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「みんなみんな! 昨日の俺のツインスナイプ見てた~?」
お調子者の佐鳥君が、朝から騒いでまわっている。昨日の夜、番組の特集でお得意のツインスナイプを披露したからだ。二つの狙撃銃から放たれた弾丸は、見事に的に命中していて、なにも取り柄のない私には、物凄いことに見えた。実際、物凄いことなんだと思うけど。けれど、自分から自慢してまわってしまう佐鳥君に、皆は呆れながら適当に返している。勿体ないなあ。
「佐鳥がまぁた騒いでるよ、馬鹿だよね」
「ね。アイドル部隊とか言われてるけど、あいつ三枚目枠だから!」
「それ、超分かる~」
席の後ろで、そんな会話が聞こえた。それに私は、なんとも言えない気持ちになる。これはイラつきに近いだろう。言ってることは事実、なのかもしれないけれど、そんな言い方ってないじゃない。まるで、佐鳥君がダメな男みたい。そんなこと、絶対ないのに。佐鳥君は、いつも笑っててキラキラしていて、皆を笑わせることが出来る、優しい男の子だ。私は知ってる。……私に出来ないこと、たくさん出来る佐鳥君のことを知っている。
「ねえねえ、ツインスナイプ見てた?」
後ろの子達にも笑顔で佐鳥君は聞いた。それに、彼女たちは下品な笑いで答える。
「ごめーん、見てなかったわ! 昨日他に見たい番組あったからさあ」
「そうそう、かっこいい俳優出てるドラマあって! かっこよすぎて釘付けだったの!」
「私もーホント、ゴメンね!」
そんなこと、欠片も思ってない癖に。イライラで私は貧乏揺すりを始めてしまった。思わず、振り向いて嘘つきって言ってやろうかと思った。けれど。
「そっか! 残念! でも、次の機会があったら見てよ!」
そこには、笑顔で彼女たちと話す佐鳥君がいた。見ていなかったことなんて、全く気にしてないみたい。むしろ、彼女たちが見ていた番組の話をし、場を盛り上げている。
「あの俳優さんかっこいいよね! 俺も注目してるよ!」
「まあたまた~話合わせてるだけっしょー」
「本当だって! 俺女の子に嘘吐かないし!」
笑顔を崩さず、明るく話す佐鳥君はかっこいいと思う。かっこいいと思うと同時に、憎らしく思った。ああ、これは嫉妬だ、ヤキモチだ。その笑顔、私にも向けてほしい。なにもない私だけれど。そう思っていたら、ふいに視線を動かした佐鳥君とバッチリ目があった。跳ねる心臓。変わらぬ笑顔で佐鳥君は問いかける。
「あきちゃん! あきちゃんは俺のツインスナイプ見てた?」
「…………見てたよ。その、すごくかっこよかったよ」
素直な感想だった。けれど、佐鳥君の顔からは笑顔が消えた。眉は下がり、頬は紅潮し、困った顔になった。あれ。
「そ、そっか! ありがとう、嬉しい。すごく……」
しどろもどろに喋る佐鳥君なんて、らしくない。けれど、可愛いと思った。かっこよさと可愛さ、どちらも持ち合わせているなんて。佐鳥君は少し黙った後、慌てて手を動かしながら、机に戻った。そうして、戻って来ると、ノートの切れ端を渡してきた。
「これさ、俺のメアド。よかったら、あきちゃんのも教えてくれない?」
チャラいなあ、なんて、呆れもするけど。もう佐鳥君にツインスナイプを決められている私が、この機会を逃す理由はなかった。
お調子者の佐鳥君が、朝から騒いでまわっている。昨日の夜、番組の特集でお得意のツインスナイプを披露したからだ。二つの狙撃銃から放たれた弾丸は、見事に的に命中していて、なにも取り柄のない私には、物凄いことに見えた。実際、物凄いことなんだと思うけど。けれど、自分から自慢してまわってしまう佐鳥君に、皆は呆れながら適当に返している。勿体ないなあ。
「佐鳥がまぁた騒いでるよ、馬鹿だよね」
「ね。アイドル部隊とか言われてるけど、あいつ三枚目枠だから!」
「それ、超分かる~」
席の後ろで、そんな会話が聞こえた。それに私は、なんとも言えない気持ちになる。これはイラつきに近いだろう。言ってることは事実、なのかもしれないけれど、そんな言い方ってないじゃない。まるで、佐鳥君がダメな男みたい。そんなこと、絶対ないのに。佐鳥君は、いつも笑っててキラキラしていて、皆を笑わせることが出来る、優しい男の子だ。私は知ってる。……私に出来ないこと、たくさん出来る佐鳥君のことを知っている。
「ねえねえ、ツインスナイプ見てた?」
後ろの子達にも笑顔で佐鳥君は聞いた。それに、彼女たちは下品な笑いで答える。
「ごめーん、見てなかったわ! 昨日他に見たい番組あったからさあ」
「そうそう、かっこいい俳優出てるドラマあって! かっこよすぎて釘付けだったの!」
「私もーホント、ゴメンね!」
そんなこと、欠片も思ってない癖に。イライラで私は貧乏揺すりを始めてしまった。思わず、振り向いて嘘つきって言ってやろうかと思った。けれど。
「そっか! 残念! でも、次の機会があったら見てよ!」
そこには、笑顔で彼女たちと話す佐鳥君がいた。見ていなかったことなんて、全く気にしてないみたい。むしろ、彼女たちが見ていた番組の話をし、場を盛り上げている。
「あの俳優さんかっこいいよね! 俺も注目してるよ!」
「まあたまた~話合わせてるだけっしょー」
「本当だって! 俺女の子に嘘吐かないし!」
笑顔を崩さず、明るく話す佐鳥君はかっこいいと思う。かっこいいと思うと同時に、憎らしく思った。ああ、これは嫉妬だ、ヤキモチだ。その笑顔、私にも向けてほしい。なにもない私だけれど。そう思っていたら、ふいに視線を動かした佐鳥君とバッチリ目があった。跳ねる心臓。変わらぬ笑顔で佐鳥君は問いかける。
「あきちゃん! あきちゃんは俺のツインスナイプ見てた?」
「…………見てたよ。その、すごくかっこよかったよ」
素直な感想だった。けれど、佐鳥君の顔からは笑顔が消えた。眉は下がり、頬は紅潮し、困った顔になった。あれ。
「そ、そっか! ありがとう、嬉しい。すごく……」
しどろもどろに喋る佐鳥君なんて、らしくない。けれど、可愛いと思った。かっこよさと可愛さ、どちらも持ち合わせているなんて。佐鳥君は少し黙った後、慌てて手を動かしながら、机に戻った。そうして、戻って来ると、ノートの切れ端を渡してきた。
「これさ、俺のメアド。よかったら、あきちゃんのも教えてくれない?」
チャラいなあ、なんて、呆れもするけど。もう佐鳥君にツインスナイプを決められている私が、この機会を逃す理由はなかった。