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「僕は友達が少ない」なんて、言ってる奴のことは信用しない。それを伝えられる相手がいるならマシだろ。誰からも疎まれたくない僕は、そんな「だから友達になってください」とでも言うような、プレッシャーのある言葉は口にしない。出来ることなら、ガラスの向こう側を見るように、何事も他人事でいたい。干渉してくる輩には、無視を決め込みたい。……僕のなにが気に食わないって言うんだ。
「オメーのその、なにも痛くねえって面が気に食わねぇんだよ!」
不良は振りかぶってそう答えた。顔に出ないから痛くないなんて、暴論だと思う。衝撃に備えて目を瞑ったが、殴打はこない。
「……??」
「一方的な暴力なんて、僕は許さないぞ!」
一度も喋ったことないクラスメートが、僕を庇っていた。名前は確か……三雲?
「うるせぇんだよ、雑魚メガネ。引っ込んでろ」
その通りだ。僕を庇ったっていいことは一つもない。僕に取り入ったところで、僕はなにもするつもりはない。それなのに、一緒に痛めつけられて、不良が去るまで共にいてくれた。
「痛た……大丈夫か?」
「僕は、平気だけど……三雲は? どうして僕なんて庇ったの」
メガネのフレームは曲がっている。弁償してくれだとか、言われないだろうか。
「なに? 正義の味方になりたいの? 僕は認めないよ。勝手に君が関わってきたんだ、僕は知らない。その怪我も、その傷も、全部全部君のせいだ」
価値なんてない、むしろマイナスで最低な言葉を羅列した。それなのに、三雲は不思議そうな顔でこう言った。
「僕がそうすべきだと思ったから、助けようとしただけだ。結果的に君にも怪我させてしまったけど……ごめん」
頭を下げる三雲を、認める以外僕にはなかった。正真正銘、三雲修は正義の味方だった。
そんな彼に憧れたわけではない。けれど、三雲がボーダー隊員であることを知った僕は、自然とそこへ導かれた。ボーダーの入隊式、今日から僕は三雲を先輩としてB級隊員を目指す。
「早乙女、お前もボーダーに入隊したんだな」
「うん、よろしく」
三雲は驚いた様子だったが、僕に声をかけてくれた。しかし、次の発言に僕は絶望する。
「まぁ、僕は玉狛に転属になったんだけど」
言葉を探す僕を置いて、三雲は白い頭の転校生の元へ行ってしまった。そうか、また僕は一人か。少しでも希望を見てしまった僕が間違いだったのか。いや、勝手に三雲をヒーローだと思った、僕がいけなかったんだな。
(これからどうしようか)
今更、辞めるなんて言い出せない。けれど、僕がここで頑張ったって、誰もなにも思わないのではないだろうか? ボーダーの隊員は、思ったよりも多そうだ。僕がいなくたって、世界は。
(僕がそうすべきだと思った)
あの日の言葉がリフレインした。そうだ、誰がどうとか関係ない。僕が、そうしようと決めたからここに来た。三雲なんて、関係ない。僕は、与えられたことを粛々とこなせばいいはずだ。誰も、望んでいなくとも。
決意を固めて、遠くの三雲を見れば、こちらに愛想笑いを浮かべたように見えた。
「オメーのその、なにも痛くねえって面が気に食わねぇんだよ!」
不良は振りかぶってそう答えた。顔に出ないから痛くないなんて、暴論だと思う。衝撃に備えて目を瞑ったが、殴打はこない。
「……??」
「一方的な暴力なんて、僕は許さないぞ!」
一度も喋ったことないクラスメートが、僕を庇っていた。名前は確か……三雲?
「うるせぇんだよ、雑魚メガネ。引っ込んでろ」
その通りだ。僕を庇ったっていいことは一つもない。僕に取り入ったところで、僕はなにもするつもりはない。それなのに、一緒に痛めつけられて、不良が去るまで共にいてくれた。
「痛た……大丈夫か?」
「僕は、平気だけど……三雲は? どうして僕なんて庇ったの」
メガネのフレームは曲がっている。弁償してくれだとか、言われないだろうか。
「なに? 正義の味方になりたいの? 僕は認めないよ。勝手に君が関わってきたんだ、僕は知らない。その怪我も、その傷も、全部全部君のせいだ」
価値なんてない、むしろマイナスで最低な言葉を羅列した。それなのに、三雲は不思議そうな顔でこう言った。
「僕がそうすべきだと思ったから、助けようとしただけだ。結果的に君にも怪我させてしまったけど……ごめん」
頭を下げる三雲を、認める以外僕にはなかった。正真正銘、三雲修は正義の味方だった。
そんな彼に憧れたわけではない。けれど、三雲がボーダー隊員であることを知った僕は、自然とそこへ導かれた。ボーダーの入隊式、今日から僕は三雲を先輩としてB級隊員を目指す。
「早乙女、お前もボーダーに入隊したんだな」
「うん、よろしく」
三雲は驚いた様子だったが、僕に声をかけてくれた。しかし、次の発言に僕は絶望する。
「まぁ、僕は玉狛に転属になったんだけど」
言葉を探す僕を置いて、三雲は白い頭の転校生の元へ行ってしまった。そうか、また僕は一人か。少しでも希望を見てしまった僕が間違いだったのか。いや、勝手に三雲をヒーローだと思った、僕がいけなかったんだな。
(これからどうしようか)
今更、辞めるなんて言い出せない。けれど、僕がここで頑張ったって、誰もなにも思わないのではないだろうか? ボーダーの隊員は、思ったよりも多そうだ。僕がいなくたって、世界は。
(僕がそうすべきだと思った)
あの日の言葉がリフレインした。そうだ、誰がどうとか関係ない。僕が、そうしようと決めたからここに来た。三雲なんて、関係ない。僕は、与えられたことを粛々とこなせばいいはずだ。誰も、望んでいなくとも。
決意を固めて、遠くの三雲を見れば、こちらに愛想笑いを浮かべたように見えた。