short-1-
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
王子一彰。私は、正直彼は名前負けしていると思う。一彰はいい。王子という苗字が信じられない。周囲の女の子は「本当に王子様みたい!」と騒ぐのだが、昔から彼を知っている私からしたらどこがといった感じである。頭が良いくせ、やることなすこと見切り発車。しかも、私を巻き込む。今は、チェスの席に強制的に座らされてワンサイドゲームを進められている最中だ。この男、チェスのルールを教えもしない。急に、
「今僕チェスにハマってるんだよね」
と言い出したかと思えば、やるように命令されてわけが分からずに初めは相手した。駒の動かし方まではなんとか自分で調べて覚えたが、その程度で一彰に勝てるわけもなく。それを知った上で、毎度毎度私にチェスをするよう強制するのだ。いい加減にしていただきたい。
「じゃあオセロにしてあげようか?」
嫌みたらしく笑うので、断っただけだ。彼とのチェスが楽しいわけじゃない。
「そうそう、この前ね、クロワッサンの冷凍生地があるっていうのを知ったんだ!」
「ふーん、それで?」
「あき、焼いてみない?」
「なんでよ! 自分で焼きなさいよ!」
「えーあきが焼いた方が美味しそうだけどなぁ」
顎に手を当てて、甘いマスクで笑いかける。まあ、確かにこういうところは王子様に見えるんだろう。だが騙されてはいけない。こいつはただのワガママ野郎だ。
「なんで私が一彰のためにクロワッサン焼かなきゃいけないのよ……」
「僕と君の仲だろう? あきは僕に奉仕するの好きじゃないか」
「そんなこと一言も言った覚えないんだけど」
「そう?」
なんて、全く悪びれずに首を傾げる。
「じゃあさ、馬見に行こう、馬。可愛いよ」
「馬……。」
「そう、お馬さん。行こう?」
ちょっとオシャレな牧場に連れていかれると思うじゃない? こいつが見に行く馬は競馬場だ。
『1番家から近くて、安く馬が見れる場所』
だそうだ。間違っちゃいないけど。
「どうせ競馬場でしょ」
「まあ今から行くとなるとそうなるね」
「お断り」
「つれないねぇ。昔はかずくんって言って僕の後ついてきたのに」
「なっ……! そんなの昔の話だし!」
「でも君は昔から変わらずに可愛いよね」
たまに仕込まれる甘い毒。そうですよ、王子様のイメージなんか持ってないずっと小さい頃から、私にとっての王子様は彼一人。
「拗ねてないでさ、そろそろ素直になったらどうだい?」
「……だってかずくん、意地悪なんだもん」
「可愛い子ほどいじめたくなる、だろ?」
どうせこの笑顔の前に屈服して、私は1時間後にはクロワッサンを焼いているだろう。
「今僕チェスにハマってるんだよね」
と言い出したかと思えば、やるように命令されてわけが分からずに初めは相手した。駒の動かし方まではなんとか自分で調べて覚えたが、その程度で一彰に勝てるわけもなく。それを知った上で、毎度毎度私にチェスをするよう強制するのだ。いい加減にしていただきたい。
「じゃあオセロにしてあげようか?」
嫌みたらしく笑うので、断っただけだ。彼とのチェスが楽しいわけじゃない。
「そうそう、この前ね、クロワッサンの冷凍生地があるっていうのを知ったんだ!」
「ふーん、それで?」
「あき、焼いてみない?」
「なんでよ! 自分で焼きなさいよ!」
「えーあきが焼いた方が美味しそうだけどなぁ」
顎に手を当てて、甘いマスクで笑いかける。まあ、確かにこういうところは王子様に見えるんだろう。だが騙されてはいけない。こいつはただのワガママ野郎だ。
「なんで私が一彰のためにクロワッサン焼かなきゃいけないのよ……」
「僕と君の仲だろう? あきは僕に奉仕するの好きじゃないか」
「そんなこと一言も言った覚えないんだけど」
「そう?」
なんて、全く悪びれずに首を傾げる。
「じゃあさ、馬見に行こう、馬。可愛いよ」
「馬……。」
「そう、お馬さん。行こう?」
ちょっとオシャレな牧場に連れていかれると思うじゃない? こいつが見に行く馬は競馬場だ。
『1番家から近くて、安く馬が見れる場所』
だそうだ。間違っちゃいないけど。
「どうせ競馬場でしょ」
「まあ今から行くとなるとそうなるね」
「お断り」
「つれないねぇ。昔はかずくんって言って僕の後ついてきたのに」
「なっ……! そんなの昔の話だし!」
「でも君は昔から変わらずに可愛いよね」
たまに仕込まれる甘い毒。そうですよ、王子様のイメージなんか持ってないずっと小さい頃から、私にとっての王子様は彼一人。
「拗ねてないでさ、そろそろ素直になったらどうだい?」
「……だってかずくん、意地悪なんだもん」
「可愛い子ほどいじめたくなる、だろ?」
どうせこの笑顔の前に屈服して、私は1時間後にはクロワッサンを焼いているだろう。