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夢小説設定
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「はああー……かっこいい……」
光るパソコンの画面の中、映っているのは今までのランク戦のログだ。暗い部屋の中、誰にも邪魔されずに1人画面を食い入るように見つめていた。自分の技術を磨くためだとか、相手を分析するためだとかそんなところに目的はない。
「米屋君……カッコよすぎる……」
好戦的な瞳、長槍を操る腕、力強い脚、頼もしい背中……その全てに惚れ惚れする。周りの友達は、同学年なら出水君や三輪君、奈良坂君のがかっこいいなんて言うけれど、私は迷うことなく米屋君が一番かっこいいと思う。なんてったって私は、入隊当初からの米屋陽介君ファンだ。いわゆる、一目惚れってやつ。山のようにある米屋君の個人ランク戦のログを、延々と見続けるのが私の密かな楽しみなのだ。心臓はときめきを隠せずに、体温は上がりっぱなしで暑い。
「……はあ。もうこんな時間か」
時刻はもうすぐ夜の9時になろうかといったところ。名残惜しいが、今日はここまでにしよう。パソコンの電源を落とし、後片付けをして資料室を出た。
「あれ、あきさんじゃん。こんな時間までなにしてんの?」
ドキリ、と心臓が跳ねる。声のした方を向けば、さっきまで画面の中にいた彼が立っていた。
「お疲れ様、米屋君。うん、ちょっと調べ物しててね」
米屋君の前では、いい先輩を演じてきている。話しかけられて内心は嬉しくてテンション上がりまくりなのだが、顔に出ないように努める。米屋君も帰りのようで、出口の方に身体を向ける。
「1人っすか? 俺送っていきますよ。」
「えっ、いいよ別に! 私もう成人してるし」
「いやいや、この時間の女性の一人歩きはダメっしょー」
ね? と笑いかけられたら断るなんて出来なかった。米屋君と2人きりで帰るなんて、向こう一週間頑張れそうなくらいのご褒美だ。
ボーダー本部を出て、大通りに沿って歩道を歩く。しっかり米屋君は車道側を歩いていて、彼なりにエスコートしてくれてるのだと実感する。最っ高にときめく。叫びたいくらい。
「最近調子はどう? 順調?」
「まあ、ぼちぼちっすね。あ、面白い奴入ってきたの知ってます? 玉狛の白チビ!」
聞かなくたって、さっきまでログ見てたから分かるんだけど。それはもう楽しそうに玉狛の子と戦っていた。けど、バレないように適当に相槌を打つ。米屋君は話すのが上手なので、会話は途切れることなく続く。楽しく話しながら、閑静な住宅街に足を踏み入れた時だ。
「あの、あきさんに一個聞きたいことがあるんすけど」
米屋君がそう切り出した。改まった言い方に好きな人と一緒にいるのとは別の緊張が走る。米屋君の顔を見るが、何を考えているのか表情からは読み取り辛い。真っ黒な瞳に吸い込まれて数秒、言葉を失う。
「うん、なに?」
「……あきさんが俺のランク戦、めちゃくちゃ見まくってるって本当っすか?」
「うえっ!?」
思わず変な声が出た。動揺を隠すことも忘れて、脳内はパニックになる。なんでバレてるの!?
「えっ、それ誰から聞いたの?」
「出水ですけど」
出水君? なんで? 全く秘密と繋がらなくて、余計に混乱する。
「出水は二宮さんから聞いたって言ってました」
ニ……宮……。もしかして。
「望……!!」
セレブオーラを纏う友人の、無邪気な笑顔が脳裏を横切った。なんてことしてくれてるのあの子は!
「あー、マジか」
米屋君は私の反応を見て、確信を持ってしまったようだ。いや、本当のことなんだけど、バレてしまっては今後の関係に差しつかえてしまう。
「ちっ違うの! あの、米屋君の動きいいから参考にしてて! 勉強のために見てたっていうか!」
銃手の私が米屋君の動きを参考に出来るわけがない。弁解すればするほど、墓穴を掘る気がする。
「だったら、出水とか秀次のが参考になるだろ」
「っ、米屋君の数が多いから見やすくて、」
「あきさん、俺、自惚れてもいい?」
慌てる私とは対照的に、落ち着いた声で米屋君は言った。じっとこちらを見る視線はいつになく真剣で。はっと息を飲んだ。ドクン、ドクンと耳の奥で血の流れの速くなる音がする。
「俺も見てた、あきさんのこと」
「え、」
米屋君が微笑む。その表情にどうしようもなく色気を感じてしまう。
「あきさん、俺、」
ああ、その言葉の続きを聞いてしまったら私はどうなってしまうのだろうか。
光るパソコンの画面の中、映っているのは今までのランク戦のログだ。暗い部屋の中、誰にも邪魔されずに1人画面を食い入るように見つめていた。自分の技術を磨くためだとか、相手を分析するためだとかそんなところに目的はない。
「米屋君……カッコよすぎる……」
好戦的な瞳、長槍を操る腕、力強い脚、頼もしい背中……その全てに惚れ惚れする。周りの友達は、同学年なら出水君や三輪君、奈良坂君のがかっこいいなんて言うけれど、私は迷うことなく米屋君が一番かっこいいと思う。なんてったって私は、入隊当初からの米屋陽介君ファンだ。いわゆる、一目惚れってやつ。山のようにある米屋君の個人ランク戦のログを、延々と見続けるのが私の密かな楽しみなのだ。心臓はときめきを隠せずに、体温は上がりっぱなしで暑い。
「……はあ。もうこんな時間か」
時刻はもうすぐ夜の9時になろうかといったところ。名残惜しいが、今日はここまでにしよう。パソコンの電源を落とし、後片付けをして資料室を出た。
「あれ、あきさんじゃん。こんな時間までなにしてんの?」
ドキリ、と心臓が跳ねる。声のした方を向けば、さっきまで画面の中にいた彼が立っていた。
「お疲れ様、米屋君。うん、ちょっと調べ物しててね」
米屋君の前では、いい先輩を演じてきている。話しかけられて内心は嬉しくてテンション上がりまくりなのだが、顔に出ないように努める。米屋君も帰りのようで、出口の方に身体を向ける。
「1人っすか? 俺送っていきますよ。」
「えっ、いいよ別に! 私もう成人してるし」
「いやいや、この時間の女性の一人歩きはダメっしょー」
ね? と笑いかけられたら断るなんて出来なかった。米屋君と2人きりで帰るなんて、向こう一週間頑張れそうなくらいのご褒美だ。
ボーダー本部を出て、大通りに沿って歩道を歩く。しっかり米屋君は車道側を歩いていて、彼なりにエスコートしてくれてるのだと実感する。最っ高にときめく。叫びたいくらい。
「最近調子はどう? 順調?」
「まあ、ぼちぼちっすね。あ、面白い奴入ってきたの知ってます? 玉狛の白チビ!」
聞かなくたって、さっきまでログ見てたから分かるんだけど。それはもう楽しそうに玉狛の子と戦っていた。けど、バレないように適当に相槌を打つ。米屋君は話すのが上手なので、会話は途切れることなく続く。楽しく話しながら、閑静な住宅街に足を踏み入れた時だ。
「あの、あきさんに一個聞きたいことがあるんすけど」
米屋君がそう切り出した。改まった言い方に好きな人と一緒にいるのとは別の緊張が走る。米屋君の顔を見るが、何を考えているのか表情からは読み取り辛い。真っ黒な瞳に吸い込まれて数秒、言葉を失う。
「うん、なに?」
「……あきさんが俺のランク戦、めちゃくちゃ見まくってるって本当っすか?」
「うえっ!?」
思わず変な声が出た。動揺を隠すことも忘れて、脳内はパニックになる。なんでバレてるの!?
「えっ、それ誰から聞いたの?」
「出水ですけど」
出水君? なんで? 全く秘密と繋がらなくて、余計に混乱する。
「出水は二宮さんから聞いたって言ってました」
ニ……宮……。もしかして。
「望……!!」
セレブオーラを纏う友人の、無邪気な笑顔が脳裏を横切った。なんてことしてくれてるのあの子は!
「あー、マジか」
米屋君は私の反応を見て、確信を持ってしまったようだ。いや、本当のことなんだけど、バレてしまっては今後の関係に差しつかえてしまう。
「ちっ違うの! あの、米屋君の動きいいから参考にしてて! 勉強のために見てたっていうか!」
銃手の私が米屋君の動きを参考に出来るわけがない。弁解すればするほど、墓穴を掘る気がする。
「だったら、出水とか秀次のが参考になるだろ」
「っ、米屋君の数が多いから見やすくて、」
「あきさん、俺、自惚れてもいい?」
慌てる私とは対照的に、落ち着いた声で米屋君は言った。じっとこちらを見る視線はいつになく真剣で。はっと息を飲んだ。ドクン、ドクンと耳の奥で血の流れの速くなる音がする。
「俺も見てた、あきさんのこと」
「え、」
米屋君が微笑む。その表情にどうしようもなく色気を感じてしまう。
「あきさん、俺、」
ああ、その言葉の続きを聞いてしまったら私はどうなってしまうのだろうか。