洞窟の中
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そこは見たことがあるような無いような住宅街で、空は抜けるように晴れていた。
ふわふわと地に足がついていない感覚で道を進む。
私、なんで裸足で歩いてるんだろう。
ガーデニングが綺麗な大きな家が見え、生け垣に小さな白と黄色の花が咲いている。
その家に見とれて歩くと、すぐ目の前に赤い風船が迫っており、ギリギリのところで避ける。
お母さんと手を繋いでる男の子が持っている風船のようだった。
おっとと、、
ぶつかりそうになるのを避け、目線を下げれば、すれ違う男の子に既視感を感じる。
揺れるサラサラとした黒髪
─────────そうだ、この子、あの迷子
そうか、無事だったのね。良かった。
幸せそうに母親の顔を見上げ、笑う男の子に陽の光がキラキラとあたる。
……良かった?
私、自分が死に絶える時も目を覚ました時も、あの子が無事かどうか一瞬でも考えただろうか。
あの子のこと、頭に浮かびすらしなかった…
左の後頭部がズキリと痛み、傷付いたリヴァイが頭に浮かぶ。
いろんな所でいい顔ばっかして、いい人のふりして…本当は、なんて、薄情な…自分ばっかりの女…
ごめん、ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい
「ごめんなさい」
自分の声で目が覚める。
流れそうになる涙を手の甲で乱暴に拭い、起き上がって数回部屋を見渡し、昨日の事を思い出す。
ああ、そうだ、ここはリヴァイの部屋…
当の本人の姿はそこには無い。
そうか、私ここで生きてるのね。
ショールやアクセサリーを付けてから部屋を出る。
部屋の外に出ても人の気配がせず、階段を降りても誰もいない。
……誰もいない。リヴァイ…?
「…っ!リヴァイ!!!」
返事はなく、私の声が虚しく部屋に響く。
台所、風呂場、洗面台、イザベルとファーランの部屋
探しても探しても彼の姿が見えない。
わたし、が、自分勝手だから……す て ら れ た ?
心臓が激しく脈打つのを感じる。
でも、だって、約束して…
昨日は置いてかないって「言ったじゃない!!」
バンッ!!!
玄関のドアを開け外に飛び出すと、そこには驚いた顔の3人がいた。
「…あやか?」
「…リ…ヴァイ…」
「おっ!あやか起きたのか!」
「ごめんなぁ、どうしても今朝、仕事入っててずらせなくてなぁ...一人にしちゃって」
「起こして、くれれば、良かったのに…」
声が震えているの、バレてないようにしなきゃ…
「昨日色んな事があったから寝かせてやれってリヴァイが」
「そ、う。」
「分かったなら、早く入れ。朝飯だ。」
私とすれ違って部屋に入るリヴァイの姿があの男の子と被る。
咄嗟にリヴァイの背にしがみつく。
「…あやか?」
「…ご…め………か…な…で」
「あやか?」
私の腕にリヴァイの手が重なり、じんわりと温もりが伝わってくる。
もう、もう!!!だめだ私ぐちゃぐちゃだ。こんな不安定な感情全部ぶつけて、彼に寄り掛かり続けるの?しっかりしなきゃ!!
リヴァイの背中で大きく息を吸うと、石鹸と汗と、紅茶の匂いがして少し心が落ち着いた。
よし。
「ううん。何でもない!お腹すいちゃった!」
──ごめんなさい。置いていかないで──
眉間に皺を寄せるリヴァイを見ないようにして通りすぎ、台所へ向かう。
ファーランに台所の使い方を教えてもらいながら自分の朝食を準備して、既に朝食を済ませていた3人には紅茶を用意する。
昨日のスープとパンを口に入れるが、味の薄い野菜スープと固くてパサパサとしたパンに日本食が恋しくてたまらなくなった。
朝食は基本お米派だったしなぁ…お魚食べたい…このパンを毎日食べたら顎が強くなりそう…
私が食べ終わるのを待っているような気配を感じて、なるべく早く食べ終わるよう努力しなければと
パンを口に運ぶとイザベルがテーブルに深緑色のマントをテーブルの上に置いた。
「はい!これあやかのマント」
わたしの?首を傾げるとファーランが補足説明してくれる。
「これはあやかちゃんが外に出る時に必ず着てほしいものなんだ。このフードも被ってなるべく顔も見せないよう注意してほしい。」
「それは私が違う世界の人だから?」
「いや、それは口を開かなければわからないよ
…あやかちゃんの容姿の人は珍しくてね。ここでは東洋人と言って、人身売買では高値で取引きされる人種の為、狙われやすいんだよ。特に女の子はね。」
東洋人、国が無いということなのにおかしな区分だ。
「だから、お前は1歩でも外に出る時は必ずこれを着て、フードを被れ。絶対だ。」
「…わかった」
「それで、この後あやかの必要な物、皆で買いに行くんだよな!」
「そうだな。ここがどんな所か説明するにも見て回った方が早いからな。」
私の日用品を買うってことかな…ありがたい話だけれど…
「…ごめんなさい、私お金持ってなくて」
「気にするな。それくらいの余裕はある。」
有無を言わさないような口調のリヴァイ
私は飢えた姿のリヴァイを知っているし、この食生活からあまり裕福な暮らしが出来てないことも分かる。
私にお金をつかうくらいなら、この3人の生活に回してほしい。
でも、東洋人らしい見た目の私は外で働くということも難しいだろう…なにか、なにか、
ふと自分の指で光る指輪に目がいく。
確か前にあげたアクセサリー類が高く売れたって言ってなかったっけ?
「リヴァイ、これ売りたいんだけど売れるかな?」
ピアス、指輪、ネックレス、ショールを外した順に机に並べる。
全て私のお気に入りで、小さいながらに宝石も入ってる。あちらの世界にいた時に自分へのご褒美に、と奮発して買ったものばかりだ。
以前渡したものより何倍も価値がある。
「あやかちゃん、これ凄い良い物だけれど…いいの?」
「…却下だ。これはお前が持ってろ。」
イザベルがすげぇキラキラしてる。と揺らして見ているネックレスを取り上げ、私の前に戻す。
「…おんぶに抱っこなんて嫌なの。
このまま買い物に行ったって遠慮して、必要な物を欲しいとは言えないし、あなた達に負い目を感じてしまう。
これがどれだけ足しになるか分からないけれど…売ってちょうだい」
「…わかった。俺が今換金してくるから待ってろ」
「いいえ…。ダメよ。
これを売ったように見せかけて取っておくこともできてしまうじゃない。私の目の前で売ってちょうだい」
図星だったのか舌打ちして睨まれるが、こちらだって折れるわけにはいかない。
恐い顔したってダメなんだから。
そもそも私の持ち物なんだからどうしたっていいじゃない。
膠着状態の私達に見かねたように、ため息をついてファーランが口を開く。
「あやかちゃん。分かったよ。でもリヴァイの気持ちも分かってくれ。あちらの世界から持ってきた数少ない物を大切にしてほしいって、気持ちを。」
「余計なこと言うんじゃねぇ」と鋭い目はファーランに移る。
思いもしない言葉に息がつまる。
私のためを思って…
「…そうだった…のね。リヴァイ気がつかなくて、ごめんなさい。でも、譲れないの…」
「意外と強情な女だ」
「だから、これだけ取っておこうかな。他は売ってほしい」
ネックレスを首につける。
「これでもダメだと言うなら私、マントを着る約束も忘れて外に飛び出してしまうかもしれないわよ。」
「………早く食え…行くぞ」
勝った。勝ったわ!勝ったのよね?とイザベルとファーランを見ると、2人は口を押さえて笑いを堪えながら親指を立ててくれる。
「うん!わかった!ありがとう!」
固いパンを口一杯に頬張る
ふわふわと地に足がついていない感覚で道を進む。
私、なんで裸足で歩いてるんだろう。
ガーデニングが綺麗な大きな家が見え、生け垣に小さな白と黄色の花が咲いている。
その家に見とれて歩くと、すぐ目の前に赤い風船が迫っており、ギリギリのところで避ける。
お母さんと手を繋いでる男の子が持っている風船のようだった。
おっとと、、
ぶつかりそうになるのを避け、目線を下げれば、すれ違う男の子に既視感を感じる。
揺れるサラサラとした黒髪
─────────そうだ、この子、あの迷子
そうか、無事だったのね。良かった。
幸せそうに母親の顔を見上げ、笑う男の子に陽の光がキラキラとあたる。
……良かった?
私、自分が死に絶える時も目を覚ました時も、あの子が無事かどうか一瞬でも考えただろうか。
あの子のこと、頭に浮かびすらしなかった…
左の後頭部がズキリと痛み、傷付いたリヴァイが頭に浮かぶ。
いろんな所でいい顔ばっかして、いい人のふりして…本当は、なんて、薄情な…自分ばっかりの女…
ごめん、ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい
「ごめんなさい」
自分の声で目が覚める。
流れそうになる涙を手の甲で乱暴に拭い、起き上がって数回部屋を見渡し、昨日の事を思い出す。
ああ、そうだ、ここはリヴァイの部屋…
当の本人の姿はそこには無い。
そうか、私ここで生きてるのね。
ショールやアクセサリーを付けてから部屋を出る。
部屋の外に出ても人の気配がせず、階段を降りても誰もいない。
……誰もいない。リヴァイ…?
「…っ!リヴァイ!!!」
返事はなく、私の声が虚しく部屋に響く。
台所、風呂場、洗面台、イザベルとファーランの部屋
探しても探しても彼の姿が見えない。
わたし、が、自分勝手だから……す て ら れ た ?
心臓が激しく脈打つのを感じる。
でも、だって、約束して…
昨日は置いてかないって「言ったじゃない!!」
バンッ!!!
玄関のドアを開け外に飛び出すと、そこには驚いた顔の3人がいた。
「…あやか?」
「…リ…ヴァイ…」
「おっ!あやか起きたのか!」
「ごめんなぁ、どうしても今朝、仕事入っててずらせなくてなぁ...一人にしちゃって」
「起こして、くれれば、良かったのに…」
声が震えているの、バレてないようにしなきゃ…
「昨日色んな事があったから寝かせてやれってリヴァイが」
「そ、う。」
「分かったなら、早く入れ。朝飯だ。」
私とすれ違って部屋に入るリヴァイの姿があの男の子と被る。
咄嗟にリヴァイの背にしがみつく。
「…あやか?」
「…ご…め………か…な…で」
「あやか?」
私の腕にリヴァイの手が重なり、じんわりと温もりが伝わってくる。
もう、もう!!!だめだ私ぐちゃぐちゃだ。こんな不安定な感情全部ぶつけて、彼に寄り掛かり続けるの?しっかりしなきゃ!!
リヴァイの背中で大きく息を吸うと、石鹸と汗と、紅茶の匂いがして少し心が落ち着いた。
よし。
「ううん。何でもない!お腹すいちゃった!」
──ごめんなさい。置いていかないで──
眉間に皺を寄せるリヴァイを見ないようにして通りすぎ、台所へ向かう。
ファーランに台所の使い方を教えてもらいながら自分の朝食を準備して、既に朝食を済ませていた3人には紅茶を用意する。
昨日のスープとパンを口に入れるが、味の薄い野菜スープと固くてパサパサとしたパンに日本食が恋しくてたまらなくなった。
朝食は基本お米派だったしなぁ…お魚食べたい…このパンを毎日食べたら顎が強くなりそう…
私が食べ終わるのを待っているような気配を感じて、なるべく早く食べ終わるよう努力しなければと
パンを口に運ぶとイザベルがテーブルに深緑色のマントをテーブルの上に置いた。
「はい!これあやかのマント」
わたしの?首を傾げるとファーランが補足説明してくれる。
「これはあやかちゃんが外に出る時に必ず着てほしいものなんだ。このフードも被ってなるべく顔も見せないよう注意してほしい。」
「それは私が違う世界の人だから?」
「いや、それは口を開かなければわからないよ
…あやかちゃんの容姿の人は珍しくてね。ここでは東洋人と言って、人身売買では高値で取引きされる人種の為、狙われやすいんだよ。特に女の子はね。」
東洋人、国が無いということなのにおかしな区分だ。
「だから、お前は1歩でも外に出る時は必ずこれを着て、フードを被れ。絶対だ。」
「…わかった」
「それで、この後あやかの必要な物、皆で買いに行くんだよな!」
「そうだな。ここがどんな所か説明するにも見て回った方が早いからな。」
私の日用品を買うってことかな…ありがたい話だけれど…
「…ごめんなさい、私お金持ってなくて」
「気にするな。それくらいの余裕はある。」
有無を言わさないような口調のリヴァイ
私は飢えた姿のリヴァイを知っているし、この食生活からあまり裕福な暮らしが出来てないことも分かる。
私にお金をつかうくらいなら、この3人の生活に回してほしい。
でも、東洋人らしい見た目の私は外で働くということも難しいだろう…なにか、なにか、
ふと自分の指で光る指輪に目がいく。
確か前にあげたアクセサリー類が高く売れたって言ってなかったっけ?
「リヴァイ、これ売りたいんだけど売れるかな?」
ピアス、指輪、ネックレス、ショールを外した順に机に並べる。
全て私のお気に入りで、小さいながらに宝石も入ってる。あちらの世界にいた時に自分へのご褒美に、と奮発して買ったものばかりだ。
以前渡したものより何倍も価値がある。
「あやかちゃん、これ凄い良い物だけれど…いいの?」
「…却下だ。これはお前が持ってろ。」
イザベルがすげぇキラキラしてる。と揺らして見ているネックレスを取り上げ、私の前に戻す。
「…おんぶに抱っこなんて嫌なの。
このまま買い物に行ったって遠慮して、必要な物を欲しいとは言えないし、あなた達に負い目を感じてしまう。
これがどれだけ足しになるか分からないけれど…売ってちょうだい」
「…わかった。俺が今換金してくるから待ってろ」
「いいえ…。ダメよ。
これを売ったように見せかけて取っておくこともできてしまうじゃない。私の目の前で売ってちょうだい」
図星だったのか舌打ちして睨まれるが、こちらだって折れるわけにはいかない。
恐い顔したってダメなんだから。
そもそも私の持ち物なんだからどうしたっていいじゃない。
膠着状態の私達に見かねたように、ため息をついてファーランが口を開く。
「あやかちゃん。分かったよ。でもリヴァイの気持ちも分かってくれ。あちらの世界から持ってきた数少ない物を大切にしてほしいって、気持ちを。」
「余計なこと言うんじゃねぇ」と鋭い目はファーランに移る。
思いもしない言葉に息がつまる。
私のためを思って…
「…そうだった…のね。リヴァイ気がつかなくて、ごめんなさい。でも、譲れないの…」
「意外と強情な女だ」
「だから、これだけ取っておこうかな。他は売ってほしい」
ネックレスを首につける。
「これでもダメだと言うなら私、マントを着る約束も忘れて外に飛び出してしまうかもしれないわよ。」
「………早く食え…行くぞ」
勝った。勝ったわ!勝ったのよね?とイザベルとファーランを見ると、2人は口を押さえて笑いを堪えながら親指を立ててくれる。
「うん!わかった!ありがとう!」
固いパンを口一杯に頬張る