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※二宮さんの天然が強調されています。
細菌に犯された身体が熱くて怠い。大学で流行している風邪をまんまともらってしまった私は、自室の布団の中ぼっーと天井を見上げていた。こんな時、一人暮らしというのは辛い。ろくに備蓄もない状態で、このままでは人知れずくたばってしまう。そんなダサい死に方は嫌だ、どうせ死ぬならこう……ドラマティックに誰かの盾になって死にたい。君が無事でよかった、泣かないで、最期は笑って見送ってよ、的な。私の頭は熱でだいぶ参っているようだ。
ピンポーン
玄関のチャイムが遠くに聞こえる。ああ、出なきゃと思うのに身体が動かない。もう一度、チャイムが鳴り響く。身体に鞭を打ち、掛け布団を引きずりながら鍵を開けた。ドアが向こうから開けられる。
「あき、大丈夫か?」
「匡貴……!!」
弱っている時に見る恋人は普段より一層愛おしく思えた。救世主は部屋に上がると、「キッチンを借りる」と言ってさっさと奥に行ってしまう。迅速すぎる対応に、匡貴らしいとは思うが寂しさを感じる。
「まーさーたーかー」
「寝てろ。今おかゆ作るから」
「うー……」
匡貴は振り向くとぽんぽん、と頭を撫でた。その手が私の額に触れる。
「熱いな。何度くらいあるんだ」
「んー……8度6分くらい」
「すぐ行くから、寝てろ」
「ううー」
優しい声でそう言われるので、言うことを聞くことにする。布団に潜り込み、大人しくして待つ。途中、ガシャーンと鍋がひっくり返るような音が聞こえたが、多分大丈夫だろう。うとうととしているうちに、匡貴がどんぶりとレンゲを持ってきた。一目見て、多いだろ、と思った。
「食べられるか?」
「そんなには無理」
「そうか、食べられるだけでいいから食べろ」
膝の上にどんぶりを置かれ、渋々食べ進める。舌の上におかゆを乗せるも、味がしない。
「あの、匡貴。これなにで味付けした?」
「塩だが」
「……冷蔵庫からお味噌と、スプーン持ってきて」
匡貴は速やかに味噌を持ってきてくれた。味のしないおかゆに溶かして味を整える。なんとか食べれる味になってほっとする。
「薄味のが食べやすいかと思って」
「うん、大丈夫。ありがとー」
味噌味になったおかゆを食べ進めれば、今度はガリッと何かを噛んだ。辛味が口の中に広がり、思わずむせる。
「ゴホッゴホッ!」
「大丈夫か!?」
「ゴホッ、う、匡貴、これなに入れた?」
「生姜を刻んで入れたんだが」
そう言われて口から吐き出した黄色い物体を見る。これは刻んだというよりは……ぶつ切りかな、うん。食べるにはちょっとサイズが大きすぎる。仕方がないので、生姜を避けながらおかゆを食べる。そんなことをしているうちに、少し冷めてしまった。
「すまん、あき。俺あまり風邪引かないから……」
「うん、分かってる。大丈夫だよ」
珍しくオロオロする匡貴に微笑みかける。あんなに頼もしく部屋に入ってきたのに、グダグダな看病が匡貴らしくて心がほっこりする。熱は下がってないはずなのに、なんだかもうすっかり元気になった気分だ。申し訳なさそうに眉を下げる彼に手を伸ばした。頭を撫でようとした手は、匡貴の手に掴まれた。そのまま、ギュッと握りこまれる。いつもは私より温かい匡貴の手が冷たい。
「今日は1日傍にいるから、勘弁しろ」
「ふふふ、ありがとう」
さっきまでは死んでしまうかと思ってたけど、可愛い匡貴が1日一緒にいてくれるなら、たまには風邪引くのもいいな、なんて。嬉しくてもう一度匡貴の手を握り返した。
「薬も買ってきた」
「……ロキソニンかー惜しいね」
「えっこれ風邪薬じゃないのか?」
「解熱鎮痛剤だから、ちょっと違うかな」
「あっ、でも冷えピタはあるぞ」
ガサゴソとビニール袋から出てきたのは。
「湿布っ……!!」
流石にお腹を抱えた。今日の匡貴はいつにも増して天然が酷い。私のために慌てて来てくれたんだろうな、と考えに至って、尚更愛おしくなった。
細菌に犯された身体が熱くて怠い。大学で流行している風邪をまんまともらってしまった私は、自室の布団の中ぼっーと天井を見上げていた。こんな時、一人暮らしというのは辛い。ろくに備蓄もない状態で、このままでは人知れずくたばってしまう。そんなダサい死に方は嫌だ、どうせ死ぬならこう……ドラマティックに誰かの盾になって死にたい。君が無事でよかった、泣かないで、最期は笑って見送ってよ、的な。私の頭は熱でだいぶ参っているようだ。
ピンポーン
玄関のチャイムが遠くに聞こえる。ああ、出なきゃと思うのに身体が動かない。もう一度、チャイムが鳴り響く。身体に鞭を打ち、掛け布団を引きずりながら鍵を開けた。ドアが向こうから開けられる。
「あき、大丈夫か?」
「匡貴……!!」
弱っている時に見る恋人は普段より一層愛おしく思えた。救世主は部屋に上がると、「キッチンを借りる」と言ってさっさと奥に行ってしまう。迅速すぎる対応に、匡貴らしいとは思うが寂しさを感じる。
「まーさーたーかー」
「寝てろ。今おかゆ作るから」
「うー……」
匡貴は振り向くとぽんぽん、と頭を撫でた。その手が私の額に触れる。
「熱いな。何度くらいあるんだ」
「んー……8度6分くらい」
「すぐ行くから、寝てろ」
「ううー」
優しい声でそう言われるので、言うことを聞くことにする。布団に潜り込み、大人しくして待つ。途中、ガシャーンと鍋がひっくり返るような音が聞こえたが、多分大丈夫だろう。うとうととしているうちに、匡貴がどんぶりとレンゲを持ってきた。一目見て、多いだろ、と思った。
「食べられるか?」
「そんなには無理」
「そうか、食べられるだけでいいから食べろ」
膝の上にどんぶりを置かれ、渋々食べ進める。舌の上におかゆを乗せるも、味がしない。
「あの、匡貴。これなにで味付けした?」
「塩だが」
「……冷蔵庫からお味噌と、スプーン持ってきて」
匡貴は速やかに味噌を持ってきてくれた。味のしないおかゆに溶かして味を整える。なんとか食べれる味になってほっとする。
「薄味のが食べやすいかと思って」
「うん、大丈夫。ありがとー」
味噌味になったおかゆを食べ進めれば、今度はガリッと何かを噛んだ。辛味が口の中に広がり、思わずむせる。
「ゴホッゴホッ!」
「大丈夫か!?」
「ゴホッ、う、匡貴、これなに入れた?」
「生姜を刻んで入れたんだが」
そう言われて口から吐き出した黄色い物体を見る。これは刻んだというよりは……ぶつ切りかな、うん。食べるにはちょっとサイズが大きすぎる。仕方がないので、生姜を避けながらおかゆを食べる。そんなことをしているうちに、少し冷めてしまった。
「すまん、あき。俺あまり風邪引かないから……」
「うん、分かってる。大丈夫だよ」
珍しくオロオロする匡貴に微笑みかける。あんなに頼もしく部屋に入ってきたのに、グダグダな看病が匡貴らしくて心がほっこりする。熱は下がってないはずなのに、なんだかもうすっかり元気になった気分だ。申し訳なさそうに眉を下げる彼に手を伸ばした。頭を撫でようとした手は、匡貴の手に掴まれた。そのまま、ギュッと握りこまれる。いつもは私より温かい匡貴の手が冷たい。
「今日は1日傍にいるから、勘弁しろ」
「ふふふ、ありがとう」
さっきまでは死んでしまうかと思ってたけど、可愛い匡貴が1日一緒にいてくれるなら、たまには風邪引くのもいいな、なんて。嬉しくてもう一度匡貴の手を握り返した。
「薬も買ってきた」
「……ロキソニンかー惜しいね」
「えっこれ風邪薬じゃないのか?」
「解熱鎮痛剤だから、ちょっと違うかな」
「あっ、でも冷えピタはあるぞ」
ガサゴソとビニール袋から出てきたのは。
「湿布っ……!!」
流石にお腹を抱えた。今日の匡貴はいつにも増して天然が酷い。私のために慌てて来てくれたんだろうな、と考えに至って、尚更愛おしくなった。