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清々しい空気、小鳥たちの鳴き声、朝ってのは素晴らしいと思う。新しい1日の始まり、身体も休息から目覚めて元気いっぱい。気分爽快、このままの気分で学校の門をくぐる……ことが出来たらいいのだが。
「まぁたこんな混んでんのかよ……!」
生憎の電車通学。俺の家からボーダーの提携校に行くのには仕方ない。通勤ラッシュの満員電車に、今日もぎゅうぎゅうと押し込まれる。呼吸も苦しい状態の中、俺より頭一個分下の位置で埋もれる顔を見つけた。
(あき先輩だ)
小さい身体は、ちゃんと足が床についているのかさえ怪しくて、電車と人が揺れるごとに呑まれている。俺は人を掻き分け側に寄ると、先輩が息をするスペースを作ってあげた。
「おはよ、あき先輩」
「……おはよう、出水」
俺とあき先輩は同じボーダーの一員で、入隊時期が近かったからそこそこ話す。背の低いあき先輩は、それを活かしてすばしっこい戦い方をする。確か陸上部にも入っていて、長距離走のエースだとか聞いた。けれど満員電車の中じゃ、そんな能力も意味はなく、ただただ押しつぶされるだけだ。
「出水、無理しないで」
「なにが?」
「腕、支えてるの辛いでしょ」
あき先輩が潰されないように、肩肘を張ってスペースを作っている。正直、のしかかる重さは堪えるものがある。けれど、ここで先輩を見捨てるなんて男がすたるだろ?
「平気、へーき! これくらいなんともないっすよ!」
「そう……? 悪いね」
眉尻をうっすら下げ、申し訳なさそうにあき先輩は笑う。もっと大きく笑えばいいのになーと、俺はいつも思っていた。
「出水がこんな頼もしいとは思わなかった」
「ちょっと! 俺いつも頼もしいでしょ? 射手のトリガー、使い方教えたじゃないですか!」
「ふふ。そうだね」
意外とこの人は意地悪な面も持っているんだよな、そう思った時に電車が大きく揺れた。
「!!」
「っと、あき先輩大丈夫?」
胸元に飛び込んできた先輩を受け止めた。ちょっと心臓がうるさいのは気づかれただろうか。
「先輩?」
「だ、大丈夫、大丈夫です」
俺から離れようとするも、人に押し付けられて身動きが出来ないようだ。日に焼けた先輩の耳が、熱を持って赤くなっているのが分かった。そんな恥ずかしがられると、こっちもこそばゆい。そのまま、会話もないまま最寄り駅に到着した。どっと動く人の波に流されて、あき先輩を見失う。役目は終わったな、とゆっくり電車を降りたら。
「出水、出水」
あき先輩は駅のホームで待っていた。恥ずかしがり屋の先輩だから、先に行ってしまうと思っていた。
「ありがとう、助かった」
先輩の顔は照れているのか、ちょっぴり不機嫌そうだった。
「まぁたこんな混んでんのかよ……!」
生憎の電車通学。俺の家からボーダーの提携校に行くのには仕方ない。通勤ラッシュの満員電車に、今日もぎゅうぎゅうと押し込まれる。呼吸も苦しい状態の中、俺より頭一個分下の位置で埋もれる顔を見つけた。
(あき先輩だ)
小さい身体は、ちゃんと足が床についているのかさえ怪しくて、電車と人が揺れるごとに呑まれている。俺は人を掻き分け側に寄ると、先輩が息をするスペースを作ってあげた。
「おはよ、あき先輩」
「……おはよう、出水」
俺とあき先輩は同じボーダーの一員で、入隊時期が近かったからそこそこ話す。背の低いあき先輩は、それを活かしてすばしっこい戦い方をする。確か陸上部にも入っていて、長距離走のエースだとか聞いた。けれど満員電車の中じゃ、そんな能力も意味はなく、ただただ押しつぶされるだけだ。
「出水、無理しないで」
「なにが?」
「腕、支えてるの辛いでしょ」
あき先輩が潰されないように、肩肘を張ってスペースを作っている。正直、のしかかる重さは堪えるものがある。けれど、ここで先輩を見捨てるなんて男がすたるだろ?
「平気、へーき! これくらいなんともないっすよ!」
「そう……? 悪いね」
眉尻をうっすら下げ、申し訳なさそうにあき先輩は笑う。もっと大きく笑えばいいのになーと、俺はいつも思っていた。
「出水がこんな頼もしいとは思わなかった」
「ちょっと! 俺いつも頼もしいでしょ? 射手のトリガー、使い方教えたじゃないですか!」
「ふふ。そうだね」
意外とこの人は意地悪な面も持っているんだよな、そう思った時に電車が大きく揺れた。
「!!」
「っと、あき先輩大丈夫?」
胸元に飛び込んできた先輩を受け止めた。ちょっと心臓がうるさいのは気づかれただろうか。
「先輩?」
「だ、大丈夫、大丈夫です」
俺から離れようとするも、人に押し付けられて身動きが出来ないようだ。日に焼けた先輩の耳が、熱を持って赤くなっているのが分かった。そんな恥ずかしがられると、こっちもこそばゆい。そのまま、会話もないまま最寄り駅に到着した。どっと動く人の波に流されて、あき先輩を見失う。役目は終わったな、とゆっくり電車を降りたら。
「出水、出水」
あき先輩は駅のホームで待っていた。恥ずかしがり屋の先輩だから、先に行ってしまうと思っていた。
「ありがとう、助かった」
先輩の顔は照れているのか、ちょっぴり不機嫌そうだった。