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本部の廊下を歩きながら、紙袋の中のお菓子を見つめ悦に浸る。先月頑張ってチョコを配りまくった甲斐があったというものだ。徴収した贈り物の中はジュースとか文房具も含まれていて、贈り主の性格が垣間見れてそれも面白かった。中でも驚いたのは。
「これ絶対高いやつだよねー」
綺麗に包装された小箱を取り出し眺める。「あきちゃんにだけ特別ね!」って犬飼からウインク付きで頂いた。犬飼モテるから、皆にそう言ってるんだろうけど、良い物を貰って悪い気はしない。家に帰って紅茶でも淹れて食べよう。ご機嫌でスキップしていたら、進行方向からまだ貰ってない人物が歩いてきた。
「あー! カゲ! お菓子頂戴!」
「?? 今日ハロウィンじゃねえだろ?」
眉を顰めるカゲは本当に分かっていない様子だ。
「違う! ホワイトデー!」
「……あぁ。用意してねえ」
「嘘でしょ!? あんな食べてたのに!」
バレンタインに個別にあげた分だけでなく、余りで持ってきていた分も食べ尽くした男のセリフとは思えない。
「あーあ、皆はちゃんとくれたのになぁ……」
ちょっぴり、ほんのちょっぴりカゲからのお返しを期待していたのに。実はカゲのだけ多めに入れたし。気づいてないのかもしれないけど。
「犬飼なんかちょっと高級なのくれたのになー」
「……あ?」
「いいでしょーあげないわよ?」
腹いせにちょっと高級なお菓子を見せびらかす。するとカゲの機嫌は見るからに悪くなった。そう思った瞬間には、カゲの手にお菓子を奪われた。
「ちょっと! 返してよ!」
「嫌なこった」
私が手を伸ばせば反対側へ、追いかければまた逆へ。私より大きな身体に翻弄される。
「……これ貰って嬉しかったのかよ」
「はあ?」
「嬉しかったのかって聞いてんだよ」
ドスの効いた声にビクッと身体が反応する。獣みたいな鋭い眼光に射抜かれ動きを止めた。
「そりゃ、まあ、嬉しかった、けど……」
「…………」
それを聞くとカゲは包装をビリビリに破いた。
「な、ちょっと!」
制止する手を振り払い、容赦なくカゲは中身をたいらげた。クッキーの美味しそうな匂いだけが鼻を掠める。あっという間に箱は空になった。
「まあ、確かに美味えな。」
「もう! なんで食べちゃうわけ! 楽しみにしてたのにー!」
「うるせえな。気に食わねえんだよ」
「っ、もういい!」
カゲからお返しは貰えないし、高級なクッキーは食べられるし、散々だ。さっきの上機嫌は何処へやら、私はカゲの横を大股で通り過ぎた。
「おい」
ようとした。左手首をグイッと引っ張られ私はその場に踏みとどまる。
「なによ」
「今から買いに行くぞ。その、ホワイトデー」
思ってもない申し出に、思考がフリーズする。え、それって。
「あいつのとおんなじ奴でもいいし、好きなの買ってやる。それでいいだろ?」
それってこの後デートってことじゃないの。ぶっきらぼうな誘い方だけど、心臓は加速してしまって頬は熱を持つ。
「……さっきのより高くて大きいのじゃなきゃ許さないんだから」
「だからそれでいいっつーの」
頭を掻きながら歩き出した彼の後ろを、彼女ヅラして歩いていいのだろうか。淡い期待を胸に、私はカゲと街に繰り出した。
「これ絶対高いやつだよねー」
綺麗に包装された小箱を取り出し眺める。「あきちゃんにだけ特別ね!」って犬飼からウインク付きで頂いた。犬飼モテるから、皆にそう言ってるんだろうけど、良い物を貰って悪い気はしない。家に帰って紅茶でも淹れて食べよう。ご機嫌でスキップしていたら、進行方向からまだ貰ってない人物が歩いてきた。
「あー! カゲ! お菓子頂戴!」
「?? 今日ハロウィンじゃねえだろ?」
眉を顰めるカゲは本当に分かっていない様子だ。
「違う! ホワイトデー!」
「……あぁ。用意してねえ」
「嘘でしょ!? あんな食べてたのに!」
バレンタインに個別にあげた分だけでなく、余りで持ってきていた分も食べ尽くした男のセリフとは思えない。
「あーあ、皆はちゃんとくれたのになぁ……」
ちょっぴり、ほんのちょっぴりカゲからのお返しを期待していたのに。実はカゲのだけ多めに入れたし。気づいてないのかもしれないけど。
「犬飼なんかちょっと高級なのくれたのになー」
「……あ?」
「いいでしょーあげないわよ?」
腹いせにちょっと高級なお菓子を見せびらかす。するとカゲの機嫌は見るからに悪くなった。そう思った瞬間には、カゲの手にお菓子を奪われた。
「ちょっと! 返してよ!」
「嫌なこった」
私が手を伸ばせば反対側へ、追いかければまた逆へ。私より大きな身体に翻弄される。
「……これ貰って嬉しかったのかよ」
「はあ?」
「嬉しかったのかって聞いてんだよ」
ドスの効いた声にビクッと身体が反応する。獣みたいな鋭い眼光に射抜かれ動きを止めた。
「そりゃ、まあ、嬉しかった、けど……」
「…………」
それを聞くとカゲは包装をビリビリに破いた。
「な、ちょっと!」
制止する手を振り払い、容赦なくカゲは中身をたいらげた。クッキーの美味しそうな匂いだけが鼻を掠める。あっという間に箱は空になった。
「まあ、確かに美味えな。」
「もう! なんで食べちゃうわけ! 楽しみにしてたのにー!」
「うるせえな。気に食わねえんだよ」
「っ、もういい!」
カゲからお返しは貰えないし、高級なクッキーは食べられるし、散々だ。さっきの上機嫌は何処へやら、私はカゲの横を大股で通り過ぎた。
「おい」
ようとした。左手首をグイッと引っ張られ私はその場に踏みとどまる。
「なによ」
「今から買いに行くぞ。その、ホワイトデー」
思ってもない申し出に、思考がフリーズする。え、それって。
「あいつのとおんなじ奴でもいいし、好きなの買ってやる。それでいいだろ?」
それってこの後デートってことじゃないの。ぶっきらぼうな誘い方だけど、心臓は加速してしまって頬は熱を持つ。
「……さっきのより高くて大きいのじゃなきゃ許さないんだから」
「だからそれでいいっつーの」
頭を掻きながら歩き出した彼の後ろを、彼女ヅラして歩いていいのだろうか。淡い期待を胸に、私はカゲと街に繰り出した。