Normal
Name Change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「(やはり無慈悲な程に美味い……)」
喉越しの良い麺を頬張り、熱々のスープで
流し込めば口の中はまさに幸せでいっばいだ
とろりとした温泉卵、少し塩気の効いたチャーシューが
乗ったご飯はサイドメニューではなくメインと言っても
過言ではない
「(このまま食べるのもいいが……味変というものを
楽しんでみるとしよう)」
セルジオの手は卓上のコショウへと伸ばされる
「(空になっている。それ程繁盛しているという事か)」
カウンター内にいる店員は他の客が注文した料理を
作るのに大忙しだ。しかしせっかくのラーメンが
伸びてしまっては勿体ない
「ん、これ使って下さい」
「ありがとう」
すると隣の客からコショウが手渡された。見てみると
その客はコショウではなく、七味をラーメンに入れてた。
セルジオにはそれが不思議に思えたらしい
「そういう食べ方をするのがルールなのか」
「私は好きですけどね。この食べ方」
髪を一本に縛り、髪が落ちないようにしている辺り
自分と同じくラーメンに真剣に向き合っているのだろう
「若葉ちゃん。追加のラーメンもう少しで
出来るからね!」
「ありがとうございます!」
「(……追加?替え玉的なやつか)」
しかしその予想は大きく外れる事となる
「はいよ!大盛りにしといたからね」
「いただきます!あ、器ここに置いときます」
「あいよ!」
「(……何だと?)」
まさかのトッピングマシマシの塩ラーメンが
着丼したではないか
「味変、味変っ!いただきます」
「(そうか、これが本場の味変なのか)」
するとセルジオも二杯目のラーメンをすぐさま
注文した
「(この人すごく大食いだなぁ……)」
「(これが味変というのならそれに倣わねば……)」
「良い食べっぷりだった」
「……はい?」
お会計を済ませた若葉を店の外で待っていたのは
セルジオだった
「おかけで日本文化の知見を深める事が出来た。
とても感謝している」
「は、はぁ……どうも……?」
「俺は外国人だが日本文化をリスペクトしている。
君から得た知識を仲間にも必ず伝えよう」
それだけを言うとセルジオは颯爽とその場を後にする。
一人残された若葉はというと何が何だか分からないまま
その場に立ち尽くす
するとスマホに着信が入る
「久我の兄貴?どうされました」
兄貴分の久我からだ。事務所内にその姿が見えず
心配して電話を掛けてきたらしい
「変な奴に絡まれなかったかって……大丈夫ですよ。
ラーメン食べに行っただけですから!あ、でも
大食いの外国人のお兄さんには声を掛けられましたけど」
「思いっきり絡まれてるじゃねぇか。お前は変な奴に
好かれるから気をつけろよ」
「分かってますって!」
____________________
________________
数日後。とあるラーメン屋に外国人三人組が
客として来店していた
「兄さん……この玉子、生ですよね」
「お腹コワス!」
「日本の玉子は品質が保証されている。安心して
食っていい」
「やっぱりソーメンとの違いが分からない!」
味噌ラーメン、そして温玉チャーシュー丼……
セルジオはこの組み合わせが気に入ったらしい
「食べてみるといい」
「……美味しい」
「味噌汁とソーメンって意外に合う!」
「ルイス。これは味噌汁とそうめんではなく
味噌ラーメン。全くの別物だ」
「よく分からないケド美味い!」
ある程度食べ進めた所でセルジオはふと切り出す
「お前達。「味変」って知っているか?」
「えぇ……知ってますけど」
「コショウを入レル!」
「そうだ、そういう味変もある。だが本場の味変はこうだ」
「どう言う意味ですか?」
「はいよ!トッピング全マシ塩ラーメンだよ!」
話を遮るように店員が持ってきた3杯の塩ラーメンに
パブロとルイスは頭に疑問符が浮かんでいる
「兄さん……これは?」
「これが本場の味変だ」
「「え?」」
「この前、ラーメン食べに行った時に隣に
座っていた親切な娘が俺に教えてくれた」
「……ねぇ、その人兄さんにそう言ったのかな」
「知ラナイ!」
「さぁ遠慮なく食べるといい」
色々突っ込みたい所だが今のセルジオにそれを
指摘したらきっと日本文化を馬鹿にするのかと
言うだろう
「(兄さんに変な事を吹き込まないでほしいよ……)」
「俺はこっちの方がイイ!ソーメンに合う!」
「これはラーメンであってそうめんではない。
いい加減に覚えろ」
この平和な会話が行われているのが裏神本部襲撃後だと
知っている人間はこの場にいる3人しかいないのだった