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私の部屋には同居人がいる。
「コラァ、あき! 頼むから下着姿で過ごすなや!」
「私の家やし」
「俺もいるから!」
彼、生駒達人は私の、残念ながら幼馴染というやつだ。京都から三門市に達人がスカウトされて、達人の家の人が心配だから付いて行ってやって、なんて冗談を言ったら、うちの人が真に受けて送り出されてしまった。しかも、うちも一人娘が心配だから一緒に住まわせろと。両家は私と達人が付き合っていると勘違いしてる節がある。
「だって下着でだらだらするの解放感あって楽なんやもん」
「アホ! 男の前でやるやつあるか!」
「たっちゃんは男やないし」
「俺にとってあきは女やねん!」
今更何を恥じらうのだろうか、といつも不思議に思う。実家にはお互い真っ裸でプール遊びに勤しむ写真が残っているというのに。お風呂だって小学生までは一緒に放り込まれていた気がする。
「こんな下着姿の幼馴染、どこが女やねん」
「女は女やろ」
「よく分からんなぁ」
「……ほんまは分かっとるやろ、お前」
恨めしそうに私を睨み、私の上に膝掛けをふわっとかける。
「早よ服着いや、風邪引くで」
それっきり背中を向けて、雑誌を読み出す達人。その背中は逞しく広く感じる。いつから、そう見えたっけ。
「なに読んでんのー?」
「……ほんっまキレるで、あき!」
背中にのしかかって抱きつけば、達人は思いっきり私を振り払い向き直った。
「なにがしたいねん、お前は」
「……別に」
「俺かて男やで、あきのこと傷つけるかも分からんのやで?」
「別にそれでもいいし」
「はあ? なんでそない自暴自棄なん」
黙ってそっぽを向けば、達人は大きくため息を吐いた。重い空気に耐えきれずに、立ち上がって部屋に戻ろうとするが、
「待て」
と達人に腕を引かれた。掴まれた部分が、達人の手の温度で温まっていく。
「……あき、お前俺のこと好きなんか?」
「好きなわけないやん」
「せやんな? じゃあなんで間違いを誘うようなことする?」
「……」
「俺も、我慢に限界があるで」
我慢しなけりゃいいのに、と投げやりに思う。私にとってたっちゃんは男じゃない、家族だ。けれど、いつしか惹かれる自分を胸底に見つけて、押し込めて。気持ちの変化についていけずに、有耶無耶にして誤魔化したいだけだ。
「家族やし、たっちゃんは」
「おう、俺かてそう思ってるで。けど、そろそろ一歩踏み出して変わってもええやろ?」
振り向けば、困った顔の達人がいた。
「あきが好きや。俺の、恋人になってくれるか?」
たっちゃんの我慢の糸が切れる前に、答えは出せるだろうか?
「コラァ、あき! 頼むから下着姿で過ごすなや!」
「私の家やし」
「俺もいるから!」
彼、生駒達人は私の、残念ながら幼馴染というやつだ。京都から三門市に達人がスカウトされて、達人の家の人が心配だから付いて行ってやって、なんて冗談を言ったら、うちの人が真に受けて送り出されてしまった。しかも、うちも一人娘が心配だから一緒に住まわせろと。両家は私と達人が付き合っていると勘違いしてる節がある。
「だって下着でだらだらするの解放感あって楽なんやもん」
「アホ! 男の前でやるやつあるか!」
「たっちゃんは男やないし」
「俺にとってあきは女やねん!」
今更何を恥じらうのだろうか、といつも不思議に思う。実家にはお互い真っ裸でプール遊びに勤しむ写真が残っているというのに。お風呂だって小学生までは一緒に放り込まれていた気がする。
「こんな下着姿の幼馴染、どこが女やねん」
「女は女やろ」
「よく分からんなぁ」
「……ほんまは分かっとるやろ、お前」
恨めしそうに私を睨み、私の上に膝掛けをふわっとかける。
「早よ服着いや、風邪引くで」
それっきり背中を向けて、雑誌を読み出す達人。その背中は逞しく広く感じる。いつから、そう見えたっけ。
「なに読んでんのー?」
「……ほんっまキレるで、あき!」
背中にのしかかって抱きつけば、達人は思いっきり私を振り払い向き直った。
「なにがしたいねん、お前は」
「……別に」
「俺かて男やで、あきのこと傷つけるかも分からんのやで?」
「別にそれでもいいし」
「はあ? なんでそない自暴自棄なん」
黙ってそっぽを向けば、達人は大きくため息を吐いた。重い空気に耐えきれずに、立ち上がって部屋に戻ろうとするが、
「待て」
と達人に腕を引かれた。掴まれた部分が、達人の手の温度で温まっていく。
「……あき、お前俺のこと好きなんか?」
「好きなわけないやん」
「せやんな? じゃあなんで間違いを誘うようなことする?」
「……」
「俺も、我慢に限界があるで」
我慢しなけりゃいいのに、と投げやりに思う。私にとってたっちゃんは男じゃない、家族だ。けれど、いつしか惹かれる自分を胸底に見つけて、押し込めて。気持ちの変化についていけずに、有耶無耶にして誤魔化したいだけだ。
「家族やし、たっちゃんは」
「おう、俺かてそう思ってるで。けど、そろそろ一歩踏み出して変わってもええやろ?」
振り向けば、困った顔の達人がいた。
「あきが好きや。俺の、恋人になってくれるか?」
たっちゃんの我慢の糸が切れる前に、答えは出せるだろうか?