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退屈な6限目が終わった。掃除当番もないので、早々に帰宅の準備をし、終礼が終わると同時に教室を出た。湿っぽい匂いが風に乗ってしていた。ローファーを履き、校門を抜けようとした時、
「雨、もう降り出してるよ」
と声をかけられた。振り向くと、同じクラスの菊地原君だった。雨はまだ降っていないように思う。
「降ってる?」
「降ってる。雨音がしだしてるから」
そんな音は私の耳には届いていない。降られる前に帰ってしまいたくて、
「それなら、早く帰るね! じゃあ、」
ね。そう言った瞬間、ザァーと大粒の雨が降り注いだ。雨粒が地面に跳ね返り音を立てる。
「えっ嘘! めっちゃ降り出してきた!」
「だから言ったじゃん」
呆れたようにため息を吐くと、菊地原君は折り畳み傘をさして側まで来て、私に傘を傾けた。
「貸したげるよ。明日以降返してくれたらいいから」
「えっ菊地原君は? どうするの?」
「僕は……トリオン体で帰るから」
そう言うと、菊地原君はトリガーを起動した。換装される瞬間を初めて見た。キラキラと光り、蒼い隊服に身を包む。けれど、鞄などはそのままのようで。
「鞄とか教科書濡れちゃうじゃん! いいよ、悪いから」
「はあ? じゃあなに。早乙女は生身で雨に打たれて帰るわけ?」
ぐっと押し黙る。そりゃあ、濡れて帰れば風邪をひくだろう。傘が欲しいのは事実だ。雨足は徐々に強くなり、風も出てきた気がする。
「じ、じゃあさ! 一緒に入って行こうよ。ちょっと狭いかもしれないけど」
言えば、菊地原君は目を見開いた。それからそっぽを向き、
「狭いどころの話じゃないでしょ」
と言う。心なしか、頬がほんのり赤い。
「2人して濡れるよりいいじゃん」
「いや、少なくとも早乙女は濡れずに帰れるんだけど」
「それじゃ申し訳ないよ!」
菊地原君から傘を受け取り、半分を彼に傾ける。もう一度、菊地原君は深く息を吐いた。
「……傘は僕が持つから」
傘を奪い返すと、菊地原君はゆっくり歩き出した。傘の半分は、スペースを空けて。
「お邪魔しまーす」
俗に言う相合い傘。菊地原君とするなんて、思ってはいなかった。けど、全然嫌な感じはしない。寧ろ。
「菊地原君の隣ってなんか安心するね?」
「気のせいじゃないの」
なるべく私が濡れないようにしてることに気付いて、胸が温かくなる。これから傘は必ず菊地原君に借りようかな、なんて。迷惑なことを考えながら、少し菊地原君とのスペースを小さくした。
「……近いんだけど」
「いいじゃん、別に」
笑えば、菊地原君も少しだけ微笑んだ。
「雨、もう降り出してるよ」
と声をかけられた。振り向くと、同じクラスの菊地原君だった。雨はまだ降っていないように思う。
「降ってる?」
「降ってる。雨音がしだしてるから」
そんな音は私の耳には届いていない。降られる前に帰ってしまいたくて、
「それなら、早く帰るね! じゃあ、」
ね。そう言った瞬間、ザァーと大粒の雨が降り注いだ。雨粒が地面に跳ね返り音を立てる。
「えっ嘘! めっちゃ降り出してきた!」
「だから言ったじゃん」
呆れたようにため息を吐くと、菊地原君は折り畳み傘をさして側まで来て、私に傘を傾けた。
「貸したげるよ。明日以降返してくれたらいいから」
「えっ菊地原君は? どうするの?」
「僕は……トリオン体で帰るから」
そう言うと、菊地原君はトリガーを起動した。換装される瞬間を初めて見た。キラキラと光り、蒼い隊服に身を包む。けれど、鞄などはそのままのようで。
「鞄とか教科書濡れちゃうじゃん! いいよ、悪いから」
「はあ? じゃあなに。早乙女は生身で雨に打たれて帰るわけ?」
ぐっと押し黙る。そりゃあ、濡れて帰れば風邪をひくだろう。傘が欲しいのは事実だ。雨足は徐々に強くなり、風も出てきた気がする。
「じ、じゃあさ! 一緒に入って行こうよ。ちょっと狭いかもしれないけど」
言えば、菊地原君は目を見開いた。それからそっぽを向き、
「狭いどころの話じゃないでしょ」
と言う。心なしか、頬がほんのり赤い。
「2人して濡れるよりいいじゃん」
「いや、少なくとも早乙女は濡れずに帰れるんだけど」
「それじゃ申し訳ないよ!」
菊地原君から傘を受け取り、半分を彼に傾ける。もう一度、菊地原君は深く息を吐いた。
「……傘は僕が持つから」
傘を奪い返すと、菊地原君はゆっくり歩き出した。傘の半分は、スペースを空けて。
「お邪魔しまーす」
俗に言う相合い傘。菊地原君とするなんて、思ってはいなかった。けど、全然嫌な感じはしない。寧ろ。
「菊地原君の隣ってなんか安心するね?」
「気のせいじゃないの」
なるべく私が濡れないようにしてることに気付いて、胸が温かくなる。これから傘は必ず菊地原君に借りようかな、なんて。迷惑なことを考えながら、少し菊地原君とのスペースを小さくした。
「……近いんだけど」
「いいじゃん、別に」
笑えば、菊地原君も少しだけ微笑んだ。