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にっと笑う顔が太陽のようだと思った。
「なーに落ち込んでんの?」
日の光からは逃げられるわけもなく。屋上の扉の前でうずくまる私を、いとも容易く陽介は見つけた。
「なんで、来たの」
「そりゃ心配だし?」
「よーすけには、関係ないよ」
「別に俺が好きで追いかけてきただけだから、気にすんなよ」
いつものように笑いながら、陽介は隣にしゃがんだ。この距離は、私が栞と陽介と一緒に育ってきたから許された距離だ。幼馴染でいつも元気づけてくれる陽介に恋したのは、もういつだったか忘れた幼い頃。明るい陽介のようになりたくて、好きになってもらいたくて、内気な私は自分を隠すように陽気に振る舞ってきた。その反動がたまにこうしてやってきて、私は自分に苦しめられる。どうしようもなく、周りが嫌になって疲れてしまう。この姿を陽介に見つかっている時点で、私の作戦は失敗に終わっているのだけど。
「……どーした? 誰かになんかされたか?」
「なんかされてたら、どーするの」
「そいつぶん殴りに行く」
一瞬、真面目な顔になる陽介に、心臓が波打つ。
「乱暴」
それだけ言って止めるのが精一杯だった。また優しい笑顔に戻る陽介は、困ったように眉を下げた。
「冗談だよ。そんなことしたらお前泣きそうだし。けど、」
陽介の大きな手が組まれ、指が考えるように忙しなく動く。
「昔みたいに、笑ってほしいんだよな」
「……昔みたいに?」
「お前、そんな無理して笑う奴じゃなかっただろ」
ズキリ、とその言葉が私の胸を射抜いた。どうしよう、見抜かれていた。私の精一杯は、貴方の心に届いてなかったのかな。
「だって、」
「だって、なに?」
「わたし、私は陽介みたいになりたくて」
「…………はあ?」
意味が分からない様子で、陽介は目を丸くした後に大笑いをした。
「あははは、なんだよそれ! 俺みたいになりてぇの?」
「う、うん」
「なんで? あきは俺よりすげーじゃん」
そう言うと陽介は嬉しそうな顔で、
「優しいし、頭いいし、可愛いし、器用だし……」
と私のいいところをあげていった。とても自慢気に、誇らしそうに話すから、恥ずかしくて私は俯いた。
「陽介、恥ずかしい」
「……そーいうとこ、可愛いし」
陽介は私の正面に移動すると、肩に触れた。びくっと私は身体を揺らす。
「……顔、あげてくんね?」
声に導かれるまま、そっと顔をあげれば、見たことないくらい優しい顔で笑っていた。
「俺はそのまんまのあきが好きだけどな」
目が合わさって、数秒。今度は陽介が頭を抱えて俯いた。
「あ~っ……言っちゃった、言っちゃった俺」
「陽介、」
「じゃ、ま。そーいうことだから。あんま無理すんなよ!」
足早に去ろうとする背中に、飛びついて止めた。
「あき!?」
「私、私も! 本当は、」
貴方の恋人になりたくて頑張っていたの。そう伝えれば、やっぱり太陽のように君は笑ってくれた。
「なーに落ち込んでんの?」
日の光からは逃げられるわけもなく。屋上の扉の前でうずくまる私を、いとも容易く陽介は見つけた。
「なんで、来たの」
「そりゃ心配だし?」
「よーすけには、関係ないよ」
「別に俺が好きで追いかけてきただけだから、気にすんなよ」
いつものように笑いながら、陽介は隣にしゃがんだ。この距離は、私が栞と陽介と一緒に育ってきたから許された距離だ。幼馴染でいつも元気づけてくれる陽介に恋したのは、もういつだったか忘れた幼い頃。明るい陽介のようになりたくて、好きになってもらいたくて、内気な私は自分を隠すように陽気に振る舞ってきた。その反動がたまにこうしてやってきて、私は自分に苦しめられる。どうしようもなく、周りが嫌になって疲れてしまう。この姿を陽介に見つかっている時点で、私の作戦は失敗に終わっているのだけど。
「……どーした? 誰かになんかされたか?」
「なんかされてたら、どーするの」
「そいつぶん殴りに行く」
一瞬、真面目な顔になる陽介に、心臓が波打つ。
「乱暴」
それだけ言って止めるのが精一杯だった。また優しい笑顔に戻る陽介は、困ったように眉を下げた。
「冗談だよ。そんなことしたらお前泣きそうだし。けど、」
陽介の大きな手が組まれ、指が考えるように忙しなく動く。
「昔みたいに、笑ってほしいんだよな」
「……昔みたいに?」
「お前、そんな無理して笑う奴じゃなかっただろ」
ズキリ、とその言葉が私の胸を射抜いた。どうしよう、見抜かれていた。私の精一杯は、貴方の心に届いてなかったのかな。
「だって、」
「だって、なに?」
「わたし、私は陽介みたいになりたくて」
「…………はあ?」
意味が分からない様子で、陽介は目を丸くした後に大笑いをした。
「あははは、なんだよそれ! 俺みたいになりてぇの?」
「う、うん」
「なんで? あきは俺よりすげーじゃん」
そう言うと陽介は嬉しそうな顔で、
「優しいし、頭いいし、可愛いし、器用だし……」
と私のいいところをあげていった。とても自慢気に、誇らしそうに話すから、恥ずかしくて私は俯いた。
「陽介、恥ずかしい」
「……そーいうとこ、可愛いし」
陽介は私の正面に移動すると、肩に触れた。びくっと私は身体を揺らす。
「……顔、あげてくんね?」
声に導かれるまま、そっと顔をあげれば、見たことないくらい優しい顔で笑っていた。
「俺はそのまんまのあきが好きだけどな」
目が合わさって、数秒。今度は陽介が頭を抱えて俯いた。
「あ~っ……言っちゃった、言っちゃった俺」
「陽介、」
「じゃ、ま。そーいうことだから。あんま無理すんなよ!」
足早に去ろうとする背中に、飛びついて止めた。
「あき!?」
「私、私も! 本当は、」
貴方の恋人になりたくて頑張っていたの。そう伝えれば、やっぱり太陽のように君は笑ってくれた。