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クリスマスイブだって防衛任務はある。寧ろうちの隊長さんは、進んで任務を取ってきたような気がする。クリスマスの朝からの任務に欠伸が出る。
「おいこら、起きろ眠り姫!」
「寝てないよー欠伸しただけ」
「それをすんなって言ってんだ」
別にクリスマスイブだからといって、なにか変わるわけじゃないし。リア充がどうとかクリぼっちとか、皆騒ぎすぎだと思う。お構いなしにやってくる近界民に、照準を合わせ撃ち抜いていく。特別手当が出ること自体、ボーダーも太っ腹だなぁと思う。任務はいつも通りなのにね。
午前中のシフトを終了して、隊室に戻ってきた。いつも通り、哲次は報告書書いてて、私はベッドでゴロゴロしながら待つ。皆もいつも通りだと思ったのに。
「じゃあ私、女子会あるから帰るね!」
加賀美ちゃんはウインクして帰るし。
「面倒みなきゃならないからな、弟の」
穂刈の弟、そんな小さくなかったと思うんだけど。
「……お疲れーっす」
なんか普通に義人は帰った。
(超絶、気を使われている……!)
2人きりになった隊室、思えば確かに付き合ってからは初めてのクリスマス。どーしたらいいんだ? なにをするのが正解なの? 世の恋人達はなにをしているの? 哲次以外を知らない私は混乱する。そもそも、普段のクリスマスなにしてたっけ? 去年、カゲの家で皆でお好み焼き。一昨年、ずっと訓練に付き合わされた。その前が、お付き合いはしてないけど、私がせがんでデートしてもらった。映画館デート。あれ。
(毎年なんだかんだ哲次といるんじゃん)
その事実に余計に頭を悩ませる。なにか特別なこと、しなきゃいけないだろうか。そもそも私、プレゼントすら買い損ねている。なにをあげればいいのか、分からなかったから。気付けば当日だ。なにもアクションしなかったわけではなくて、色々聞いては周ったのだ。犬飼とか王子に。
「任せとけばいいんじゃない? 荒船にさ」
「そうそう。あっ、ドレスコードくらい気を使いなよね?」
そう言われてなに着たらいいか分からなくなり、今度は鋼君とカゲに聞きに行って。
「あき可愛いから、そのままで大丈夫だよ」
「なんでもいーけど、家には来んなよな」
やんわり拒絶をくらい、最後は穂刈を頼り。
「悩むな、そんなに。聞いてみればいい、荒船に直接」
結局、なにも聞けずに今に至る。心臓はドキドキ速くなってきたが、これトキメキとかの類いじゃないと思う。焦りと気まずさからきてるものだ。ぎゅーっと身体を丸め込み、哲次から背中を向ければ、キィと椅子から立ち上がる音がする。ポスっと頭を帽子で叩かれた。
「具合悪いのか?」
「ううん」
「じゃ、帰んぞ」
そーっと上を見れば目が合って、ぷっと吹き出された。
「なんつー顔してんだ、お前。泣きそうじゃねぇか」
「だって、今日クリスマス……」
「知ってるよ。だから午後空けたくて朝から任務入れてんだから」
そんな意図があったなんて、鈍感な私は気づきもしなかった。けれど、計画的な哲次らしいと思う。呆れたように笑いながら、哲次は私を引っ張り起こした。
「なんも考えてないの。思いつかなかった」
「あーお前! 他の野郎共に聞いて周ってたらしいな! んで俺んとこ来ねーんだよ」
おでこを軽く叩かれる。手で抑えながら、
「だって恥ずかしかった」
と素直に話せば、はぁーっと溜め息を吐かれた。
「ごめん」
「いいよ、なんかしようとはしてたんだろ。けど、今度から無理せず俺に話すこと。いいな?」
答えに迷っていたら、もう一度コツンと叩かれた。痛くはない。
「返事は?」
「守れるか分かんないもん」
「それでいいからしとけ」
「はあい」
よしっと哲次は立ち上がり伸びをした。それに合わせて私もベッドを下りる。
「今日は俺ん家で映画見んぞ」
「……なんで?」
「なんでも。……お前と初めてのクリスマスの時、映画見たから」
少し照れ臭そうに話された言葉に、今度はキュンとして鼓動が速まる。覚えてたんだ、と思うと嬉しくて笑顔が出た。
「そーやって笑ってろよ。楽しむもんだろ、クリスマスって」
「うん、ありがとう」
とびきりの笑顔で応えれば、そっと引き寄せられてキスをされた。ぱっと離れて、背中を向けられる。けど、耳が赤くなっているのが分かった。
「ふふふ、哲次、メリークリスマス」
「おう。メリークリスマス」
横に立ち、指を絡める。どんな日だって、哲次と一緒なら幸せだ。
「なに見たい、映画」
「んーシザーハンズとか、チョコレート工場とか」
「あの監督な」
不安なんて吹き飛んで、哲次と過ごせる聖なる日に集中した。いつも通りの2人でも、きっと特別な日になるよね。
「おいこら、起きろ眠り姫!」
「寝てないよー欠伸しただけ」
「それをすんなって言ってんだ」
別にクリスマスイブだからといって、なにか変わるわけじゃないし。リア充がどうとかクリぼっちとか、皆騒ぎすぎだと思う。お構いなしにやってくる近界民に、照準を合わせ撃ち抜いていく。特別手当が出ること自体、ボーダーも太っ腹だなぁと思う。任務はいつも通りなのにね。
午前中のシフトを終了して、隊室に戻ってきた。いつも通り、哲次は報告書書いてて、私はベッドでゴロゴロしながら待つ。皆もいつも通りだと思ったのに。
「じゃあ私、女子会あるから帰るね!」
加賀美ちゃんはウインクして帰るし。
「面倒みなきゃならないからな、弟の」
穂刈の弟、そんな小さくなかったと思うんだけど。
「……お疲れーっす」
なんか普通に義人は帰った。
(超絶、気を使われている……!)
2人きりになった隊室、思えば確かに付き合ってからは初めてのクリスマス。どーしたらいいんだ? なにをするのが正解なの? 世の恋人達はなにをしているの? 哲次以外を知らない私は混乱する。そもそも、普段のクリスマスなにしてたっけ? 去年、カゲの家で皆でお好み焼き。一昨年、ずっと訓練に付き合わされた。その前が、お付き合いはしてないけど、私がせがんでデートしてもらった。映画館デート。あれ。
(毎年なんだかんだ哲次といるんじゃん)
その事実に余計に頭を悩ませる。なにか特別なこと、しなきゃいけないだろうか。そもそも私、プレゼントすら買い損ねている。なにをあげればいいのか、分からなかったから。気付けば当日だ。なにもアクションしなかったわけではなくて、色々聞いては周ったのだ。犬飼とか王子に。
「任せとけばいいんじゃない? 荒船にさ」
「そうそう。あっ、ドレスコードくらい気を使いなよね?」
そう言われてなに着たらいいか分からなくなり、今度は鋼君とカゲに聞きに行って。
「あき可愛いから、そのままで大丈夫だよ」
「なんでもいーけど、家には来んなよな」
やんわり拒絶をくらい、最後は穂刈を頼り。
「悩むな、そんなに。聞いてみればいい、荒船に直接」
結局、なにも聞けずに今に至る。心臓はドキドキ速くなってきたが、これトキメキとかの類いじゃないと思う。焦りと気まずさからきてるものだ。ぎゅーっと身体を丸め込み、哲次から背中を向ければ、キィと椅子から立ち上がる音がする。ポスっと頭を帽子で叩かれた。
「具合悪いのか?」
「ううん」
「じゃ、帰んぞ」
そーっと上を見れば目が合って、ぷっと吹き出された。
「なんつー顔してんだ、お前。泣きそうじゃねぇか」
「だって、今日クリスマス……」
「知ってるよ。だから午後空けたくて朝から任務入れてんだから」
そんな意図があったなんて、鈍感な私は気づきもしなかった。けれど、計画的な哲次らしいと思う。呆れたように笑いながら、哲次は私を引っ張り起こした。
「なんも考えてないの。思いつかなかった」
「あーお前! 他の野郎共に聞いて周ってたらしいな! んで俺んとこ来ねーんだよ」
おでこを軽く叩かれる。手で抑えながら、
「だって恥ずかしかった」
と素直に話せば、はぁーっと溜め息を吐かれた。
「ごめん」
「いいよ、なんかしようとはしてたんだろ。けど、今度から無理せず俺に話すこと。いいな?」
答えに迷っていたら、もう一度コツンと叩かれた。痛くはない。
「返事は?」
「守れるか分かんないもん」
「それでいいからしとけ」
「はあい」
よしっと哲次は立ち上がり伸びをした。それに合わせて私もベッドを下りる。
「今日は俺ん家で映画見んぞ」
「……なんで?」
「なんでも。……お前と初めてのクリスマスの時、映画見たから」
少し照れ臭そうに話された言葉に、今度はキュンとして鼓動が速まる。覚えてたんだ、と思うと嬉しくて笑顔が出た。
「そーやって笑ってろよ。楽しむもんだろ、クリスマスって」
「うん、ありがとう」
とびきりの笑顔で応えれば、そっと引き寄せられてキスをされた。ぱっと離れて、背中を向けられる。けど、耳が赤くなっているのが分かった。
「ふふふ、哲次、メリークリスマス」
「おう。メリークリスマス」
横に立ち、指を絡める。どんな日だって、哲次と一緒なら幸せだ。
「なに見たい、映画」
「んーシザーハンズとか、チョコレート工場とか」
「あの監督な」
不安なんて吹き飛んで、哲次と過ごせる聖なる日に集中した。いつも通りの2人でも、きっと特別な日になるよね。