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世界の破れる音がする。鳴り渡るサイレンにお構いなく、破れ目の場所まで歩みを進めた。誰かが来てしまう前に早く、たどり着かなければ。指定された日時は今日の17時20分。傾きかける夕日が地平線より先にビルの向こうに消える。ズズン、と大きな地響きと共に近界民が現れる。見上げる程の大きな巨躯が、獲物を探して動き回る。あれの後ろ、開いたゲートの先に、あの人が待っていると言った。確かに彼自身が、そう言った。
「待っててね、麟児さん」
会うのはいつぶりだったかしら、もう何年も会っていないような、昨日初めて出会ったような、そんな不思議な気持ちで両手を広げた。偶然にも降り出した雨は、あの人によく似ている。近界民が私の姿を捉える。こちらに振り向き、口を開ける。飲み込まれまいと、走ろうとしたその時、背中に衝撃が走った。
「くそっ、またあんたかよ!」
聞き覚えのあるような、初めて聞く声。痛みとともに私はその場に崩れ落ちた。途絶える意識の中、近界民が破壊される音と、
「向こうの世界で待っている」
と囁く、麟児さんの微笑む顔が見えた。
目が覚めると、誰もいない白い部屋に横たわっていた。頭に違和感を覚え手で触れようとしたが、腕がベットに固定されているようで叶わなかった。
「お久しぶりですね。貴方は覚えていないかもしれないですが」
「誰?」
「界境防衛機関、ボーダーです。覚えてないでしょうが、貴方がこの部屋に来るの、もう4回目なんですよね」
「私、行かなきゃならない所が」
「それは、うちの組織としては行ってもらっちゃ困るとこなんですよね」
捕まった、失敗したのだと思い知る。だから誰よりも早くたどり着かなければならなかったのに。
「情報は前回のデータが残っておる。もう意味もないだろう。さっさと始めろ」
別の男の声がして、頭が痺れるような感覚と一緒に目の前が真っ暗になった。
「お前は後から、こちらに来い。迎えに行くよ。向こうの世界で待ってる」
聞こえているのは歪んだ貴方と歩む音。私だけ繰り返す、約束のあの日。
「待っててね、麟児さん」
会うのはいつぶりだったかしら、もう何年も会っていないような、昨日初めて出会ったような、そんな不思議な気持ちで両手を広げた。偶然にも降り出した雨は、あの人によく似ている。近界民が私の姿を捉える。こちらに振り向き、口を開ける。飲み込まれまいと、走ろうとしたその時、背中に衝撃が走った。
「くそっ、またあんたかよ!」
聞き覚えのあるような、初めて聞く声。痛みとともに私はその場に崩れ落ちた。途絶える意識の中、近界民が破壊される音と、
「向こうの世界で待っている」
と囁く、麟児さんの微笑む顔が見えた。
目が覚めると、誰もいない白い部屋に横たわっていた。頭に違和感を覚え手で触れようとしたが、腕がベットに固定されているようで叶わなかった。
「お久しぶりですね。貴方は覚えていないかもしれないですが」
「誰?」
「界境防衛機関、ボーダーです。覚えてないでしょうが、貴方がこの部屋に来るの、もう4回目なんですよね」
「私、行かなきゃならない所が」
「それは、うちの組織としては行ってもらっちゃ困るとこなんですよね」
捕まった、失敗したのだと思い知る。だから誰よりも早くたどり着かなければならなかったのに。
「情報は前回のデータが残っておる。もう意味もないだろう。さっさと始めろ」
別の男の声がして、頭が痺れるような感覚と一緒に目の前が真っ暗になった。
「お前は後から、こちらに来い。迎えに行くよ。向こうの世界で待ってる」
聞こえているのは歪んだ貴方と歩む音。私だけ繰り返す、約束のあの日。