longseries-2-
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その少女は、本当によく笑う子だった。
太陽が水平線に消えて、夕闇が辺りを埋め尽くす。一日の終わりに摂る食事は、あの頃よりは質素になった。妹……千佳のことを少し思い出す。ちゃんと食べているだろうか。なんて、そんな心配は本当のところしていない癖に。水分の少ないパンをかじる。今でも覚えているものの数は少ない。そう、自分が選択した。その数少ない中でも、色濃く覚えているのは、珠莉の笑顔だ。
俺と珠莉は幼馴染だった。修と千佳のように。珠莉は二歳年上の俺によく懐いた。俺は居場所に飢えていたから、簡単に珠莉に依存したし、珠莉にもそうさせた。珠莉は俺の欲しいものを全て持っている女の子だったから、珠莉を手に入れることで俺は全てを手に入れた気になれた。笑顔で、俺を否定することはせず、ただただ受け入れてくれる存在。想いこそ伝えなくても、そう信じられる相手だった。
異世界の門が開いた。その日から彼女は変わり果ててしまった。一度も怒った顔など見たことなかったのに、憎悪に塗れた表情で戦うことを選んでしまった。俺は、ついていかなかった。そっぽを向いた。壊れていく彼女に耐えられなかったから。
やがて、仲間を得て、彼女は昔に戻ったように見えた。それさえ俺は、厭わしかった。彼女の変化に心が追いつかない。俺だけ、俺だけの女の子が、世界に解き放たれたのが許せなかった。しかし、俺にはボーダーに入れない理由があったし、変化を食い止めることは不可能だった。
遠くになればなるほど、欲しくなった。それは馬鹿げた話で、あまりにも幼い願望だった。けれど、いっそ一番遠くまで行ったら? そこで一つの審判が出た。
「それで俺が忘れ去られるのは、許せない」
俺は入念に準備した。俺の出来る手段の全てを持って、珠莉の心に傷を残した。千佳のこともあり、決行の日は近づいた。最後に会った時も、珠莉は他の誰かの話をしていた。あぁ、その口を塞いでしまえたらいいのに。悟られないように、告げた言葉。
「じゃあ、またな」
そのあと、珠莉がどうなったかは知らない。妹は、分からないが。俺が生きている可能性を知れば、追ってくるだろう。連れ戻される自分を想像する。協力者共々、タダで帰してはくれないだろうな。あぁ、それでも君は。
変わらない笑顔で、迎えてくれると。そう信じているよ。
太陽が水平線に消えて、夕闇が辺りを埋め尽くす。一日の終わりに摂る食事は、あの頃よりは質素になった。妹……千佳のことを少し思い出す。ちゃんと食べているだろうか。なんて、そんな心配は本当のところしていない癖に。水分の少ないパンをかじる。今でも覚えているものの数は少ない。そう、自分が選択した。その数少ない中でも、色濃く覚えているのは、珠莉の笑顔だ。
俺と珠莉は幼馴染だった。修と千佳のように。珠莉は二歳年上の俺によく懐いた。俺は居場所に飢えていたから、簡単に珠莉に依存したし、珠莉にもそうさせた。珠莉は俺の欲しいものを全て持っている女の子だったから、珠莉を手に入れることで俺は全てを手に入れた気になれた。笑顔で、俺を否定することはせず、ただただ受け入れてくれる存在。想いこそ伝えなくても、そう信じられる相手だった。
異世界の門が開いた。その日から彼女は変わり果ててしまった。一度も怒った顔など見たことなかったのに、憎悪に塗れた表情で戦うことを選んでしまった。俺は、ついていかなかった。そっぽを向いた。壊れていく彼女に耐えられなかったから。
やがて、仲間を得て、彼女は昔に戻ったように見えた。それさえ俺は、厭わしかった。彼女の変化に心が追いつかない。俺だけ、俺だけの女の子が、世界に解き放たれたのが許せなかった。しかし、俺にはボーダーに入れない理由があったし、変化を食い止めることは不可能だった。
遠くになればなるほど、欲しくなった。それは馬鹿げた話で、あまりにも幼い願望だった。けれど、いっそ一番遠くまで行ったら? そこで一つの審判が出た。
「それで俺が忘れ去られるのは、許せない」
俺は入念に準備した。俺の出来る手段の全てを持って、珠莉の心に傷を残した。千佳のこともあり、決行の日は近づいた。最後に会った時も、珠莉は他の誰かの話をしていた。あぁ、その口を塞いでしまえたらいいのに。悟られないように、告げた言葉。
「じゃあ、またな」
そのあと、珠莉がどうなったかは知らない。妹は、分からないが。俺が生きている可能性を知れば、追ってくるだろう。連れ戻される自分を想像する。協力者共々、タダで帰してはくれないだろうな。あぁ、それでも君は。
変わらない笑顔で、迎えてくれると。そう信じているよ。