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夕刻18時16分。二宮は駅前で待ちぼうけを食らっていた。約束の時刻を過ぎたが、幼馴染は姿を現さない。ひとつため息を吐き、オレンジに染まる街を見上げる。今日は金曜日、心なしか道ゆく人の表情は明るく、想い想いに自由な時間を楽しんでいるように見えた。
「ねーお兄さんヒマなの? 私達と遊ばない?」
声をかけられ前を見ると、少々露出の多い服を着た3人組の女が二宮を見ていた。かっこいいだのイケメンだのとキャッキャッとはしゃいでいる。
「ね、ちょっと飲むだけだからさ!」
「……人を待っているので」
「こないんでしょ? さっきからずっと同じ場所にいるじゃん。」
引き下がらない女たちを見て、自分の隊の隊員を思い出す。ああ、女性が苦手な彼はこんな気持ちなんだろうかと、妙に納得する。そうしてる間に、1人の女が二宮の手を取った。
「損はさせないから! 遊ぼあそぼ!」
強引に引っ張られ、無理に振り払うことも出来ずに困り果てていると。
「ゴホン。悪いけど、そいつ私の連れだから!」
ひとつ咳払いし、腰に手を当てた女性が3人を睨みつけた。女は二宮から手を離し、
「なんだ、彼女持ちか」
と不機嫌そうに吐き捨て去って行った。掴まれた手をなんとなくハンカチで拭きながら、今度は二宮が早乙女を睨みつけた。
「遅い、おかげで変なのに絡まれた」
「ふん、匡貴がぼーっとしてるのが悪いんだわ」
こちらもご機嫌斜めといった感じで口を尖らせる。二宮は分かりやすくため息を吐いた。歩き出しながら、
「お前、遅刻する癖どうにかならないのか?」
と、不満を漏らす。
「だって、支度してたら間に合わなくなるんだもん」
「間に合うように支度はするものだ」
「うるさい! 匡貴と会うときだけだもん!」
「?? なんでそうなる?」
「……馬鹿。教えるもんですか」
ジト目で睨まれ、二宮は首を傾げる。自分に会うときだけ、何故支度が遅くなるのか。二宮には、どうにも答えが見つけられない。
「なんだ? 俺に言えないようなことなのか?」
「だから、教えないって言ってるでしょ!」
いつになく不機嫌な幼馴染に、二宮はイライラを忘れ困惑する。原因がよく分からないし、早乙女に隠し事をされているようで不安なのだ。
「どうした、なんでそんな不機嫌なんだ」
「うるさい、知らない」
「言ってみろ、俺とお前の仲だろう」
「…………知らない」
ぷいっとそっぽを向く彼女を、子供みたいで可愛いと思う反面、寂しいなんて感情を抱いているなんて、早乙女には分からないし、二宮自身も分かっていない。ただ、二宮は焦って早乙女の手を握る。
「よく分からないが、機嫌直せ。何かしたなら、謝る。悪かった」
「…………」
「別に遅刻も怒ってない。ただ毎回遅れて来るのはおかしいというか……早く会いたいのにと思って」
「!! ………。」
二宮の指が、優しく早乙女の手の甲を撫ぜる。
「あきと食事に行くのをこれでも楽しみにしていたんだ。早く、笑った顔を見せてくれ」
早乙女は真っ赤になってうつむいた。天然な幼馴染が、爆弾を落とすのはいつものことなのだが。
「……知らない子に手、握られてた」
「は?」
「だから! 知らない子に触られてたのが嫌なの!」
やっと少し聞けた本音に、二宮はぱちくりと瞬きをする。そして、ほっとしたように息を吐いた。
「なんだ、そんなことか」
「! そんなことって、」
「なら、触れないようにお前がずっと握っていればいい」
違うか? と手を握る二宮に、早乙女はそれ以上なにも言えずにただ手を握り返した。そのまま、仲良く手を繋いで街の雑踏をすり抜けて行った。夜はまだ始まったばかりだ。
「ねーお兄さんヒマなの? 私達と遊ばない?」
声をかけられ前を見ると、少々露出の多い服を着た3人組の女が二宮を見ていた。かっこいいだのイケメンだのとキャッキャッとはしゃいでいる。
「ね、ちょっと飲むだけだからさ!」
「……人を待っているので」
「こないんでしょ? さっきからずっと同じ場所にいるじゃん。」
引き下がらない女たちを見て、自分の隊の隊員を思い出す。ああ、女性が苦手な彼はこんな気持ちなんだろうかと、妙に納得する。そうしてる間に、1人の女が二宮の手を取った。
「損はさせないから! 遊ぼあそぼ!」
強引に引っ張られ、無理に振り払うことも出来ずに困り果てていると。
「ゴホン。悪いけど、そいつ私の連れだから!」
ひとつ咳払いし、腰に手を当てた女性が3人を睨みつけた。女は二宮から手を離し、
「なんだ、彼女持ちか」
と不機嫌そうに吐き捨て去って行った。掴まれた手をなんとなくハンカチで拭きながら、今度は二宮が早乙女を睨みつけた。
「遅い、おかげで変なのに絡まれた」
「ふん、匡貴がぼーっとしてるのが悪いんだわ」
こちらもご機嫌斜めといった感じで口を尖らせる。二宮は分かりやすくため息を吐いた。歩き出しながら、
「お前、遅刻する癖どうにかならないのか?」
と、不満を漏らす。
「だって、支度してたら間に合わなくなるんだもん」
「間に合うように支度はするものだ」
「うるさい! 匡貴と会うときだけだもん!」
「?? なんでそうなる?」
「……馬鹿。教えるもんですか」
ジト目で睨まれ、二宮は首を傾げる。自分に会うときだけ、何故支度が遅くなるのか。二宮には、どうにも答えが見つけられない。
「なんだ? 俺に言えないようなことなのか?」
「だから、教えないって言ってるでしょ!」
いつになく不機嫌な幼馴染に、二宮はイライラを忘れ困惑する。原因がよく分からないし、早乙女に隠し事をされているようで不安なのだ。
「どうした、なんでそんな不機嫌なんだ」
「うるさい、知らない」
「言ってみろ、俺とお前の仲だろう」
「…………知らない」
ぷいっとそっぽを向く彼女を、子供みたいで可愛いと思う反面、寂しいなんて感情を抱いているなんて、早乙女には分からないし、二宮自身も分かっていない。ただ、二宮は焦って早乙女の手を握る。
「よく分からないが、機嫌直せ。何かしたなら、謝る。悪かった」
「…………」
「別に遅刻も怒ってない。ただ毎回遅れて来るのはおかしいというか……早く会いたいのにと思って」
「!! ………。」
二宮の指が、優しく早乙女の手の甲を撫ぜる。
「あきと食事に行くのをこれでも楽しみにしていたんだ。早く、笑った顔を見せてくれ」
早乙女は真っ赤になってうつむいた。天然な幼馴染が、爆弾を落とすのはいつものことなのだが。
「……知らない子に手、握られてた」
「は?」
「だから! 知らない子に触られてたのが嫌なの!」
やっと少し聞けた本音に、二宮はぱちくりと瞬きをする。そして、ほっとしたように息を吐いた。
「なんだ、そんなことか」
「! そんなことって、」
「なら、触れないようにお前がずっと握っていればいい」
違うか? と手を握る二宮に、早乙女はそれ以上なにも言えずにただ手を握り返した。そのまま、仲良く手を繋いで街の雑踏をすり抜けて行った。夜はまだ始まったばかりだ。