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「いつでも、いつまでも側にいる」
そう言い切った君を、嘘つきにしたいわけじゃないけど。あの日の約束は、忘れていいよ。
大規模侵攻が終わって、1週間経つ。早乙女あきは、まだ目を覚さない。俺の読み逃しで、本部が襲撃されて、オペレーターのあきは大怪我をした。今も生死の境を彷徨っている彼女は、なにを夢見ているのだろう。あの日の告白に返事をしなかったこと、今更ながらに後悔している。それでも、あきを後回しにして、侵攻の後始末をしていることが、一つの答えだと思っている。俺とあきは、結ばれない。結んでも、幸せにはなれない。
どこかで自分のことのようにあきを勘定にいれてしまう。勝手に同じ色の痛みを味わせて、許してなんて乞いもせずに放っておいた。この街にいる限り、俺といる限り、あきの苦しみに出口なんて与えてやれない。なら、いっそ。だから。君の幸せだけを、願うことにした。君が願えるように、仕合わせた。あと、3日ほどで目が覚める。決断の時は迫っている。
俺は城戸さんの元を訪れていた。
「早乙女あき隊員に、記憶封印処置を施す許可を」
「……それは私情か?」
「……そうだね、私情かな」
自分でもムカつくくらい、ヘラリとした笑いが出た。城戸さんの表情は変わらない。
「けど、彼女の幸せを考えたら、やるなら今しかない。あきをボーダーから遠ざけたいんだ」
城戸さんなら分かってくれるでしょ、と、情に訴えかけた。細く長い、ため息の後、城戸さんは口を開いた。
「お前がそう言うなら、そうしよう。決行は今夜だ、いいな」
「うん、助かるよ。ありがとう城戸さん」
俺は、初めてあきの病室に訪れた。この後、オペだと親御さんには嘘を吐いて、彼女の記憶は抹消される。だから、俺の知るあきとは今この時でお別れだ。涙は出ない。君は泣き崩れているだろうか、この結末に。でも、君のために朝は色付いてやってくるから、今夜の褪せた星々は忘れておくれ。
「おやすみ、いい夢を」
さよならは言わない。おはようも。もう、俺とは関係のない人。早乙女あきは、やっと自由になれる。次に起きた時には、俺のこともボーダーのことも忘れている、ただの一般人だ。
「あぁ、そうそう。あの告白の返事だけどーー」
ちゃんとあの時伝えてたら、なにか変わっただろうか。お互いに分かりきっていた返事を呟いて、自嘲してその場を去った。彼女が目覚める未来が見えて、少し目頭が熱くなった。
そう言い切った君を、嘘つきにしたいわけじゃないけど。あの日の約束は、忘れていいよ。
大規模侵攻が終わって、1週間経つ。早乙女あきは、まだ目を覚さない。俺の読み逃しで、本部が襲撃されて、オペレーターのあきは大怪我をした。今も生死の境を彷徨っている彼女は、なにを夢見ているのだろう。あの日の告白に返事をしなかったこと、今更ながらに後悔している。それでも、あきを後回しにして、侵攻の後始末をしていることが、一つの答えだと思っている。俺とあきは、結ばれない。結んでも、幸せにはなれない。
どこかで自分のことのようにあきを勘定にいれてしまう。勝手に同じ色の痛みを味わせて、許してなんて乞いもせずに放っておいた。この街にいる限り、俺といる限り、あきの苦しみに出口なんて与えてやれない。なら、いっそ。だから。君の幸せだけを、願うことにした。君が願えるように、仕合わせた。あと、3日ほどで目が覚める。決断の時は迫っている。
俺は城戸さんの元を訪れていた。
「早乙女あき隊員に、記憶封印処置を施す許可を」
「……それは私情か?」
「……そうだね、私情かな」
自分でもムカつくくらい、ヘラリとした笑いが出た。城戸さんの表情は変わらない。
「けど、彼女の幸せを考えたら、やるなら今しかない。あきをボーダーから遠ざけたいんだ」
城戸さんなら分かってくれるでしょ、と、情に訴えかけた。細く長い、ため息の後、城戸さんは口を開いた。
「お前がそう言うなら、そうしよう。決行は今夜だ、いいな」
「うん、助かるよ。ありがとう城戸さん」
俺は、初めてあきの病室に訪れた。この後、オペだと親御さんには嘘を吐いて、彼女の記憶は抹消される。だから、俺の知るあきとは今この時でお別れだ。涙は出ない。君は泣き崩れているだろうか、この結末に。でも、君のために朝は色付いてやってくるから、今夜の褪せた星々は忘れておくれ。
「おやすみ、いい夢を」
さよならは言わない。おはようも。もう、俺とは関係のない人。早乙女あきは、やっと自由になれる。次に起きた時には、俺のこともボーダーのことも忘れている、ただの一般人だ。
「あぁ、そうそう。あの告白の返事だけどーー」
ちゃんとあの時伝えてたら、なにか変わっただろうか。お互いに分かりきっていた返事を呟いて、自嘲してその場を去った。彼女が目覚める未来が見えて、少し目頭が熱くなった。