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付き合ってから初めてバレンタインを迎えた。けれど、自信がないのでちょっと高めのチョコを買ってラッピングしてもらった。まあ、美味しければ文句はないだろうと思って。去年のように文句がでるのはごめんだ。思えば、哲次にチョコをあげるのは何回目になるだろう? 義理チョコから、本命チョコになって、哲次にとっても本命になれたのは、本当に奇跡的なことのように思う。きっと哲次はいっぱいチョコを持って帰ってくるだろうけど、1番に食べてもらえることを思えば嬉しくて仕方がない。他の子に浮気だとか心配にならないのは、哲次が前日から強く、
「俺が好きなのはお前だけだからな」
と言い聞かせてくれたからだと思う。私の熱でチョコを溶かしてしまわぬように、冷蔵庫にチョコを仕舞って。先にお邪魔した哲次の部屋で、哲次の帰りを待つ。今年はどれくらい貰ってくるんだろうな。紙袋は持たせてあげたけど。ガチャ、と鍵が差し込まれる音を聞いて、即座に振り返った。
「哲次、おかえり!」
「ん、ただいま」
いつもただいまは照れ臭そうにする。紙袋ふたつを片手に持っていて、それを無造作に玄関先に置いた。
「今年も多いね?」
「まあ、な。どーすっかこれ」
なんだかんだちょっと嬉しそうなのを目の当たりにすると、ちょっぴり嫉妬。けど、悟られないようにした。折角、カッコつけの哲次がいい気分なのだし。そんな私を他所に、さっさと部屋着に着替えた哲次は、いつもと変わらずに私を近くに呼んだ。私は冷蔵庫に仕舞ったチョコを取り出して駆け寄る。
「じ、じゃあこれ。私から哲次に本命チョコ!」
「おう、サンキュー」
そう言って受け取ったものの、哲次は箱を見るとなり、
「……んで手作りじゃねぇんだ」
と文句を言う。やっぱり文句言うのか、哲次は。困ったな。
「だって……」
去年のバレンタイン。毎年玉砕を覚悟して本命チョコを贈っていた。チョコを丁寧に湯煎はするものの、あとは冷やして固めただけの幼稚な手作りチョコ。ラッピングだって可愛いものを選んだけど、100均でお金はかけてない。そんなチョコでも受け取ってもらえて。 目の前で食べてくれたから、出来栄えを聞いた。そしたら、
「まあ、これがお前の限界だろ。もっとカカオ豆から作るくらいの根性みせろ」
「……って言うから、カカオ豆から作るのは無理だなぁって。だから美味しいチョコ買ってきた」
「本当に真面目にカカオ豆から作るのを、検討する奴があるか……!!」
哲次は頭を抱えた。不思議で首をかしげると、眉を寄せて私を見る。
「……本気でそんなこと言ったわけねぇだろバカ」
「え、えー……でも、美味しくはなかったんでしょ?」
「別にあきがくれるなら味とかどーでもいい」
そう言うと、私の腕を引っ張って抱き締めた。キュンと胸が鳴って、頭は困惑で混乱した。
「なんか、ごめん。来年は、作るね?」
「……おう。そうしろ」
そのまま離してくれなくて、哲次の心音を聞いていた。力強い音に、こちらもドキドキする。目の端にチョコの箱を映して、いややっぱり高かったし食べて欲しいと思い直した。
「ねえ、チョコきっと美味しいから食べない?」
「……そんな美味いのなら、お前食べていいぞ」
「えっ、えっ?」
「チョコ好きだろ」
「うん、好きだけど……」
哲次はラッピングを破ると一粒つまみ、私の口に持ってきた。
「ほら、あーん」
んあ、と口を開けるところんと転がされる。溶け出すチョコは、やっぱり普通の板チョコとは比べものにならないくらい濃厚だ。
「おいひ」
自然と笑顔になったら、急に頭を引き寄せられて唇を奪われた。
「!! んう」
かぶりつくようにキスされ、口を割られて舌を差し込まれた。溶けかけたチョコが哲次の口に引き渡されていく。2人の口を行ったり来たりして、完全にチョコが溶けてなくなる。
「あっま」
唇を離すと舌舐めずりして、哲次はにやりと笑った。
「びっくり、した」
「もう一個食べるか?」
「……いい」
「折角だろ? 食べようぜ」
にやにやとなにかのスイッチが入った哲次から、逃れる術はなかった。
「俺が好きなのはお前だけだからな」
と言い聞かせてくれたからだと思う。私の熱でチョコを溶かしてしまわぬように、冷蔵庫にチョコを仕舞って。先にお邪魔した哲次の部屋で、哲次の帰りを待つ。今年はどれくらい貰ってくるんだろうな。紙袋は持たせてあげたけど。ガチャ、と鍵が差し込まれる音を聞いて、即座に振り返った。
「哲次、おかえり!」
「ん、ただいま」
いつもただいまは照れ臭そうにする。紙袋ふたつを片手に持っていて、それを無造作に玄関先に置いた。
「今年も多いね?」
「まあ、な。どーすっかこれ」
なんだかんだちょっと嬉しそうなのを目の当たりにすると、ちょっぴり嫉妬。けど、悟られないようにした。折角、カッコつけの哲次がいい気分なのだし。そんな私を他所に、さっさと部屋着に着替えた哲次は、いつもと変わらずに私を近くに呼んだ。私は冷蔵庫に仕舞ったチョコを取り出して駆け寄る。
「じ、じゃあこれ。私から哲次に本命チョコ!」
「おう、サンキュー」
そう言って受け取ったものの、哲次は箱を見るとなり、
「……んで手作りじゃねぇんだ」
と文句を言う。やっぱり文句言うのか、哲次は。困ったな。
「だって……」
去年のバレンタイン。毎年玉砕を覚悟して本命チョコを贈っていた。チョコを丁寧に湯煎はするものの、あとは冷やして固めただけの幼稚な手作りチョコ。ラッピングだって可愛いものを選んだけど、100均でお金はかけてない。そんなチョコでも受け取ってもらえて。 目の前で食べてくれたから、出来栄えを聞いた。そしたら、
「まあ、これがお前の限界だろ。もっとカカオ豆から作るくらいの根性みせろ」
「……って言うから、カカオ豆から作るのは無理だなぁって。だから美味しいチョコ買ってきた」
「本当に真面目にカカオ豆から作るのを、検討する奴があるか……!!」
哲次は頭を抱えた。不思議で首をかしげると、眉を寄せて私を見る。
「……本気でそんなこと言ったわけねぇだろバカ」
「え、えー……でも、美味しくはなかったんでしょ?」
「別にあきがくれるなら味とかどーでもいい」
そう言うと、私の腕を引っ張って抱き締めた。キュンと胸が鳴って、頭は困惑で混乱した。
「なんか、ごめん。来年は、作るね?」
「……おう。そうしろ」
そのまま離してくれなくて、哲次の心音を聞いていた。力強い音に、こちらもドキドキする。目の端にチョコの箱を映して、いややっぱり高かったし食べて欲しいと思い直した。
「ねえ、チョコきっと美味しいから食べない?」
「……そんな美味いのなら、お前食べていいぞ」
「えっ、えっ?」
「チョコ好きだろ」
「うん、好きだけど……」
哲次はラッピングを破ると一粒つまみ、私の口に持ってきた。
「ほら、あーん」
んあ、と口を開けるところんと転がされる。溶け出すチョコは、やっぱり普通の板チョコとは比べものにならないくらい濃厚だ。
「おいひ」
自然と笑顔になったら、急に頭を引き寄せられて唇を奪われた。
「!! んう」
かぶりつくようにキスされ、口を割られて舌を差し込まれた。溶けかけたチョコが哲次の口に引き渡されていく。2人の口を行ったり来たりして、完全にチョコが溶けてなくなる。
「あっま」
唇を離すと舌舐めずりして、哲次はにやりと笑った。
「びっくり、した」
「もう一個食べるか?」
「……いい」
「折角だろ? 食べようぜ」
にやにやとなにかのスイッチが入った哲次から、逃れる術はなかった。