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「佐鳥君がどれだけ私を愛してるかはあまり問題じゃないの」
愛しています、と告げた後に言われた言葉。早乙女先輩の深い黒目に囚われて、身動きが出来なかった。早乙女先輩は妖艶に微笑んだ。
「私にとって大事なのは、君が私のものであるということよ。ボーダーの顔で忙しい佐鳥賢が、私のためだけに時間を割く。君は私のワガママを聞いてくれればいいの。分かった?」
はい、と返事をした声が掠れた。先輩のワガママを聞くということは、俺が早乙女あきを愛している証明にはならないのだろうか。先輩は長い綺麗な黒髪をなびかせる。その姿は誰よりも綺麗だ。
早乙女先輩には俺から告白した。一目惚れだった。初めの出会いは学校の屋上で1人、風に吹かれて佇んでいるところだった。見つけた時、俺は体育の授業で校庭にいた。だから顔まではよく見えなかった。
(え、あの人飛び降りるんじゃないか?)
一瞬、嫌な予感がよぎったが、先輩はそんな素振りを見せずどこか遠くを眺めていた。纏われた不思議な雰囲気に目が離せなくなった。
次に出会ったのは、3-Aの教室に行った時だった。当真先輩に必要書類を届けた時だ。窓際の席、やっぱり外を眺めていた。目の前の当真先輩を放ったらかしに、俺は電気ショックを味わいながら、早乙女先輩に魅入ってしまった。
「おーい? 佐鳥?」
「あ、すいません。これ書類です……先輩、あの窓際の人誰?」
「ん? お前あきに興味あんのか?」
当真先輩のにやけ面が、より深くなる。気になります、と正直に白状した。俺の真面目な顔に当真先輩はなにか悟ったのか、
「あいつはやめとけ。苦労するぞ」
と真剣に言われた。
「俺も2週間でフラれた」
その言葉に軽くショックを受けたが、それが早乙女先輩を諦める理由にはならなかった。当真先輩が言うには、清楚な見た目とは裏腹に、早乙女先輩は遊び人なのだと言う。美人だからモテるけど、あまりにも気まぐれでワガママなので、男が去るか先輩が振ってしまうらしい。俺はそれでもいいと思った。早乙女先輩に近づくことをやめられなかった。1ヶ月くらい3-Aの教室に通いこんで、必死にアピールした。そして、告白した。
「別に構わないわよ? 佐鳥君が私を愛するのは。好きにして頂戴」
なに一つ先輩の気持ちは語られていないのに、それでも満足してしまう自分がいた。好きにして頂戴、その言葉が妖しく俺の心を乱した。めでたく、俺と早乙女先輩は付き合うことになった。
早乙女先輩と付き合って3ヶ月、確かに先輩は気まぐれだった。1週間連絡が取れないと思ったら、授業中に急に呼び出されたり。デートは基本全部俺がお支払いをして、やたらとプレゼントを欲しがられたり。近寄れば叩かれるくらい冷たい時もあれば、自分からキスして甘えてくることもある。初めは混乱して困惑して、俺も泣きそうになったけど、早乙女先輩が何故そうなのか、と考えるとどうにも放っておけなかった。気まぐれなこの人は、気まぐれにこの世を捨ててしまいそうで。怖かった。
「昔、なんかいろいろあったみてぇだな」
当真先輩はそう言っていた。それがなんなのかは教えてくれなかったし、早乙女先輩も話してはくれない。けれど、早乙女先輩がこうなったのには理由があって、それなら俺は彼女を救いあげるヒーローになりたかった。
「佐鳥君は可愛らしいわね。いい子よ」
早乙女先輩の冷たい指が俺の頬に触れる。それだけでドキドキして全て委ねてしまう。
「ごめんね、こんな私で。もう少し付き合ってくれる?」
「ずっと、ずーっと。佐鳥は早乙女先輩のお側にいますよ」
「そう。ありがとう」
ふわり、と早乙女先輩は笑う。その笑顔を守るためなら、俺は先輩以外に大切なものなんてないんだ。
愛しています、と告げた後に言われた言葉。早乙女先輩の深い黒目に囚われて、身動きが出来なかった。早乙女先輩は妖艶に微笑んだ。
「私にとって大事なのは、君が私のものであるということよ。ボーダーの顔で忙しい佐鳥賢が、私のためだけに時間を割く。君は私のワガママを聞いてくれればいいの。分かった?」
はい、と返事をした声が掠れた。先輩のワガママを聞くということは、俺が早乙女あきを愛している証明にはならないのだろうか。先輩は長い綺麗な黒髪をなびかせる。その姿は誰よりも綺麗だ。
早乙女先輩には俺から告白した。一目惚れだった。初めの出会いは学校の屋上で1人、風に吹かれて佇んでいるところだった。見つけた時、俺は体育の授業で校庭にいた。だから顔まではよく見えなかった。
(え、あの人飛び降りるんじゃないか?)
一瞬、嫌な予感がよぎったが、先輩はそんな素振りを見せずどこか遠くを眺めていた。纏われた不思議な雰囲気に目が離せなくなった。
次に出会ったのは、3-Aの教室に行った時だった。当真先輩に必要書類を届けた時だ。窓際の席、やっぱり外を眺めていた。目の前の当真先輩を放ったらかしに、俺は電気ショックを味わいながら、早乙女先輩に魅入ってしまった。
「おーい? 佐鳥?」
「あ、すいません。これ書類です……先輩、あの窓際の人誰?」
「ん? お前あきに興味あんのか?」
当真先輩のにやけ面が、より深くなる。気になります、と正直に白状した。俺の真面目な顔に当真先輩はなにか悟ったのか、
「あいつはやめとけ。苦労するぞ」
と真剣に言われた。
「俺も2週間でフラれた」
その言葉に軽くショックを受けたが、それが早乙女先輩を諦める理由にはならなかった。当真先輩が言うには、清楚な見た目とは裏腹に、早乙女先輩は遊び人なのだと言う。美人だからモテるけど、あまりにも気まぐれでワガママなので、男が去るか先輩が振ってしまうらしい。俺はそれでもいいと思った。早乙女先輩に近づくことをやめられなかった。1ヶ月くらい3-Aの教室に通いこんで、必死にアピールした。そして、告白した。
「別に構わないわよ? 佐鳥君が私を愛するのは。好きにして頂戴」
なに一つ先輩の気持ちは語られていないのに、それでも満足してしまう自分がいた。好きにして頂戴、その言葉が妖しく俺の心を乱した。めでたく、俺と早乙女先輩は付き合うことになった。
早乙女先輩と付き合って3ヶ月、確かに先輩は気まぐれだった。1週間連絡が取れないと思ったら、授業中に急に呼び出されたり。デートは基本全部俺がお支払いをして、やたらとプレゼントを欲しがられたり。近寄れば叩かれるくらい冷たい時もあれば、自分からキスして甘えてくることもある。初めは混乱して困惑して、俺も泣きそうになったけど、早乙女先輩が何故そうなのか、と考えるとどうにも放っておけなかった。気まぐれなこの人は、気まぐれにこの世を捨ててしまいそうで。怖かった。
「昔、なんかいろいろあったみてぇだな」
当真先輩はそう言っていた。それがなんなのかは教えてくれなかったし、早乙女先輩も話してはくれない。けれど、早乙女先輩がこうなったのには理由があって、それなら俺は彼女を救いあげるヒーローになりたかった。
「佐鳥君は可愛らしいわね。いい子よ」
早乙女先輩の冷たい指が俺の頬に触れる。それだけでドキドキして全て委ねてしまう。
「ごめんね、こんな私で。もう少し付き合ってくれる?」
「ずっと、ずーっと。佐鳥は早乙女先輩のお側にいますよ」
「そう。ありがとう」
ふわり、と早乙女先輩は笑う。その笑顔を守るためなら、俺は先輩以外に大切なものなんてないんだ。