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夢小説設定
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深夜、カタカタと鳴るキーボードの音。すっかり冷えたスープをすすりながら、早乙女は研究室のパソコンを弄っていた。
「んー……ここを改良したらもっと良くなるかな……」
ブツブツ独り言を言っている様子は、はっきり言って少し怖い。目の下のクマをパソコンの青い光が照らし出す。ボーダーのエンジニアである彼女は、昼間は所属チームの研究をし、夜の時間は自分だけの研究に時間をあてていた。時刻はとうに0時を回り、今日も彼女はボーダーの部屋に泊まり込む気でいた。夢中で画面を見つめていて、早乙女は背後の扉が開いたことに気が付かない。
「いつまでやってんの?」
「うっひゃい!」
突然聞こえた声に、早乙女は飛び上がる。恐る恐る振り向けば、彼女の上司である寺島雷蔵が立っていた。
「なんだ、雷蔵さんかぁ~。びっくりしたなぁ」
「お前、徹夜何日目? 好きだからって、あんま無理すんなよ」
「分かってますよぉ」
そう言いつつ、またパソコンの画面に向き直る彼女に、雷蔵はため息を吐いた。
「雷蔵さんは? こんな時間にどうしたんですか?」
「別に。ちょっと忘れ物して、どーしても気になったから来ただけだよ」
雷蔵は自分のデスクに着くと、引き出しを引いてトリガーを取り出した。状態と中身を確認し、明日の業務の準備が整っていることを確認した。用は済んだ、と雷蔵はそそくさと帰る支度をする。
「女の子1人じゃ物騒だからさ、鍵閉めたいんだけど」
「んー」
「お前、ここに泊まんの?」
「そーですねー」
全く聞いてない部下に、もう一度聞こえるように雷蔵はため息を吐いた。それでも早乙女は知らん顔で作業を続けた。
「聞いてんの?」
「聞いてますよぉー」
「じゃあさ、好きな女を置いて1人で帰れないから、もう終わりにしてくれる?」
「はいはい……はい?」
軽やかに動いていた指がピタッと止まる。早乙女はギギギ、と音がしそうなくらいゆっくりと振り向き、明日も顔を合わせるチーフと向き合った。
「え、えーとぉ? なんとおっしゃいました?」
「だから、お前が好きだからやめてって言ってんの」
「雷蔵さんが? 私を?」
「そう」
いつも通り、何気無しに言う彼に、早乙女の頭は混乱を極めた。自分には他に好きな人が、そもそも、この人彼女いなかったか? ぐるぐると回る思考に酔っていると、雷蔵がふっと鼻で笑う声がする。
「雷蔵さん……?」
「早乙女さ、4月馬鹿って分かる?」
その質問に、言葉を失くす。思考停止していると、
「今日からもう4月だよ。じゃ、後鍵閉めといてね」
と言いつけと鍵を残し、雷蔵はさっさと帰ってしまった。
「ちょ……チーフゥ!!」
早乙女の悔しげな悲鳴が、廊下まで響いた。それを聞きながら、雷蔵は肩で笑い帰路についた。
「んー……ここを改良したらもっと良くなるかな……」
ブツブツ独り言を言っている様子は、はっきり言って少し怖い。目の下のクマをパソコンの青い光が照らし出す。ボーダーのエンジニアである彼女は、昼間は所属チームの研究をし、夜の時間は自分だけの研究に時間をあてていた。時刻はとうに0時を回り、今日も彼女はボーダーの部屋に泊まり込む気でいた。夢中で画面を見つめていて、早乙女は背後の扉が開いたことに気が付かない。
「いつまでやってんの?」
「うっひゃい!」
突然聞こえた声に、早乙女は飛び上がる。恐る恐る振り向けば、彼女の上司である寺島雷蔵が立っていた。
「なんだ、雷蔵さんかぁ~。びっくりしたなぁ」
「お前、徹夜何日目? 好きだからって、あんま無理すんなよ」
「分かってますよぉ」
そう言いつつ、またパソコンの画面に向き直る彼女に、雷蔵はため息を吐いた。
「雷蔵さんは? こんな時間にどうしたんですか?」
「別に。ちょっと忘れ物して、どーしても気になったから来ただけだよ」
雷蔵は自分のデスクに着くと、引き出しを引いてトリガーを取り出した。状態と中身を確認し、明日の業務の準備が整っていることを確認した。用は済んだ、と雷蔵はそそくさと帰る支度をする。
「女の子1人じゃ物騒だからさ、鍵閉めたいんだけど」
「んー」
「お前、ここに泊まんの?」
「そーですねー」
全く聞いてない部下に、もう一度聞こえるように雷蔵はため息を吐いた。それでも早乙女は知らん顔で作業を続けた。
「聞いてんの?」
「聞いてますよぉー」
「じゃあさ、好きな女を置いて1人で帰れないから、もう終わりにしてくれる?」
「はいはい……はい?」
軽やかに動いていた指がピタッと止まる。早乙女はギギギ、と音がしそうなくらいゆっくりと振り向き、明日も顔を合わせるチーフと向き合った。
「え、えーとぉ? なんとおっしゃいました?」
「だから、お前が好きだからやめてって言ってんの」
「雷蔵さんが? 私を?」
「そう」
いつも通り、何気無しに言う彼に、早乙女の頭は混乱を極めた。自分には他に好きな人が、そもそも、この人彼女いなかったか? ぐるぐると回る思考に酔っていると、雷蔵がふっと鼻で笑う声がする。
「雷蔵さん……?」
「早乙女さ、4月馬鹿って分かる?」
その質問に、言葉を失くす。思考停止していると、
「今日からもう4月だよ。じゃ、後鍵閉めといてね」
と言いつけと鍵を残し、雷蔵はさっさと帰ってしまった。
「ちょ……チーフゥ!!」
早乙女の悔しげな悲鳴が、廊下まで響いた。それを聞きながら、雷蔵は肩で笑い帰路についた。