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「おっしゃー!! ついた!! 滑るぞお!!」
「寝てたやつは元気だな」
今年、同い年がめでたく車の免許を取得したので。組まれた弾丸スキー場ツアー。深夜に出発し雪山を目指し、早朝に到着してそのまま滑る。なかなかのハードスケジュールなので、私以外女子は欠席。同じ理由で犬飼、王子、蔵内はパス。水上は運悪く防衛任務。当真は絶賛補習である。
「しかし、お前達。スキー場でスノボとはどういうことだね。」
「いや、今はスノボのが主流だろ」
「荒船の見て覚えたから、スノボしか滑れない」
ショートスキーの私と、穂刈がストック付きのスキー板で、哲次、鋼君、カゲ、ゾエはスノーボードである。小さい頃からのスキーヤーの私は不服だ。絶対スキーのがかっこいいのに。
「スノボなんて危ないじゃん。急にコケるし、ガリガリ言うし」
「俺は上手いからそんなのならん」
「あー哲次言ったね! ぶつかってこないでね!」
「こっちのセリフだバーカ!」
「……本当に2人は仲良しだねぇ。ゾエさん、微笑ましいよ」
「うるせぇだけだろ、あいつら」
仲良しだとか言われると、恥ずかしいので黙ってしまう。それを見た鋼君に声を出して笑われた。
「どうする、リフト券。半日か夜も滑るのか」
「もちろん一日券っしょ!」
「早乙女、それフラグだろ」
「夜まで滑りた~い」
「はしゃぎすぎんな。お前すぐバテるぞ」
「あき、明日もあるから、ね?」
哲次と鋼君になだめられ、とりあえず半日券を買う。いよいよ1年ぶりのスキーだ。軽く足慣らしをして、リフトに並ぶ。
「スッキー! スッキー!」
「あいつはしゃぎすぎだろ」
「滑ってるんだそうだ、小さい頃から。かなり上手いらしいぞ」
四人掛けのリフトに私、穂刈、カゲ、ゾエで乗って、後ろに哲次と鋼君が乗る。ゆらゆらとした浮遊感は少し怖いが、リフトの時間も私は大好きだ。
「チョコ食べる?」
「あ、ゾエさん欲しい欲しい!」
「ちょ、両端でやり取りすんな、揺れる!」
カゲが慌てた声を出す。そんなカゲにも、穂刈にもチョコを渡した。
「リフトで食べるチョコが一番美味しいんだよね~冷えてて!」
「美味いな、確かに」
中級者用コースはそんなに高いところじゃないので、すぐついた。後ろの2人を待って、滑り始める。とにかく速く滑ってくのが哲次で、それにカゲとゾエが続く。私は、ゆっくり蛇行しながら滑るのが好きなので1番後ろで滑る。
「あきはのんびり滑るんだな」
鋼君が話しかけてきた。
「うん、私遅いから先行っててもいいよ?」
「いや、俺まだ上手くないからあんなスピード出せない。それにあきと滑りたいし」
「ほんと? じゃあゆっくり滑ろう~」
私の後ろを鋼君がついてきて滑る。正直、後ろにスノーボーダーがいるというのはちょっとした恐怖だけど。案の定、私のカーブについてこれずに鋼君はズルっとこけた。
「大丈夫?」
「うん。あきは随分滑らかに滑るな」
「まあ、スキーとスノボじゃ可動が違うしね」
手を貸して鋼君を引っ張り上げる。そのまま鋼君を先に行かせて下まで降りた。リフト前で待ってる皆と合流すると、哲次が絡んできた。
「お前、そんなゆっくりしか滑れねぇのか?」
「いや別に? ゆっくり滑るのが好きなだけだよ」
「へー? 本当に?」
「なによ、競争する?」
「次、遅かった方がココア奢りな」
「よしきた」
「荒船君って本当に分かりやすいよねー」
ゾエさんがニコニコしてるのは見ないふりをした。
結局、競争は私が負けてコーヒーを奢らされたが、私の分のココアは哲次が払ってくれた。その後、休憩所でお昼を食べることにしたら。
「あれ? 偶然じゃん? やっほーカゲ!」
「げっ」
「みんなスキーウェア似合ってるね」
わざとらしく犬飼と王子が合流してきた。
「なにで来たの?」
「そりゃ、自家用チャーター機で!」
「王子、そういう嘘いいから」
犬飼と王子が来たことで、場はまた賑やかになった。どうやら、朝からバスを使ってきたらしい。面白くないカゲは、私の肩を叩いた。
「おい、上級コース行くぞ」
「いいけど、滑れる?」
「とにかく、あいつから離れる」
本当に嫌いなんだなぁと苦笑して、そっと立ち上がった。それに合わせて、哲次も立ってついてきた。一足先に休憩を終え、3人で上級コースへ。
「……絶壁か?」
「だいたい40度くらいかな~コブとかもあるから気をつけて」
「マジか……」
思ったよりも急斜面だったらしく、2人は固まっている。だから言ったのに、滑れる?って。笑を堪えながら、
「ここまで来たら、滑らないと戻れないよ?」
と声をかける。
「分かってるっつの!!」
「おうよ、滑ってやんよ!」
正直、スノボだとキツイコースだと思うが、気にせず滑り出す。ゆっくり滑るが、今度は私が先頭になる。
「置いていくよ~」
「ちょ、待てやお前……うおっ」
慌てたカゲが転がり落ちてくるので、とりあえず受け止めてあげたが、体格差のせいで私も転ぶ。
「いてて……流石に無理あったか」
「……悪りぃ、大丈夫かよ」
「上手い人は転ぶのも上手いんですよ~」
ぱっぱと立ち上がり、カゲが起き上がるのをサポートする。
「……こんなきついとは思ってなくてよ。悪かったな」
「いや、私は慣れてるから大丈夫だよ。哲次ー平気ー!?」
「うっせー話しかけんな!」
ものすごくゆっくり降りてくる哲次を見て、カゲと顔を見合わせて笑った。
「もぉーどこ行ってたの? 心配したじゃん!」
元の場所まで戻ると、ゾエさんの抱擁が待っていた。
「男2人を鍛えてました~」
「「…………」」
哲次もカゲも何も言わずに肩で息をしている。
「すごいじゃん、あんな上から滑ってくるからびっくりした!」
犬飼が無邪気な笑顔で私を褒める。犬飼がスノボ、王子はスキーを装着していた。
「全員揃ったし、また滑ろうよ」
「滑る滑る~!」
「元気だなぁ、あき」
それから時間いっぱい、思い思いに中級者コースを滑った。途中、ボーガンで滑る穂刈の後ろにアタックしてみた。
「うおっ!?」
「えへへ、ムカデ滑り~」
穂刈の板の間に私の板を添わせて滑る。
「あ、それ面白そ~」
王子も私の後ろに抱きつきムカデに加わる。
「ちょ、困る、危ない」
「大丈夫、大丈夫~」
「あははは」
「痛い、足が開いて! おい!」
結局、下まで3人でひっついて降りた。そこで17時頃になったので、今日は撤収だ。
夕飯食べて、宿に戻ると問題が生じた。
「オフトゥンが足りないね……。」
「増えたからな、王子と犬飼が」
6人部屋に8人で泊まることになったので、布団が2枚足りなくなった。
「とりあえず、犬とオージは2人で寝ろよ」
カゲがそう言えば、
「えー王子寝相悪そうじゃん!」
「そんなこと言って、犬飼も充分悪いでしょ? 僕知ってるよ」
「なんで知ってんだよ!」
わーわー布団の争奪戦が始まってしまった。そんな中、哲次は私を端の布団に連れていき、
「お前、ここ固定な」
と指示を出す。
「あーっ荒船君が早乙女さんを襲っています!」
「きゃー野蛮!」
と犬飼と王子が騒ぎ出す。みんなも、ニヨニヨした顔でこちらを見るので恥ずかしい。
「ちっげーよ! 一応女子だから隔離してんだよ!」
「それで自分が隣で寝るんでしょ? 遠慮せず一緒に寝たらいいよ」
「なっ……!」
背中越しでも哲次の顔が真っ赤なのが分かる。首や耳まで赤くなっている。みんなの喧騒を聞きながら、私はものすごい睡魔に襲われた。眠気に抗えないほどで、そのまま布団に潜り込んだ。
「そんなこと言ってたら勝手に寝たぞこいつ」
「疲れたんだよ、寝かしてあげよう」
最後に聞いたのはカゲと鋼君のそんな会話だった。
「寝てたやつは元気だな」
今年、同い年がめでたく車の免許を取得したので。組まれた弾丸スキー場ツアー。深夜に出発し雪山を目指し、早朝に到着してそのまま滑る。なかなかのハードスケジュールなので、私以外女子は欠席。同じ理由で犬飼、王子、蔵内はパス。水上は運悪く防衛任務。当真は絶賛補習である。
「しかし、お前達。スキー場でスノボとはどういうことだね。」
「いや、今はスノボのが主流だろ」
「荒船の見て覚えたから、スノボしか滑れない」
ショートスキーの私と、穂刈がストック付きのスキー板で、哲次、鋼君、カゲ、ゾエはスノーボードである。小さい頃からのスキーヤーの私は不服だ。絶対スキーのがかっこいいのに。
「スノボなんて危ないじゃん。急にコケるし、ガリガリ言うし」
「俺は上手いからそんなのならん」
「あー哲次言ったね! ぶつかってこないでね!」
「こっちのセリフだバーカ!」
「……本当に2人は仲良しだねぇ。ゾエさん、微笑ましいよ」
「うるせぇだけだろ、あいつら」
仲良しだとか言われると、恥ずかしいので黙ってしまう。それを見た鋼君に声を出して笑われた。
「どうする、リフト券。半日か夜も滑るのか」
「もちろん一日券っしょ!」
「早乙女、それフラグだろ」
「夜まで滑りた~い」
「はしゃぎすぎんな。お前すぐバテるぞ」
「あき、明日もあるから、ね?」
哲次と鋼君になだめられ、とりあえず半日券を買う。いよいよ1年ぶりのスキーだ。軽く足慣らしをして、リフトに並ぶ。
「スッキー! スッキー!」
「あいつはしゃぎすぎだろ」
「滑ってるんだそうだ、小さい頃から。かなり上手いらしいぞ」
四人掛けのリフトに私、穂刈、カゲ、ゾエで乗って、後ろに哲次と鋼君が乗る。ゆらゆらとした浮遊感は少し怖いが、リフトの時間も私は大好きだ。
「チョコ食べる?」
「あ、ゾエさん欲しい欲しい!」
「ちょ、両端でやり取りすんな、揺れる!」
カゲが慌てた声を出す。そんなカゲにも、穂刈にもチョコを渡した。
「リフトで食べるチョコが一番美味しいんだよね~冷えてて!」
「美味いな、確かに」
中級者用コースはそんなに高いところじゃないので、すぐついた。後ろの2人を待って、滑り始める。とにかく速く滑ってくのが哲次で、それにカゲとゾエが続く。私は、ゆっくり蛇行しながら滑るのが好きなので1番後ろで滑る。
「あきはのんびり滑るんだな」
鋼君が話しかけてきた。
「うん、私遅いから先行っててもいいよ?」
「いや、俺まだ上手くないからあんなスピード出せない。それにあきと滑りたいし」
「ほんと? じゃあゆっくり滑ろう~」
私の後ろを鋼君がついてきて滑る。正直、後ろにスノーボーダーがいるというのはちょっとした恐怖だけど。案の定、私のカーブについてこれずに鋼君はズルっとこけた。
「大丈夫?」
「うん。あきは随分滑らかに滑るな」
「まあ、スキーとスノボじゃ可動が違うしね」
手を貸して鋼君を引っ張り上げる。そのまま鋼君を先に行かせて下まで降りた。リフト前で待ってる皆と合流すると、哲次が絡んできた。
「お前、そんなゆっくりしか滑れねぇのか?」
「いや別に? ゆっくり滑るのが好きなだけだよ」
「へー? 本当に?」
「なによ、競争する?」
「次、遅かった方がココア奢りな」
「よしきた」
「荒船君って本当に分かりやすいよねー」
ゾエさんがニコニコしてるのは見ないふりをした。
結局、競争は私が負けてコーヒーを奢らされたが、私の分のココアは哲次が払ってくれた。その後、休憩所でお昼を食べることにしたら。
「あれ? 偶然じゃん? やっほーカゲ!」
「げっ」
「みんなスキーウェア似合ってるね」
わざとらしく犬飼と王子が合流してきた。
「なにで来たの?」
「そりゃ、自家用チャーター機で!」
「王子、そういう嘘いいから」
犬飼と王子が来たことで、場はまた賑やかになった。どうやら、朝からバスを使ってきたらしい。面白くないカゲは、私の肩を叩いた。
「おい、上級コース行くぞ」
「いいけど、滑れる?」
「とにかく、あいつから離れる」
本当に嫌いなんだなぁと苦笑して、そっと立ち上がった。それに合わせて、哲次も立ってついてきた。一足先に休憩を終え、3人で上級コースへ。
「……絶壁か?」
「だいたい40度くらいかな~コブとかもあるから気をつけて」
「マジか……」
思ったよりも急斜面だったらしく、2人は固まっている。だから言ったのに、滑れる?って。笑を堪えながら、
「ここまで来たら、滑らないと戻れないよ?」
と声をかける。
「分かってるっつの!!」
「おうよ、滑ってやんよ!」
正直、スノボだとキツイコースだと思うが、気にせず滑り出す。ゆっくり滑るが、今度は私が先頭になる。
「置いていくよ~」
「ちょ、待てやお前……うおっ」
慌てたカゲが転がり落ちてくるので、とりあえず受け止めてあげたが、体格差のせいで私も転ぶ。
「いてて……流石に無理あったか」
「……悪りぃ、大丈夫かよ」
「上手い人は転ぶのも上手いんですよ~」
ぱっぱと立ち上がり、カゲが起き上がるのをサポートする。
「……こんなきついとは思ってなくてよ。悪かったな」
「いや、私は慣れてるから大丈夫だよ。哲次ー平気ー!?」
「うっせー話しかけんな!」
ものすごくゆっくり降りてくる哲次を見て、カゲと顔を見合わせて笑った。
「もぉーどこ行ってたの? 心配したじゃん!」
元の場所まで戻ると、ゾエさんの抱擁が待っていた。
「男2人を鍛えてました~」
「「…………」」
哲次もカゲも何も言わずに肩で息をしている。
「すごいじゃん、あんな上から滑ってくるからびっくりした!」
犬飼が無邪気な笑顔で私を褒める。犬飼がスノボ、王子はスキーを装着していた。
「全員揃ったし、また滑ろうよ」
「滑る滑る~!」
「元気だなぁ、あき」
それから時間いっぱい、思い思いに中級者コースを滑った。途中、ボーガンで滑る穂刈の後ろにアタックしてみた。
「うおっ!?」
「えへへ、ムカデ滑り~」
穂刈の板の間に私の板を添わせて滑る。
「あ、それ面白そ~」
王子も私の後ろに抱きつきムカデに加わる。
「ちょ、困る、危ない」
「大丈夫、大丈夫~」
「あははは」
「痛い、足が開いて! おい!」
結局、下まで3人でひっついて降りた。そこで17時頃になったので、今日は撤収だ。
夕飯食べて、宿に戻ると問題が生じた。
「オフトゥンが足りないね……。」
「増えたからな、王子と犬飼が」
6人部屋に8人で泊まることになったので、布団が2枚足りなくなった。
「とりあえず、犬とオージは2人で寝ろよ」
カゲがそう言えば、
「えー王子寝相悪そうじゃん!」
「そんなこと言って、犬飼も充分悪いでしょ? 僕知ってるよ」
「なんで知ってんだよ!」
わーわー布団の争奪戦が始まってしまった。そんな中、哲次は私を端の布団に連れていき、
「お前、ここ固定な」
と指示を出す。
「あーっ荒船君が早乙女さんを襲っています!」
「きゃー野蛮!」
と犬飼と王子が騒ぎ出す。みんなも、ニヨニヨした顔でこちらを見るので恥ずかしい。
「ちっげーよ! 一応女子だから隔離してんだよ!」
「それで自分が隣で寝るんでしょ? 遠慮せず一緒に寝たらいいよ」
「なっ……!」
背中越しでも哲次の顔が真っ赤なのが分かる。首や耳まで赤くなっている。みんなの喧騒を聞きながら、私はものすごい睡魔に襲われた。眠気に抗えないほどで、そのまま布団に潜り込んだ。
「そんなこと言ってたら勝手に寝たぞこいつ」
「疲れたんだよ、寝かしてあげよう」
最後に聞いたのはカゲと鋼君のそんな会話だった。