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「久し振りに休暇を貰えた」
「良かったね」
「………」
世良は言葉を続ける
「若葉も休みなのだろう」
「そうだけど」
「……少しくらい嬉しそうにしたらどうだ」
「?」
「買い物でもカフェ巡りでも何でも付き合ってやる」
「どうしたの」
「……何処か出掛けたい所はないのか」
「蓮二郎は出掛けたいの?」
「質問に質問で返すな。で、どうなんだ?」
二人の休みが重なるなんてそう滅多にない
世良は何とか連れ出そうとあれこれ誘いを掛けるも
イマイチ反応が薄い
「蓮二郎」
ソファーに座りこちらを手招きする
「ここ」
「何だ?」
若葉は自分の膝の上をポンポンと叩く
「たまに甘やかされるのも悪くないでしょ?」
「子供扱いするな」
「こういうのは嫌?」
「……嫌ではないが」
「じゃあ今日は蓮二郎をたくさん甘やかしてあげる」
「……出掛けなくていいのか」
「たまには家でゆっくり貴方と過ごすのも
悪くないって思うんだけど……どうかな?」
世良は別に出掛けたかった訳では無い。若葉が
行きたい所があるなら、としか考えていなかった
しかし本人がこう言うなら無理をして出かける
必要もない。それにそろそろ若葉不足が限界を
迎えそうだった
「……分かった」
普段は甘えるのが得意ではない。けれども今日は
素直になる事が出来た
……と言っても返事は相変わらず無愛想だが
「あれ……蓮二郎。ここに傷が出来てる」
「気にするな」
「この前の任務の時に?」
「かもしれんな」
「ねぇ。貴方に傷を付けたのって誰」
「聞いてどうする」
「懲らしめに行くの」
「案ずるな。俺が一人も残らず片付けた」
「ふーん……そう」
一瞬、女トップアサシンの顔が見えたのは
気の所為ではない
若葉と世良は実は同期であり、互いに互いの
性格を良く知っている
「お前が傷を負うとしたら誰かの為だろうな」
「どうかな。私ってワガママだから」
「せっかくの休みなのに俺を気遣って家で
過ごそうと言うやつの何処がワガママなのだ」
「蓮二郎に見せてないだけだよ」
「他の連中には見せているのか」
「んー、鈴蘭とか?同性だからおねだり
しやすいっていうか」
「明日、若葉を誑かすなと抗議せねばいかんな」
「止めてよ」
「今日はとことん甘やかしてくれるのだろう?」
「そうだよ」
「……疲れた。少しだけ眠たい」
「どうぞ」
時々、夢見る事がある。助ける事が出来なかった
仲間達の最後、何も出来なかった幼い頃の無力な
自分……
だが若葉と居るようになってからは少し
落ち着いてきたような気がする
「……俺は」
「ん?」
「若葉に甘えるどころか依存しているのかもしれんな」
「蓮二郎?」
「………」
「……寝ちゃった」
若葉は世良の頭を優しく撫でる
「ここ最近、ずっと忙しかったもんね……
疲れちゃうよね」
同じタイミングで数日間、休みを貰えたのは恐らく
鈴蘭と大丸の計らいなのだろう
「今回は私もお言葉に甘えさせてもらうね……
ありがとう。鈴蘭、大丸様」
先程、自分に甘えないとヤキモチを妬いていた
世良がこれを聞いていたらきっと怒っていた筈
けれどもスヤスヤと眠る世良には若葉の
呟きは当然、聞こえていないのだった