小サク コレカラ歌詞ニナッテユクト思ワレル短イ言葉ガ タクサン書キ連ネラレテイマス。
ドウヤラ ゴ主人様ノ アイデアメモ ノヨウデス。

「ドンナ曲ナノデスカ?」
「それがまだ作り途中でね……曲名も未確定なんだ。今度ちょうどその花火大会があるから、せっかくだし曲作りの参考用も兼ねて見に行こうと思ってるところだよ」

花火……。ワタシモ、見テミタイデス。ケレド、ワタシハ機械ノ身……
許サレルデショウカ?
デモ、聞イテミナイコトニハ何モ始マリマセンヨネ……!

「ゴ主人様……!ワ、ワタシモ、花火ヲ見ニ行キタイデス……」
「アルトも?いいよ、二人で一緒に行こう」

フタリ?憧レノゴ主人様ト、フタリキリデ……?

「どうしたんだい?」
「イエ、何デモナイデス!デモ、イイノデショウカ?ワタシ、浴衣トカ持ッテマセンシ……」
「前にオプトが着てたのがなかったっけ?アルトが良ければ、ほら、あの夕顔模様の……」
「ソウイエバ……!デシタラ、ソレヲ着マショウ」
「気合入ってるね、僕も浴衣出そうかな?あ、僕そろそろご飯食べるね」
「オ手伝イ致シマス、ゴ主人様」

花火大会ハ オ店モタクサン出ルノデショウカ?カキ氷トカ、食ベテミタイデスガ ソレモ叶ワヌ夢……。
モシ、ワタシガ人間ダッタナラ……。
チョットダケ コノ身ガ恨メシイデス。
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